ビル&メリンダ・ゲイツ財団と戦略的パートナーシップの更なる強化に合意:SDGs(2030アジェンダ)の達成に向け国際保健、栄養分野での連携を促進

2016年5月20日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、5月20日、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation、以下、ゲイツ財団)との間で、両機関の国際保健・栄養分野での連携を強化するための業務協力覚書(MOC : Memorandum of Cooperation)に署名しました。
また、これまでゲイツ財団とJICAが連携して取り組んできたポリオ対策分野において、パキスタン向け円借款事業「ポリオ撲滅事業(フェーズ2)」にかかる連携合意文書(債務承継契約)の署名も同時に行いました。

今回のMOCでは、これまでの連携を通じ効果的な成果が得られていることを受け、ポリオ撲滅以外の協力分野を追加し、マラリア等の感染症対策や保健システムの強化、栄養分野での取り組み強化なども見据えた業務協力覚書を改めて締結することとなりました。これは、依然として世界人口の半数に近い32億人がマラリアのリスク下にあることや、2014年のエボラウィルス感染症の流行などを受け、これらの課題にも連携して取り組めるようにするものです。

未だに世界で多くの感染者がみられるマラリアは、近年、殺虫剤に耐性を持つ蚊の出現や治療の中断等により抗マラリア薬に耐性を獲得した原虫が出現していること等が課題となっています。また、2014年のエボラウイルス感染症の流行から得られた教訓として、感染症の流行に迅速かつ臨機応変に対応できる保健システムの強化、住民に近い保健医療サービス(プライマリヘルスケア)の拡充、住民の保健サービスへの信頼確保などが急務となっています。加えて、感染症は容易に国境を越えて急速に広がるリスクがあることから、各国及び地域における調査や監視(サーベイランス)体制の確立も重要です。さらに、世界の飢餓と栄養不良問題の解決には、保健、教育、農業等の従来の分野を超えたマルチセクターでの栄養改善対策の強化が必要であり、特にアフリカにおける食料と栄養の安全保障分野は、今後の国際社会との連携強化が期待される分野です。2015年9月に採択された「持続可能な開発に向けた2030アジェンダ(2030アジェンダ)」においても、国際保健と栄養は持続可能な開発目標の達成のための重要な要素として位置付けられています。

パキスタンにおけるポリオ撲滅事業の成功を祈願し、ダルマに目を入れるスー・デスモンドヘルマンCEO

これまでも、ゲイツ財団とJICAは、パキスタン向け円借款「ポリオ撲滅事業」(2011年8月借款契約調印)、ナイジェリア向け円借款「ポリオ撲滅事業」(2014年5月借款契約調印)において、ローン・コンバージョンという手法を活用して協働し、両国のポリオ感染者数の減少などに貢献してきました。同手法は、円借款の貸付相手国政府がポリオ撲滅事業において一定の成果指標を達成できた場合に、ゲイツ財団が貸付相手国に代わりJICAに返済を行うものです。同手法を初めて採用したパキスタン向け「ポリオ撲滅事業」では、連携手法の革新性が評価され、2014年には経済開発協力機構の開発援助委員会(OECD/DAC)から表彰を受けています。前日5月19日に借款契約が調印されたパキスタン向け円借款事業「ポリオ撲滅事業(フェーズ2)」でも同手法を用いることとし、両機関はポリオ撲滅達成に向けた対策を進めているパキスタン政府の取り組みを引き続き支援します。
今回のMOC及び債務継承契約の締結により、JICAとゲイツ財団は、ポリオやマラリアなどの感染症対策や、保健医療システムの強化(プライマリヘルスケア等)、栄養改善対策の強化等、国際環境の変化にも考慮した重点的な課題に協働して取り組んでいきます。