ケニア共和国向け円借款貸付契約の調印

−母子保健サービス・貧困層への医療保障の拡大に貢献−

2015年8月18日

署名後、握手をかわすヘンリー・ロティチ財務省長官と江口秀夫ケニア事務所長

国際協力機構(JICA)は、8月17日、ケニア共和国との間で「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成のための保健セクター政策借款」を対象として、40億円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。本借款は、すべての人が適切な予防、治療、リハビリ、健康増進などの保健サービスを必要な時に支払可能な費用で受けられる「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の実現を目的として円借款として供与するのは、アフリカで初めてです。

ケニアでは、2000年以降、国連ミレニアム開発目標となっているHIVやマラリア等の予防・対策に関わる保健指標や、乳児・5歳未満児の死亡率には大きな改善がみられる一方で、妊産婦死亡率については、2013年の10万出生あたり400件で、1990年の10万出生あたり490件と比較して改善の度合いは大きくなく、更なる改善の余地があります。また、保健指標の地域間及び経済水準による格差も著しく、保健サービスの地域間格差の是正及び貧困層を中心とした医療保障の拡大は喫緊の課題となっています。

本借款は、ケニア政府が2030年までにUHCを達成するために必要で、かつ、優先順位の高い政策アクションを設定し、その達成を確認した上で、一般財政支援の形態で、借款を供与する政策改革支援型の円借款です。政策アクションとしては、 (i) UHC関連の各種政策文書の作成、(ii) 無償産科サービス、貧困層の健康保険加入促進、コミュニティに最も近い診療所(一次保健施設)への成果連動型交付金の導入等のUHC関連プログラムのマニュアル作成とケニア政府予算の確保、 (iii) 地方政府を主体とした保健システムの強化が挙げられています。これらの実現を後押しすることにより、地方レベルで必要不可欠な保健サービスが拡充され、同国の経済の安定及び社会開発の促進を図ることを目指しています。中でも、無償産科サービスの提供や成果連動型交付金の導入による保健サービスの面的展開及び質の向上を通じて、妊産婦や乳児が裨益することが期待されており、本事業は母子保健の改善に焦点をあてた新たな国際的資金供給メカニズムとして、7月の国連開発資金会議(於アジスアベバ)で立上げが表明された「グローバル・ファイナンシング・ファシリティ」にも協調するものとなっています。

日本政府は、2013年5月に策定された国際保健外交戦略や、同年6月の第5回アフリカ開発会議(TICAD V)の中で、UHCの推進・支援強化を掲げています。JICAは、本借款に加え、保健省への専門家派遣を通じ、ケニアにおけるUHC分野の政策制度設計を2013年から支援しています。また、UHC達成に向けて重要な役割を果たすコミュニティでの予防活動・基礎的サービスの提供を拡大するため、技術協力プロジェクト「コミュニティヘルス戦略強化プロジェクト」を2011年から3年間かけて実施しました。更には、2010年の憲法改正を契機に、2013年から本格化した地方分権化により、保健サービス提供の責任を担うこととなった地方政府保健局の能力強化と、地方政府間・地方政府と中央政府間の連携強化のための技術協力プロジェクト「地方分権下におけるカウンティ保健システムマネジメント強化プロジェクト」を2014年から実施しています。本事業とこれらの技術協力事業を相互に連関させることで、地方分権の流れの中でUHC達成を目指すケニア政府の取り組みを総合的に支援します。

(参考)
1.借款金額および条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成のための保健セクター政策借款 4,000 0.25 40 10 一般アンタイド

2.事業実施機関
ケニア保健省(Ministry of Health)
住所:Afya House, Cathedral Road
P.O. Box:30016–00100, Nairobi, Kenya.
TEL:+254-20-2717077

3. 今後の事業実施スケジュール(予定)
(1)事業の完成予定時期:2016年1月(貸付完了時をもって事業完成)
(2)コンサルティング・サービス:本事業においてはコンサルタント雇用を予定していません。
(3)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:本事業においては、入札を伴う工事は想定されていません。