エルサルバドル向け円借款契約の調印:災害リスク軽減・管理能力の向上とともに、災害復旧段階で発生する資金需要を迅速に支援

2016年5月30日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、5月28日、エルサルバドル共和国政府との間で50億円を限度とする「災害復旧スタンドバイ借款」の円借款貸付契約に調印しました。本借款は、災害後の復旧における資金需要に迅速に対応するために、あらかじめ借款契約を締結して資金供給の準備をしておくもので、中米地域の国に対しては初めての供与となります。

エルサルバドルは、国土面積の88.7%及び人口の95.4%が複数の種類の災害のリスクにさらされており、災害リスクにさらされる人口の割合は世界第3位に位置付けられています。同国はココスプレートとカリブ海プレートの境界線上に位置することから地震、火山の噴火が頻発しており、また、カリブ海から太平洋に移動するハリケーン等の進路上に位置することから洪水・地滑り等の風水害も多発しています。1986年及び2001年に発生した2度の大地震では、それぞれ死者1,000人を超す甚大な被害が発生しました。2011年には、熱帯低気圧12Eにより、同国観測史上最大の雨量が観測され、国家非常事態宣言が発令されるに至り、全壊又は甚大な損害を受けた橋梁が34ヶ所にのぼりました。これら自然災害による人的・経済的損害は甚大であり、GDPに対して災害リスクの与える影響の高さは世界第17位とされています。

同国政府は、こうした状況に対し、(1)コミュニティの防災能力強化、(2)公共インフラ強化のための気候変動・リスク管理戦略局の能力強化、(3)自然災害(特に地震・津波)の分析・対応能力の強化、(4)防災の主流化、といった政策アクションを掲げ、災害リスク軽減・管理能力の向上を図っています。

本事業は、上記災害リスク管理能力向上に必要な政策アクションの実施促進を支援し、大規模災害発生時に生じる一時的な資金ニーズに応え、迅速な復旧を支援し、同国の災害リスク軽減・管理能力を強化するものです。

なお、JICAはこれまで防災体制の強化に向けて、上記(1)から(4)の分野に対し、無償資金協力、技術協力、国際緊急援助、ボランティア事業を組み合わせた自然災害に対する脆弱性の予防・削減を目指したインフラ整備や技術・能力強化の支援を実施してきました。2012年に実施した無償資金協力「広域防災システム整備計画」では東日本大震災の被災地を含む日本の技術も活用し、地震計や潮位計などの観測機材の整備を支援しました。現在、(1)コミュニティの防災能力強化に対しては、「中米広域防災能力向上プロジェクトフェーズ2」(2015〜2020年、技術協力プロジェクト)、(2)公共インフラ強化のための気候変動・リスク管理戦略局の能力強化に対しては、「公共インフラ強化のための気候変動・リスク管理戦略局支援プロジェクトフェーズ2」(2016〜2021年、技術協力プロジェクト)、(3)自然災害の分析・対応能力の強化に対しては、「地震・津波情報の分析能力強化」(2015〜2018年、専門家派遣)により支援しています。それぞれが、本事業を通じて支援する政策アクションの実施促進に関連するものです。

JICAは今度とも、有償資金協力、無償資金協力や技術協力などの多様なODAスキームの連携を強化しながら、同国の開発課題に対して機動的に取り組んでいく方針です。

(参考)

1.借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
災害復旧スタンドバイ借款 5,000 0.01 - 20 6 一般アンタイド

2.事業実施機関
財務省(Ministerio de Hacienda)
住所: Boulevard de los Héroes No. 1231, San Salvador
República de El Salvador, C.A.
TEL:+503-2244-3000/ 2237-3000、FAX:+ 503-2244-5183 / 2237 - 5183

3.今後の事業実施スケジュール(予定)
(1)事業の完成予定時期:供与限度額の全額貸付またはスタンドバイ期間の終了をもって事業完成とします。
(2)本事業においては、コンサルタント雇用及び本体工事に係る国際競争入札は行われません。