パキスタン・イスラム共和国向け無償資金協力贈与契約の締結

−自然災害に対する予警報能力の強化と、下水・排水機能の強化による冠水被害の軽減を支援−

2014年11月14日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、11月13日、パキスタン・イスラム共和国政府との間で「中期気象予報センター設立及び気象予報システム強化計画」および「グジュランワラ下水・排水能力改善計画」を対象として36億4,600万円(2件)を限度とする無償資金協力の贈与契約(Grant Agreement: G/A)を締結しました。

今次締結した無償資金協力案件は以下のとおりです。

1.「中期気象予報センター設立及び気象予報システム強化計画」(供与限度額26億1,500万円)

本事業は、さまざまな自然災害の常襲国であるパキスタンにおいて、老朽化している首都イスラマバードの気象レーダーを更新し、気象予報解析機材や情報通信機器の整備により中期予報センターを設立することで、パキスタンの気象観測および予警報体制の向上に貢献するものです。

パキスタンは、洪水、土砂災害、サイクロン、地震等の自然災害が多く、特に2010年以降は毎年大規模な洪水に見舞われるなど、地球規模の気候変動の影響を受けつつあります。パキスタン政府は、予防・被害の軽減対応に軸を置いた防災体制強化に向けて、防災行政の中心となる国家防災管理庁を設置し、2013年には「国家防災管理計画」を中心とした防災に係る10ヵ年の国家計画(2012-2022年)がJICAの支援により制定されるなど、国を挙げた取り組みを行っています。

イスラマバード気象レーダー塔施設完成予想図

本事業では、老朽化したイスラマバード気象レーダーの更新、および上空の風向・風速を監視するウィンドプロファイラシステムの整備を支援します。また、3日以上先の中期予報を実現するための気象情報解析機材を気象庁本局の中期気象予報センターに整備し、予報技術を指導します。これに加え、気象情報通信機器を全国5ヵ所の気象庁支局に整備することで、本支局間の気象データが交換され、中期気象予報センターで解析された予警報および災害警報が気象庁支局に伝達されるようになります。

さらに、本事業により、パキスタンの気象観測データが各国気象機関へ配信されることで、わが国を含む全球数値予報モデル(注)の精度向上にも寄与することが期待されています。JICAは、インフラ整備を行う本事業に加え、UNESCOとの連携事業によるインダス川の氾濫予測システムの開発や、防災人材の育成を目指す技術協力プロジェクト等を実施し、洪水被害に対する早期予警報および災害危機管理能力の向上を包括的に支援します。

(注)全球数値予報モデルとは、天気・天候の予報に使用する数値予報モデルのうち、地球全体をカバーし、高・低気圧や台風、梅雨前線などの水平規模が100キロメートル以上の気象現象の予測に使われるもの。

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2.「グジュランワラ下水・排水能力改善計画」(供与限度額10億3,100万円)

本事業は、パンジャブ州グジュランワラ市において、下水・排水管渠維持管理用の機材を更新することにより、同市内の下水・排水機能の強化を図り、もって市内の冠水被害の軽減に寄与するものです。

本件の対象であるグジュランワラ市は、パンジャブ州都ラホールから北に約70キロメートル に位置するパンジャブ州第4 の都市であり、ラホール、ファイサラバードに次ぐ産業都市として、また州内の農作物の流通拠点として重要な位置づけにあります。しかし、同市では、急速な人口流入に伴い、社会経済インフラの再整備が必要となっており、特に下水・排水システムは管渠(きょ)への土砂・廃棄物・汚泥の堆積や排水ポンプ設備の経年劣化によって排水能力が低下し、大雨の際など市内で際冠水被害が頻発している状況です。

本事業により、グジュランワラ市上下水道公社の高圧洗浄車、汚泥吸引車、クラムシェルを含む下水・排水管渠の維持管理に必要な機材が更新され、下水管渠および排水路の汚泥除去量が増加し、ひいては雨季の市街地冠水時間が現在の8〜48時間から24時間以内に軽減されることが期待されます。

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