ベトナム向け円借款契約の調印:政策、制度改善支援を通じたベトナム経済の国際競争力強化と気候変動への対応

2017年1月17日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、1月16日、ベトナム社会主義共和国政府との間で、総額210億円(計2件)を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

ベトナムは、1990年代以降順調に経済成長を続け(参考1)、国家目標であった2010年までの低中所得国入りを達成しました。これに伴い、貧困率も低下しています(注)。2015年にはASEAN域内関税が撤廃され、工業国化達成を目指していくなか、インフラ整備を通じた投資環境の整備に加え、金融システムの改善等の経済構造・行政制度の改革を通じて中長期的にマクロ経済の安定化を図り、国際競争力を強化する必要があります。他方で、都市部に比べて貧困率が高く全人口の約7割を占める農村住民の所得向上や、都市化に伴い悪化する公衆衛生環境の改善、気候変動影響に対する脆弱性の削減も必要です。

このような状況のもと、今回の円借款では、財政支援と政策対話等を通じた国際競争力の強化及び気候変動への対応に係る政策・制度の改善を支援します。主な特徴は以下の通りです。

(1)国際競争力強化のための政策制度改革支援

「第3次経済運営・競争力強化借款」では、ベトナム経済の競争力強化のために、金融セクターの安定化、財政規律の強化、行政改革、国営企業の運営改善、公共投資の改善、行政手続の円滑化などの各種政策制度改革について、財政支援と政策対話等を通じてその着実な実行を支援するものであり、世界銀行等との協調融資を予定しています。
 
(2)脆弱性の克服に向けた気候変動対策支援

「気候変動対策支援プログラム(VII)」では、気候変動の影響を最も受けやすい国の一つに挙げられているベトナムにおいて、財政支援と政策対話等を通じて、気候変動の緩和、適応、分野横断的課題の解決に向けた取り組みを支援します。

JICAは今後とも、円借款、技術協力や無償資金協力などの多様なODAスキームを一体的に運用しながら、ベトナムの開発課題に対して機動的に取り組んでいく方針です。

(注)ベトナムの貧困率は、1998年の37.4%から2014年に8.4%まで低下。
(出所:United Nations Development Programme “Country Report: 15 years achieving the Viet Nam Millennium Development Goals”)

<参考1> ベトナム:成長パフォーマンス

【画像】

(出所)IMF World Economic Outlook Databaseより作成

<参考2>借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
(1)第3次経済運営・競争力強化借款 11,000 1.4 - 30 10 一般アンタイド
(2)気候変動対策支援プログラム(VII) 10,000 0.3 - 40 10 一般アンタイド

※ (2)は優先条件(環境・気候変動)を適用。
※ なお、調達プロセスの公正性と競争性を確保するため、ベトナム政府とJICAの協議を経て特定された案件について、ベトナム側が調達手続の第三者機関等による事後監査を実施することとするが、同監査費用は円借款に含めない。

関連ファイル: