ミャンマー連邦共和国向け円借款契約の調印

−電力の安定供給、ティラワ地区の港湾整備、急増する中小企業向け資金需要への対応に貢献−

2015年6月30日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、6月30日、ミャンマー連邦共和国の首都ネピドーにて同国政府との間で、総額258億8,800万円(計3件)を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

2011年3月に発足したテイン・セイン政権は2015年3月に5年目を迎え、民主化、法の支配の強化、国民和解、経済改革の取り組みを継続しています。このようなミャンマー政府の努力に対し、我が国は2013年、25年ぶりに円借款の供与を再開して以降、これまで10件の円借款を供与し、ミャンマーの改革を後押しし、持続的な発展を支援しています。

近年、ミャンマーは経済制裁解除や投資・貿易促進の影響もあり、実質経済成長率は7パーセントを超えて推移しています。しかし、ミャンマーの経済基盤インフラは多くの課題を抱え、持続的な経済成長・貧困削減や更なる投資促進のボトルネックとなっています。

このような状況を踏まえて今回借款契約を調印した3件の円借款事業の特徴は、以下の通りです。

(1)ヤンゴン地域の安定的な電力供給を支援

ミャンマーで最も電力需要が集中しているヤンゴン地域は、特に乾期に電力需給が逼迫しています。送・配電設備は、設置後50年以上を経過しているものが多く、ヤンゴン地域の配電損失率は約18%に達し、長期間、過負荷の状態で利用しているため、故障発生のリスクが高まっています。2013年度以降、乾期に多数の故障・事故が発生しており、今後、大規模な停電等の発生が懸念されています。

ヤンゴン地域の電力需要は、2020年には現在の2倍になると予測されており、送・配電設備の増強、送配電線ロスの削減が喫緊の課題となっています。「ヤンゴン配電網改善事業フェーズI」では、ヤンゴン地域の66キロボルト配電用変電所の改修や配電線張替等を図ることで送電電力量を増加することができ、安定的な電力供給を通じてミャンマーの経済発展に貢献します。

(2)経済特別区が計画されているティラワ地区のインフラ整備を支援

ミャンマーは豊富な労働力やマーケットとしての有望性を見込まれており、ミャンマー政府は、直接投資の拡大やさらなる貿易拡大等による雇用創出・経済発展を目指し、ヤンゴンにてティラワ経済特別区(Special Economic Zone、SEZ)の開発を進めています。今後急速な発展が見込まれるティラワSEZの経済活動や周辺住民の生活を支えるインフラの整備が課題となっていることを受けて、JICAは、2013年6月以降、港湾ターミナル、電力関連施設、アクセス道路、上水道、通信網の整備に対して円借款を供与してきました。

今次円借款は、上記のうち、港湾及び電力設備の整備を行う「ティラワ地区インフラ開発事業(フェーズ1)に対する第一期借款(2013年6月貸し付け契約締結済、200億円)に続く二期目の借款にあたり、主に港湾ターミナルの整備に必要な残りの資金需要に対応することにより、同地区の経済活動や市民生活の向上・発展に貢献するものです。

(3)ミャンマーの中小企業振興に向けた金融面からの支援

ミャンマーでは、約12万社もの中小企業が存在し、同国の安定的な経済発展において中小企業が果たす役割は益々拡大するとされています。こうした中、ミャンマー政府は、中小企業振興を重要課題と位置づけ、2015年4月に中小企業振興法を制定するなど、様々な取り組みを行ってきています。しかしながら、急激な経済成長を始めつつあるミャンマーでは、中小企業の資金需要が増大する一方で、銀行による融資の貸付期間の殆どが短期であることから、中小企業の中長期的な設備投資のための資金需要を満たすことが出来ていません。

こうした状況を改善するため、「中小企業金融強化事業」では、仲介金融機関に対して、ミャンマー政府経由で中期の資金を供与するとともに、仲介金融機関向けの能力強化を支援することを通じて、仲介金融機関による中小企業への中長期的な融資を拡大するものです。本事業により、中小企業の生産・投資の拡大を図り、更にはミャンマーの産業及び経済の健全な発展並びに雇用創出に貢献することが期待されます。

JICAは今後とも、円借款、技術協力、無償資金協力等の多様なODAスキームを一体的に運用しながら、ミャンマーの抱える諸課題の解決に向け、包括的な支援に取り組んでいきます。

(参考)
借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
(1) ヤンゴン配電網改善事業フェーズI 6,105 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
(2) ティラワ地区インフラ開発事業(フェーズ1)(第二期) 14,750 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
(3) 中小企業金融強化事業 5,033 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド

(1)ヤンゴン配電網改善事業フェーズ I
Power Distribution Improvement Project in Yangon Phase I

(事業の目的と概要)
本事業は、ヤンゴン地域の配電網設備を改修・増強することにより、電力の最大需要地である同地域の電力供給事情の改善を図り、もってミャンマー全体の経済発展及び国民の生活向上に寄与するもの。

(事業実施機関)
ヤンゴン配電公社(Yangon City Electricity Supply Board:YESB)
住所:No.197/199, Lower Kyeemyintdaing Road, Ahlone Township, Yangon
TEL:+95-1-2301856

(今後の事業実施スケジュール〈予定〉)
(i)事業の完成予定時期:2019年6月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス招請状送付予定時期:2015年7月
(iii)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:
調達パッケージ名:変電所改修
予定時期:2016年10月

(2)ティラワ地区インフラ開発事業(フェーズ1)(第二期)
Infrastructure Development Project in Thilawa Area Phase I (II)

(事業の目的と概要)
ティラワ地区において、港湾ターミナルの設備及び電力関連施設を整備することにより、港湾の輸送効率化及び電力供給の安定化を図り、もって、同地区への直接投資の流入を促進し、ヤンゴン都市圏の発展及び雇用創出を通じて、ミャンマーの経済成長に寄与するもの。
今回供与する借款は、2013年6月に円借款貸付契約を調印した本事業に対する第一期借款に続く二期目で、主に港湾ターミナルの整備に必要な残りの資金需要に対応するもの。

(事業実施機関)
ミャンマー港湾公社(Myanma Port Authority:MPA)
住所:No.(10), Pansodan Street, Yangon, Myanmar
TEL:+ 951-391310

(今後の事業実施スケジュール〈予定〉)
(i)事業の完成予定時期:2017年10月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス招請状時期:送付済
(iii)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:PQ実施済

(3)中小企業金融強化事業
Project for the Development of Finance for Small and Medium-sized Enterprises

(事業の目的と概要)
 本事業は、中小企業向け中長期資金の供与及び仲介金融機関向けの能力強化支援を行うことにより、中小企業金融に係る資金仲介機能の円滑化及び中小企業の生産・投資の拡大を図り、もってミャンマーの産業及び経済の健全な発展並びに雇用創出に寄与するもの。

(事業実施機関)
ミャンマー経済銀行(Myanma Economic Bank:MEB)
住所:Building No.26, Thiri Kyaw Swar Street, Nay Pyi Taw
TEL:+ 95-67-421228

(今後の事業実施スケジュール〈予定〉)
(i)事業の完成予定時期:2018年9月(ツーステップローン貸付完了時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス招請状送付時期:送付済