ミャンマー向け円借款契約の調印:ヤンゴン市都市交通網、ヤンゴン首都圏への安定的な電力供給、国際物流網である東西経済回廊を支援

2015年10月16日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、10月16日、ミャンマー連邦共和国の首都ネピドーにて同国政府との間で、総額998億5,000万円(計3件)を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

2011年3月に発足したテイン・セイン政権は2015年3月に5年目を迎え、民主化、法の支配の強化、国民和解、経済改革の取り組みを継続しています。このようなミャンマー政府の努力に対し、我が国は2013年、25年ぶりに円借款の供与を再開して以降、これまで12件の円借款を供与し、ミャンマーの改革を後押しし、持続的な発展を支援しています。

近年、ミャンマーは経済制裁解除や投資・貿易促進の影響もあり、実質経済成長率は7パーセントを超えて推移しています。しかし、ヤンゴンを中心に急速な都市化により交通渋滞等の都市交通問題が発生しているほか、基幹送電線の送電電力量が容量限度を超えることが見込まれる等、老朽化した社会基盤インフラの更新が急務となっています。また、経済成長に伴い周辺国との物流も活発化していますが、ミャンマー国内の国際幹線道路の整備が追い付いておらず、陸上輸送網の大きなボトルネックとなっています。

このような状況を踏まえて今回借款契約を調印した3件の円借款事業の特徴は、以下の通りです。

(1)ヤンゴンの交通量を支える環状鉄道の改善

「ヤンゴン環状鉄道改修事業」では、ヤンゴン環状鉄道のサービス向上と利用者の増加に向けて、老朽化した車両と鉄道信号システムの更新と改修を行い、旅客輸送能力公共交通サービスの安全性・快適性を向上し、ヤンゴン都市圏における社会経済活動の活性化を図ります。これにより、ヤンゴン環状線の一周にかかる時間を、現在の170分から110分に短縮し、運行間隔も現状15分〜40分であるのを10分〜12分間隔に改善する予定です。

本事業においては、事業効果の持続性を高めるため、技術協力を効果的に組合せるなど様々な形での協力を推進する予定です。具体的には、「鉄道安全性・サービス向上プロジェクト」では、本事業を担当するミャンマー国鉄の鉄道技術者の軌道の維持管理・保線技術を高めるための技術移転を実施しています。さらに2015年3月からは、都市交通管理の向上のための専門家を派遣しています。

ミャンマーの鉄道セクターに対しては、鉄道運行の安全性を高めるための無償資金協力「鉄道中央監視センターシステム整備計画」やヤンゴン・マンダレー間の幹線鉄道の改修を目的とした円借款事業「ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業フェーズ1(I)」が実施中です。

日本が培った鉄道技術の活用を通じて、ミャンマーにおける鉄道事業の施設改修や維持管理能力向上、人材育成や制度改善を図り、総合的な鉄道事業への貢献とインパクトのある協力を目指して実施していく方針です。

(2)ミャンマーの安定期な電力の供給に寄与

「全国基幹送変電設備整備事業フェーズII」では、同国南部のバゴー地域とヤンゴン地域をつなぐ変電所と関連する送電線を整備します。これにより、同事業フェーズIで支援した北部・東部からつながる変電所の電力を最大電力需要地ヤンゴンへ500キロボルトに昇圧して電気を送ることができるようになり、安定的な電力供給を通じてミャンマーの経済発展に貢献します。

(3)国際幹線道路の整備による物流の改善

「東西経済回廊整備事業」では、ベトナム、タイ、ミャンマーをつなぐ国際幹線である東西経済回廊において、重量車両の通行制限により物流のボトルネックとなっている3橋(ジャイン・コーカレー橋、アトラン橋、ジャイン・ザタピェン橋)の架け替えを行うことで、ミャンマー国内のみならず、メコン地域との物流・貿易の円滑化・活性化を促進します。本事業と他ドナーが支援する周辺区間の改良により、将来的にはバンコク・ヤンゴン間の移動時間は3.5日から1.9日に短縮されると予測されています。

本事業においては、過去に実施された技術協力の成果が活用されています。特に、1980年代に実施された「ビルマ橋梁技術訓練センタープロジェクト」では、橋梁技術訓練センターを設立し、設計技術のトレーニングと、実際の橋梁の建設を通した施工訓練が実施されました。同プロジェクト終了後もセンターにおける研修は実施され、ミャンマーの橋梁技術の発展に寄与してきました。本事業にも同センターが輩出した人材が携わり、技術協力を通じて培われた技術が活用される予定です。

(参考)

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
(1)ヤンゴン環状鉄道改修事業 24,866 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
(2)全国基幹送変電設備整備事業フェーズII 41,115 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
(3)東西経済回廊整備事業 33,869 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド

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