ベトナム向け円借款契約3件の調印:インフラ整備を通じ、国際競争力の強化と脆弱性の克服を支援

2016年5月30日

署名文書交換の様子

国際協力機構(JICA)は、5月28日、ベトナム社会主義共和国政府との間で、3事業、総額1,661億2,400万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

ベトナムは、1990年代以降順調に経済成長を続けており(参考1)、国家目標であった2010年までの低中所得国入りを達成するとともに、貧困率も低下しています(注)。2015年からASEAN域内関税が撤廃され、2020年までの工業国化達成を目指していくなか、引き続き持続的な経済成長を遂げるためには、インフラ整備を通じた投資環境の整備に加え、金融システムの改善等の経済構造・行政制度の改革を通じて中長期的にマクロ経済の安定化を図り、国際競争力を強化する必要があります。他方で、都市部に比べて貧困率が高く全人口の約7割を占める農村住民の所得向上や、都市化に伴い悪化する公衆衛生環境の改善といった、脆弱性への対応も必要です。

このような状況のもと、今次円借款では、ベトナムの競争力強化に不可欠な経済インフラ整備や、脆弱性の克服に向けた都市における環境改善を支援します。主な特徴は以下の通りです。

(1)国際競争力強化のための経済インフラ整備支援

ホーチミン市都市鉄道建設事業(ベンタイン—スオイティエン間(1号線))(III)では、都市鉄道を建設することにより、交通渋滞及び大気汚染の緩和、地方経済の発展を図ります。また、タイビン火力発電所及び送電線建設事業(IV)では、ベトナム産出の石炭を活用した発電所及び関連施設を整備することにより、逼迫した電力需給への対応を図ります。これらの事業を通じて、同国の経済発展の促進・国際競争力の強化に貢献します。
 
(2)脆弱性の克服に向けた支援

第2期ホーチミン市水環境改善事業(III)では、下水道・排水システムを整備することにより、同市の汚水処理能力の向上及び浸水被害の軽減を図ります。

JICAは今後とも、円借款、技術協力や無償資金協力などの多様なODAスキームを一体的に運用しながら、ベトナムの開発課題に対して機動的に取り組んでいく方針です。

(注)ベトナムの貧困率は、1998年の37.4%から2014年に8.4%まで低下。

(出所:United Nations Development Programme “Country Report: 15 years achieving the Viet Nam Millennium Development Goals”)

<参考1> ベトナム:成長パフォーマンス

【画像】

(出所)IMF World Economic Outlook Databaseより作成

<参考2>借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
(1)ホーチミン市都市鉄道建設事業(ベンタイン−スオイティエン間(1号線))(III) 90,175 0.1 0.01 40 10 日本タイド
(2)タイビン火力発電所及び送電線建設事業(IV) 54,982 1.4 0.01 30 10 一般アンタイド
(3)第2期ホーチミン市水環境改善事業(III) 20,967 0.3 0.01 40 10 一般アンタイド

※ (1)はSTEP(本邦技術活用条件)、(3)は優先条件(環境・気候変動)を適用。
※ なお、調達プロセスの公正性と競争性を確保するため、ベトナム政府とJICAの協議を経て特定された案件について、ベトナム側が調達手続の第三者機関等による事後監査を実施することとするが、同監査費用は円借款に含めない。

関連ファイル: