セネガル向け円借款契約の調印:海水淡水化施設の建設および保健医療サービスのアクセス向上支援により生活環境改善に貢献

2016年11月16日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、11月15日、ダカールにてセネガル共和国政府との間で、2件、総額359億300万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

セネガル共和国は、1960年の独立以来、クーデターを経験しておらず、安定した民政を維持しています。西アフリカ内陸国への玄関口として、域内の流通及び経済活動の拠点となっており、経済面では、農業・漁業に加え、エネルギー、インフラ、観光業、織物産業、情報技術や、特に鉱業分野への官民投資の拡大が経済成長を後押ししています。セネガルの実質GDP成長率は、好調な農業生産を背景に2013年の2.8%から2014年には4.7%、2015年は6.5%となり、堅調な伸びをみせています(2016年、IMF)。

セネガル政府は、2014年2月にセネガル新興計画(PSE:Plan Senegal Emergent)を策定し、2035年に新興国入りすることを目指した戦略を掲げており、2020年以降には7%台の経済成長率を目指しています。その実現に向け、1.現在の成長産業の強化と、富や雇用を創出する開発(輸出力強化、投資促進など)を通じた経済の構造改革、2.生活環境改善、社会保障と持続的成長、3.社会平和と国家開発ポテンシャルを最大化するための平和と安定、ガバナンス、自由と人権保護の強化、の3つの柱を打ち出しています。

今回調印した円借款の特徴は以下のとおりです。

(1) ダカール首都圏における海水淡水化事業を通じた給水能力の強化

セネガルの産業活動の約8割が集中しているダカール首都圏では、近年人口が急増し、全国土面積の約0.3%の地域に同国の全人口の20%以上に相当する約310万人(2013年)が居住しています。人口増加に比例して水の需要も急速に増加しており、現在の水供給量では、1日当たりの最大需要量を満たせていない状況です。今後更なる人口増加が見込まれる中、水供給量の増加は喫緊の課題となっています。「マメル海水淡水化事業」は、セネガルの首都ダカールに、同国で初となる海水淡水化施設(生産水量50,000立方メートル/日)を新たに建設するとともに、市内の配水管網を改善し、水源の多様化や水供給能力の強化を図ることにより、ダカール首都圏の人々の生活環境の改善に資することを目的としています。

(2)国家ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)戦略の推進

セネガル政府は、2015年まで国連ミレニアム開発目標(MDGs)にそってHIV感染率の減少や5歳未満児死亡率の減少など保健分野の取り組みを進めてきましたが、2015年時点で5歳未満児死亡率が47(出生千対)、妊産婦死亡率が315(出生十万対)と、MDGs(5歳未満児死亡率:同44、妊産婦死亡率:同127)達成に至らず、依然として地域間や経済水準による格差も存在しています。これらの指標の改善が進んでいない背景には、特に地方部などで保健医療施設の数が十分でなく距離が遠いといった物理的アクセスの課題と、保健医療サービスの利用者が医療費を負担できないという経済的アクセスの課題が存在します。「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ支援プログラム」は、全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、必要な時に支払い可能な費用で受けられる状態(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)の達成に向けて、財政支援を通じて保健財政戦略といった保健関連戦略策定等を促進することにより、保健医療サービスへの物理的及び経済的アクセスを改善することを目的としています。

(参考)

借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
マメル海水淡水化事業 27,463 0.70 0.01 30 10 一般アンタイド
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ支援プログラム 8,440 0.01 - 40 10 一般アンタイド

(1)「マメル海水淡水化事業」
Mamelles Sea Water Desalination Project

(a)事業の背景と必要性 
セネガルの産業活動の約8割が集中しているダカール首都圏では、近年人口が急増し、全国土面積の約0.3%の地域に同国の全人口の20%以上に相当する約310万人(2013年)が居住しています。人口増加に比例して水の需要も急速に増加しており、現在の水供給量では、1日当たりの最大需要量を満たせていない状況です。今後更なる人口増加が見込まれる中、水供給量の増加は喫緊の課題となっています。ダカール首都圏の水源は、現在、表流水と地下水が約半分ずつを占めていますが、表流水を供給している2つの浄水場はいずれもダカールから約250 kmの遠隔地に位置するギエール湖を水源としており、送水管の破損による断水リスクも高い状況にあります。実際に、2013年9月に浄水場とダカール州を結ぶ送水管の破裂が発生し、約3週間の断水により首都圏の住民生活と経済活動に深刻な影響を及ぼしました。地下水については揚水過多のため中長期的には利用の抑制が求められており、水源の多様化を通じた水供給能力の拡大と水の安全保障がセネガル政府の優先課題の1つとなっています。また、ダカール市内では、配水管の老朽化に伴う漏水も非常に多いことから、代替水源開発と併せて漏水削減も急務となっています。

(b)事業の目的及び概要
セネガルの首都ダカールに、同国で初となる海水淡水化施設(生産水量50,000立方メートル/日)を新たに建設するとともに、市内の配水管網を改善し、水源の多様化や水供給能力の強化を図ることにより、ダカール首都圏の人々の生活環境の改善に資することを目的とするもの。

(c)事業実施機関
セネガル水道公社(SONES)
住所:  Route du Front de Terre, BP : 400 Dakar
TEL:(+221) 33 839 78 02、FAX:(+221) 33 832 20 38

(d)今後の事業実施スケジュール(予定)
(1)事業の完成予定時期:
2021年12月(すべての施設完工時をもって事業完成とする)
(2)コンサルティングサービス(詳細設計等)にかかる招請状送付予定時期:
2016年11月
(3)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:
調達パッケージ名:海水淡水化施設建設工事パッケージ(Package for Construction of Desalination Plant)
予定時期:2017年10月

(2)「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ支援プログラム」
Universal Health Coverage Support Program

(a)事業の背景と必要性 
セネガル政府は、2015年まで国連ミレニアム開発目標(MDGs)にそって保健分野の取り組みを進めてきましたが、2015年時点で5歳未満児死亡率が47(出生千対)、妊産婦死亡率が315(出生十万対)と、MDGs(5歳未満児死亡率:同44、妊産婦死亡率:同127)達成に至らず、依然として地域間や経済水準による格差も存在しています。これらの指標の改善が十分進んでいない背景には、特に地方部などで保健医療施設の数が十分でなく距離が遠いといった物理的アクセスの課題と、保健医療サービスの利用者が医療費を負担できないという経済的アクセスの課題が存在します。物理的アクセスの課題として、セネガルの人口10,000人当たりの医師数(0.6人)及び看護師・助産師数(4.2人)がWHO推奨水準(医師・看護師・助産師数22.8人)を大きく下回っていること、人口10万人当たりの病院数(0.2)もアフリカ全地域平均(0.8)に達していないこと等があげられます。また、医療施設・医療従事者の多くは首都圏に集中しているため地域格差も大きく、医療施設のWHO推奨水準(人口30万人に対して1病院)を満たしている州は、全14州中2州のみに限られています。また、経済的アクセスの課題として、セネガル政府は貧困層や母子を対象とした健康保険制度や無料医療制度の普及を進めてはいるものの、これら医療保障制度を活用できている人口の割合は32.6%に留まっています。

(b)事業の目的及び概要
セネガルにおいて全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、必要な時に支払い可能な費用で受けられる状態(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)の達成に向けて、財政支援を通じて保健財政戦略といった保健関連戦略策定等を促進することにより、最貧困層を主な対象として保健医療サービスへの経済的及び物理的アクセスの改善を図るもの。

(c)事業実施機関
セネガル経済財務計画省(MEFP)
住所:Avenue Carde x Rue René Ndiaye, BP: 4017- Dakar
TEL:(+221) 33 889 26 99 、FAX:(+221) 33 822 41 95

(d)今後の事業実施スケジュール(予定)
(1)事業の完成予定時期:
2017年8月(貸付完了時をもって事業完成とする)
(2)コンサルティングサービス(詳細設計等)にかかる招請状送付予定時期:
本事業においてはコンサルタントの雇用は予定していません。
(3)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:
本事業においては入札を伴う工事の実施は予定していません。