バングラデシュ向け円借款契約の調印:急増する電力・交通需要への対応と災害リスク低減のため、過去最大規模の円借款を供与

2016年6月29日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は6 月29日、バングラデシュの首都ダッカにてバングラデシュ人民共和国政府との間で計6件、総額1,735億3,800万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

世界第8位の人口約1億6,000万人を擁するバングラデシュは、縫製、衣料関連産業の発展などにより、過去10年間で年平均6パーセントの経済成長を続けています。安価で豊富な労働力とその潜在的な市場規模などから、近年、有望な生産拠点、投資先となり得る新興国として、日本をはじめとする海外の企業から注目を集めています。しかし、急速な経済成長や都市化の進展に対して、インフラ整備が追いついておらず、交通ネットワークの構築や電力の安定供給など、ビジネス環境の整備が課題となっています。更に、バングラデシュはサイクロンや洪水等の自然災害対して脆弱な国土であるため、災害への対策も重要な課題となっています。JICAは、今回貸付契約が調印された6事業を通じ、バングラデシュのさらなる経済成長に向けた課題への取り組みや社会の脆弱性の克服を支援します。

これらの円借款事業の特徴は以下のとおりです。

(1) 国際競争力強化のためのインフラ整備 −交通・電力需要への対応−

交通分野では、首都ダッカや南アジア地域で急増する交通需要に対応するため、ダッカの都市交通インフラ及び南アジア各国を結ぶ交通網の整備を支援します。「ダッカ都市交通整備事業(II)」では、バングラデシュ初の都市高速鉄道(MRT)を建設することによって、自動車やバスに代わる交通手段を提供し、首都ダッカの慢性的な交通渋滞と大気汚染の解消に取り組みます。「クロスボーダー道路網整備事業(バングラデシュ)」では、アジアハイウェイ1号線等、アジア地域の主要都市を結ぶ経済回廊を整備するため、損傷の激しい既存橋の架け替えや国境施設の整備等に加え、ダッカ−コルカタ間で唯一陸路交通が分断されているカルナ橋の新設を行います。「ジャムナ鉄道専用橋建設事業(E/S)」では、隣国インドに繋がるアジア横断鉄道の一部に鉄道専用橋を建設し、将来、増加が見込まれるコンテナ輸送に対応します。

また、電力分野では経済成長に伴い急増する電力需要に対応するべく、電力供給の拡大と需要の抑制の両面から支援を行います。「マタバリ超々臨界圧石炭火力発電事業(II)」では、より少ない石炭で高効率な発電を行うことにより、温室効果ガス排出量を抑えつつ急増する電力需要を満たす電源を提供します。「省エネルギー推進融資事業」では、ツーステップローンによる低利融資等を通じて企業や家庭に省エネルギー機材の導入を促すことにより、エネルギーの利用効率の向上を目指します。

(2)自然災害に対する脆弱性の克服 −仙台防災枠組を具現化した円借款事業−

バングラデシュは世界で最も災害に脆弱な国の一つとされており、災害リスク削減に向けた災害リスクガバナンスの確立は重要な課題のひとつです。「災害リスク管理能力強化事業」では、2015年3月の国連防災世界会議で採択された仙台防災枠組を踏まえ、過去の災害で被災し復旧が不十分なインフラの本格復旧を通じた抑止・減災、災害発生時の応急対応に必要な情報伝達機器や救援用機材の整備を通じた事前準備、被災後の迅速な復旧支援のための仕組みの構築と実施を通じた復旧・復興という、災害マネジメントサイクルの実践により、同国政府の総合的な災害リスク管理能力の強化を図ります。

(参考)
借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
ダッカ都市交通整備事業(II) 75,571 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
クロスボーダー道路網整備事業(バングラデシュ) 28,698 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
ジャムナ鉄道専用橋建設事業(E/S) 2,464 - 0.01 40 10 一般アンタイド
マタバリ超々臨界圧石炭火力発電事業(II) 37,821 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
省エネルギー推進融資事業 11,988 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
災害リスク管理能力強化事業 16,996 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド

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