タイ向け円借款契約の調印:バンコクの交通渋滞緩和及び環境負荷軽減に貢献

2016年10月3日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、9月30日、タイ王国の首都バンコクにてタイ王国政府との間で「バンコク大量輸送網整備事業(レッドライン)(III)」を対象として1,668億6,000万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。


バンコク首都圏は、約1,000万人の人口を擁するタイの政治、経済の中心地であり、同国の経済成長にあわせて産業活動が活発化し、自動車等の車両台数が増加していますが、自動車に依存する交通システムが交通渋滞を引き起こし、人・物の流れのボトルネックとなっています。また、車両の排ガスが引き起こす大気汚染も問題視されており、環境負荷の軽減への取り組みが必要となっています。

こうした状況の中、本事業は、バンコク都内のバンスーと北部ランシットを結ぶ大量輸送鉄道レッドライン(高架・地上10駅、26km)を新たに建設し、バンコク首都圏における輸送需要への対応、交通渋滞の緩和及び大気汚染の改善を図るものです。

バンコク都市鉄道については、1999年12月にグリーンライン(通称:スカイトレイン)、2004年7月にブルーライン(円借款「バンコク地下鉄建設事業(I)〜(V)」により支援)、2010年8月にエアポート・レイル・リンク、2016年8月にパープルライン(円借款「バンコク大量輸送網整備事業(パープルライン)(I)〜(II)」により支援)が営業を開始していますが、パープルラインを除いて主にバンコク中心部を運行しているため路線距離が限定的であり、依然として公共交通利用者の多くがバス交通に依存しています。このため、輸送需要への対応は限定的な状況にあり、道路交通から鉄道へのモーダルシフトを一層推進するため、公共交通軌道路線のネットワーク化及び郊外への延伸が必要とされています。本事業の交通需要予測では、開業年(2020年)に1日12.3万人、10年後(2030年)に1日19.4万人、15年後(2035年)に1日22.6万人の利用客が見込まれており、バンコク首都圏の交通渋滞緩和に大きく貢献することが期待されています。加えて、本事業は、道路交通から都市鉄道交通への転換を促すものであり、本事業による気候変動の緩和効果(温室効果ガス排出削減量の概算)は、約47,294トン/年CO2換算となります。

本事業の始発駅となるバンスー駅は長距離バスターミナルに隣接し、レッドラインの他、各方面の在来線、ブルーライン、エアポート・レイル・リンクが乗り入れるため、バンコクにおける公共交通システムの接続ターミナル駅としての役割が期待されています。

本事業については、第1期(2009年3月借款契約調印、630億1,800万円)及び第2期(2015年6月借款契約調印、382億300万円)の円借款を供与済であり、今次円借款は3期目の供与となります。

本件にかかる貸付資金は高架、駅舎、車両基地等に係る土木工事、電気・機械システム・車両の調達及びコンサルティング・サービス(入札補助、事業全体管理、施工監理)費用等に充当されます。

(参考)
1.借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
バンコク大量輸送網整備事業(レッドライン)(III) 166,860 0.3 0.01 15 5 一般アンタイド

2.事業実施機関
タイ国有鉄道(State Railway of Thailand: SRT)
1 Rong Muang Rd., Pathumwan, Bangkok 10330, Thailand
TEL:+66-2-220-4174 FAX:+66-2-220-4774 / +66-2-220-4752

3.今後の事業実施スケジュール(予定)
(1)事業の完成予定時期: 2020年7月(商業運転開始時をもって事業完成)
(2)コンサルティング・サービス(施工監理等):雇用済み
(3)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:
契約済み