アンゴラ向け初の円借款契約の調印

−アンゴラ政府の電力セクター改革支援を通じ、同国への投資を促進−

2015年8月17日

署名後握手を交わす田中明彦JICA理事長とアルマンド・マヌエル財務大臣

国際協力機構(JICA)は、8月17日、アンゴラ共和国政府との間で同国に対する初の円借款となる「電力セクター改革支援プログラム」を対象として、236億4000万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。本借款は、開発途上国の政策制度改善を支援する「開発政策借款」です。

アンゴラでは、27年続いた内戦が2002年に終了し、社会経済の復興・開発が進められてきました。同国は石油をはじめとする豊富な天然資源に恵まれ、2002年以降、年平均10%以上の高いGDP成長を遂げてきました。2015年現在、同国はナイジェリア、南アフリカに次ぐアフリカ第三の経済規模を有し、サブサハラアフリカ有数の市場として注目を集めています。こうした中で、アンゴラ政府は産業多角化の政策を掲げるとともに、同国への外国投資拡大に向けた制度改善にも取り組んでいます。

しかしながら、急速に拡大する電力需要に供給が追いつかず、電化率は約30パーセントに留まり、都市部を中心に停電も頻発しているため、企業活動への影響が深刻化しています。また、不適切な料金体系や料金徴収能力の欠如、送配電ロスの多さ、配電に関する手続きが複雑であるなど、構造的な問題も抱えています。さらに、免税等の優遇措置を受けるための条件や複雑な行政手続き、外貨送金に係る制約などの問題が重なり、アンゴラの投資環境に影響を及ぼしています。

こうした問題を解決するため、アンゴラ政府は、国家開発計画で電力分野を重点の一つとして位置づけ、「国家電力安全保証戦略政策」を策定し、電力セクターの構造改革、官民連携パートナーシップ(PPP)の導入、電源開発(ガス・コンバインドサイクル発電、水力発電)や送配電に係るプロジェクトの実施促進などを進めています。さらに、これらの改革を実現するため、2010年から2025年までに4つのフェーズに分けて段階的に達成すべき目標と取り組むべき実施アクションを整理した「電力セクター改革プログラム」を策定し、2025年までの目標値として、電力アクセス率を30パーセントから60パーセント、発電設備容量を2,120メガワットから8,742メガワットに増加させる目標を掲げています。

本事業は、アフリカ開発銀行との協調の下、開発政策借款を供与し、(1)電力セクターの効率性・競争性・持続性の改善、(2)電力セクターにおける民間投資の促進、(3)公共財政の透明性と効率性の向上、(4)ジェンダー主流化と環境配慮の促進、(5)投資環境の改善のための政策・制度改革を支援することを目指しています。このうち、(5)投資環境の改善は、JICAが独自に追加した政策改善目標です。同国に進出している企業からも解決の要望が大きい(1)投資法の改定、(2)ビザ取得および海外送金に係る手続きの改善、(3)民間ビジネスに関する規定の安定的運用・透明性の向上を支援するものとなっています。

なお、本事業におけるアフリカ開発銀行との協調は、「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(Enhanced Private Sector Assistance(EPSA) for Africa)(注1) 」により、実施されます。

本事業の実施を通じ、電力へのアクセスや投資環境が改善され、同国の持続的な経済発展に寄与するとともに、日本企業を含め、アンゴラへの外国投資促進にも貢献することが期待されます。


(注1) 日本政府は2005年のG8グレンイーグルズ・サミットの際にAfDBと共にEPSAを立ち上げ、10億ドルの円借款供与を表明しました。2012年のG8キャンプデービッド・サミットにおいて、アフリカにおける民間投資の活性化が引き続き重要な課題であることを受け、新たに5年間で10億ドルの円借款を供与することを決定しました。

EPSAは、融資および技術支援を通して実施するプログラムで、JICAは融資部分を実施しています。融資方法には、(1)政府および政府機関等に対するアフリカ開発銀行/基金との協調融資促進ファシリティ(ACFA)(本事業)、および(2)EPSAの下での民間セクター支援融資の2形態があります。

(参考)

1.借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
電力セクター改革支援プログラム 23,640 0.01 ※ 40 10 一般アンタイド

※優先条件を適用

2.事業実施機関
アンゴラ共和国 財務省(Ministry of Finance)
TEL:+(244)‐222‐338548

3.今後の事業実施スケジュール(予定)
(1)事業の完成予定時期:2015年10月(貸付完了をもって事業完成)
(2)コンサルティング・サービス:本事業においてコンサルタントの雇用は予定されていません。
(3)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札工事:本事業においては、入札を伴う工事は想定されていません。