エジプト向け円借款契約の調印:電力及び観光分野のインフラ整備支援により経済発展に貢献

2016年10月25日

国際協力機構(JICA)は、10月24日、エジプト・アラブ共和国の首都カイロにてエジプト・アラブ共和国政府との間で、総額905億700万円(計2件)を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

エジプトでは2011年の政変以来、観光業、製造業といった主要産業の停滞、海外投資の落ち込みが影響し、経済状況が悪化しました。2014年6月に発足した現政権が推進する経済・財政面の改革等の進展により、公共投資や民間投資が増加し、政変以降2%前後で推移していた経済成長率は、2014/15年度(注1)には4.2%に回復し、今後も3〜4%台で推移する見通しです。しかし、政変の原因となった物価の上昇等の経済状況の悪化や若年層の高い失業率は、依然エジプトの課題であり、JICAは、エジプトの包摂的・持続的な成長の実現に向けた支援を行っています。

(注1)エジプトの会計年度は7月1日から6月30日であり、2014/15年度は2014年7月から2015年6月を指す。以降同様。

今次調印する円借款の特徴は、以下の通りです。

(1)電力供給の効率性・信頼性向上を支援

電力セクター復旧・改善事業署名式の様子

2004年以降、エジプトの最大電力需要は年平均6%と年平均経済成長率の4.4%を上回るペースで伸びており、現在のままでは、2017/18年度は最大電力需要が現在の供給能力を超える見込みです。旺盛な電力需要に対応して安定的に電力を供給するため、今後も既設発電所のプラント効率の維持・向上及び更なる発電設備容量の増強が必要となっています。

「電力セクター復旧改善事業」では、カイロ発電公社、中デルタ発電公社、西デルタ発電公社管轄の既設の火力発電所の機器の更新、リハビリ及びスペアパーツ供給により、老朽化により効率が低下していた既設の火力発電所の発電設備容量を回復させると同時にプラント効率を向上させることで、電力供給の安定化を図ります。また、発電所のプラント効率向上により、温室効果ガス排出量が削減されることで、気候変動の緩和に貢献することが期待されます。

(2)観光振興を通じた持続的な経済成長を支援

大エジプト博物館事業署名式の様子

エジプトは文化財の宝庫であり、かつては世界各国から年間1,400万人を超える観光客が訪れていましたが、2011年及び2013年の二度の政変による治安情勢の悪化等を受け、観光客の数は減少し、2015年の観光客は930万人に減少しました。
そのような中でも観光セクターは依然当国のGDPの11%(2015年)、雇用の12%(2015年)を占め、重要産業として位置づけられています。

「大エジプト博物館建設事業」は、博物館を新規に建設することにより、歴史的文化遺産の保存修復・展示・研究・教育等の諸機能の強化を図るものです。大エジプト博物館の建設を通じ、エジプトの観光産業の発展と雇用機会の創出、ひいては経済社会発展に寄与することが期待されます。なお、本事業に対しては、第一期(2006年5月承諾、348億3,800万円)の円借款を供与済であり、今次円借款は第二期分として供与するものです。

(参考)
1.借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
電力セクター復旧改善事業 41,098 0.3 0.01 40 10 一般アンタイド(※)
大エジプト博物館建設事業(第二期) 49,409 1.4 0.01 25 7 一般アンタイド(※)

※調達条件に借款供与条件(条件、適用金利、基準/オプション)が記載されていたため、調達条件に訂正しました。(2016年10月26日)


(1)「電力セクター復旧改善事業」
Electricity Sector Rehabilitation and Improvement Project

(a)事業の背景と必要性 
エジプトでは、2004/05年度から2013/14年度の10年間に平均4.4%の経済成長を遂げましたが、同期間中、最大電力需要はそれを上回る年平均6.0%の伸びを示しており、電力需要は逼迫した状況です。一方、送配電ロス率は2010/11年度から増加傾向にあり、今後、電力供給量が増加するにつれ、さらに増加することが懸念されます。今後、安定的に電力を供給するためには、更なる発電設備容量の増強とともに、増加する電力需要に対応した送配電設備の整備・改善によるエネルギー効率化を行うことが喫緊の課題となっています。

(b)事業の目的及び概要
本事業は、カイロ発電公社、中デルタ発電公社、西デルタ発電公社管轄の既設の火力発電所の機器の更新、リハビリ及びスペアパーツ供給により、既設の火力発電所の発電設備容量を回復させると同時にプラント効率を向上させることで、電力供給の安定化を図ります。あわせて、温室効果ガスの排出抑制を図り、もってエジプトの経済・社会の発展、気候変動の緩和に寄与するものです。

具体的には、主にガスタービンの部品の更新を行うことによって出力の回復およびプラント効率の向上を図ります。この機器の更新は発電所の新設と比較すると現地工事期間が短く、定期点検に合わせて実施することで発電所の追加停止期間が不要となるため逼迫する電力需要への影響が最小限となります。また、ガスタービン部品のコーティング、補機取替、制御装置の更新等を行うことによって、機械故障による発電所停止時間の低減し、発電所の信頼性を向上させます。

なお、本借款の貸付資金は、既設火力発電所の機器の更新、リハビリ及び予備的部品供給及びコンサルティング・サービス(入札図書作成補助、施工監理、研修等)に充当されます。

(c)事業実施機関
エジプト電力持株公社(Egyptian Electricity Holding Company)
住所:Ramsis St., Ext,Abbasia, Cairo, Egypt
TEL: +20-2-33600745  FAX: +20-2-24027863

カイロ発電公社(Cairo Electricity Production Company)
住所: 22 Shannan St., Sabtia, Cairo, Egypt
TEL: +20-1223530428 FAX: +20-2-24277246

西デルタ発電公社(West Delta Electricity Production Company)
住所: 7 Riad Street, Glim Area, Alexandria, Egypt
TEL: +20-1227966067 FAX: +20-3-5091849

中デルタ発電公社(Middle Delta Electricity Production Company)
住所: Dispatch Building, Electricity and fertilizers road, Talkha, Dakahlia, Egypt
TEL: +20-1270007034 FAX: +20-4-52501996

(d)今後の事業実施スケジュール(予定)
(i)事業の完成予定時期:2021年5月(対象候補の全ての発電所の施設供用開始をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス(施工監理等)にかかる招請状送付予定時期:2016年11〜12月
(iii)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示:2016年11月〜12月

(e)JICA情報提供窓口
本事業の調達スケジュールに関する情報は、下記窓口にお問い合わせください。
国際協力機構エジプト事務所
(Contact Point for Electricity Sector, JICA Egypt Office,)
住所:World Trade Center 8th floor, 1191 Corniche El Nile St., Boulak, Cairo. EGYPT
TEL:+20-2-25748240、FAX:+20-2-25748243


(2)「大エジプト博物館建設事業(第二期)」
The Grand Egyptian Museum Construction Project (II)

(a)事業の背景と必要性 
エジプトにおいて観光セクターは、経済波及効果・雇用創出効果が大きく、石油関連輸出、スエズ運河通行収入、海外労働者送金とあわせた当国の四大外貨獲得源の一つであり、経常収支の黒字化を目指す上での重要産業として位置付けられています。中でも、歴史的文化遺産の有効活用は、当国政府において最も重要な観光セクターの課題の一つであり、これまでルクソール、アレキサンドリア等において博物館等の建設を進めてきましたが、当国で最も重要な歴史的文化遺産を保存・展示しているカイロ博物館(1902年に開館)は、開館から100年以上が経過し、建物・設備の老朽化が目立っている上に、展示のためのスペースや技術、人材が不足し、近代的な博物館としての機能は低い水準に留まっています。

(b)事業の目的及び概要
本事業は、ギザ県の三大ピラミッド地区(カイロ南西15km)において、博物館を新規に建設することにより、歴史的文化遺産の保存修復・展示・研究・教育等の諸機能の強化を図り、もってエジプトの観光産業の発展と雇用機会の創出、ひいては経済社会発展に寄与するものです。

なお、本借款の貸付資金は、博物館建設、展示工事、ICT工事及びコンサルティング・サービス(施工監理、調達支援等)に充当されます。

(c)事業実施機関
考古省(Ministry of Antiquities)
住所:3 El Adel Street, Zamalek, Cairo, Egypt
TEL : +20-2-7358-761  FAX : +20-2-7357-239

(d)今後の事業実施スケジュール(予定)
(i)事業の完成予定時期:2018年5月(博物館開館時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス(施工監理等)にかかる招請状送付時期:契約済
(iii)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示:契約済

(e)JICA情報提供窓口
本事業の調達スケジュールに関する情報は、下記窓口にお問い合わせください。
国際協力機構エジプト事務所
(Contact Point for Transport Sector, JICA Egypt Office,)
住所:World Trade Center 8th floor, 1191 Corniche El Nile St., Boulak, Cairo. EGYPT
TEL:+20-2-25748240、FAX:+20-2-25748243