フィリピン向け円借款契約の調印:日本の技術や都市開発モデルを活用し、マニラ首都圏と郊外とを結ぶ通勤鉄道の整備を支援

2015年11月27日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、11月27日、フィリピン共和国の首都マニラにて同国政府との間で「南北通勤鉄道事業(マロロス‐ツツバン)」を対象として2,419億9,100万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

マニラ首都圏は、人口が1990年の792万人から2010年には1,185万人に増加し、人口密度が191.4人/haに達するなど、国全体の人口の13%、GDPの36%が一極集中する、国内最大の経済活動拠点となっています。また、マニラ首都圏に近接するブラカン、リサル、カビテ、ラグナの各州を加えた地域である「メガマニラ圏」についても、同期間に人口が1,239万人から2,302万人に急増しており、マニラ首都圏の発展に伴い、マニラ首都圏を上回るスピードで都市の規模が拡大しています。

メガマニラ圏の交通インフラとしては、マニラ首都圏内の環状道路と放射状道路のほか、マニラ首都圏と南北の郊外を結ぶ高速道路等が整備されており、過去にJICAも円借款による支援を行ってきました。一方で、鉄道網の整備は遅れており、現在ある3つの軽量高架鉄道の運行地域はマニラ首都圏内のみで、その総延長も50kmにとどまっています。また、フィリピン国鉄の通勤線がマニラ首都圏から南方に運行していますが、運行頻度が低い非電化路線となっています。これらの鉄道網は、マニラ首都圏及びメガマニラ圏の急激な発展にもかかわらず、過去10年間の延伸距離はわずか5kmにとどまっています。特に、マニラ首都圏の北方については、1991年にフィリピン国鉄の路線が廃線となって以降、未だに鉄道が整備されておらず、当該地域の郊外都市としての更なる発展の阻害要因となっています。この結果、マニラ首都圏においては、人口と経済活動の集中が続いており、交通渋滞が深刻化しています。渋滞の深刻化は、円滑な貨物物流や人の移動のボトルネックとなり、渋滞による社会的費用は年間約2.4兆円に達すると試算される等、フィリピン経済の国際競争力を低下させる要因の一つとなっています。

JICAは、メガマニラ圏の持続的な開発を支援するため、2014年に「マニラ首都圏の持続的な発展に向けた運輸交通ロードマップ」(インフラロードマップ)の作成を支援しました。同インフラロードマップは、首都圏を南北に拡大して郊外都市との連結性を強化することによりマニラ首都圏への一極集中を緩和することを掲げており、そのためにマニラ首都圏とその南北郊外を結ぶ交通回廊として2本の新規鉄道路線の整備を提案しています。

本事業は、その一つとして、メガマニラ圏において、マニラ首都圏の北方のブラカン州の州都マロロス市からマニラ市ツツバンまでの通勤線区間(約38km)を整備することにより、マニラ首都圏の交通ネットワークの強化とその深刻な交通渋滞の緩和を図り、もってマニラ首都圏の経済圏の拡大とその大気汚染の緩和に寄与することを目的としています。本事業に係る貸付資金は、高架、駅舎、車両基地等に係る土木工事、電気・機械システム及び車両の調達並びにコンサルティング・サービス(入札支援、施工監理等)費用等に充当されます。また、本事業は本邦技術活用条件(STEP)が適用され、高架部分の施工技術や信号システム及び車両等に日本の技術の活用が期待されます。

JICAは今後とも、円借款、技術協力、無償資金協力等の多様なODAスキームを一体的に運用しながら、質の高いインフラ整備等を通じたフィリピンの抱える諸課題の解決に向け、包括的に取り組んでいきます。

(参考)

1.借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利
(%/年)
償還期間(年) 据置期間(年) 調達条件
本体 コンサルティング・サービス
南北通勤鉄道事業(マロロス-ツツバン) 241,991 0.1 0.01 40 10 日本タイド

※本邦技術活用条件(STEP)を適用。

2.事業実施機関
運輸通信省(Department of Transportation and Communications)、
住所: The Columbia Tower, Ortigas Avenue, Barangay Wack-Wack, Mandaluyong City, 1555, Philippines
TEL:+63-2-790-8300/8400

3.今後の事業実施スケジュール(予定)
(1)事業の完成予定時期:2021年12月(供用開始時をもって事業完成)
(2)コンサルティング・サービス(施工監理等)にかかる招請状送付時期:送付済
(3)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:
調達パッケージ名:土木工事パッケージ(Civil Works Packages)、車両基地パッケージ(Depot Package)、鉄道システムパッケージ(E&M Package)、車両パッケージ(Rolling Stock Package)
予定時期:2017年6月

4.JICA情報提供窓口
本事業の調達スケジュールに関する情報は、下記窓口にお問い合わせください。
国際協力機構フィリピン事務所 運輸交通分野セクター情報窓口
(Contact Point for Transportation Sector, JICA Philippines Office,)
住所:40th Floor, Yuchengco Tower, RCBC Plaza, 6819 Ayala Avenue, Makati City, Philippines
TEL: 63-2-889-7119, FAX:63-2-889-6850