ミャンマー向け円借款貸付契約の調印:基礎インフラの整備及び地方部の貧困削減に貢献

2017年3月1日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、3月1日、ミャンマーの首都ネピドーにてミャンマー連邦共和国政府との間で、6事業、総額1,250億2,100万円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印しました。

2016年3月に発足した国民民主連盟が率いる新政権は、発足当初から重視していた地方・農業開発とともに、投資促進・インフラ整備、産業発展についても重点を置いています。我が国は2013年、25年ぶりに円借款の供与を再開して以降、これまで15件の円借款を供与し、ミャンマーの改革を後押しし、持続的な発展を支援しています。

近年、経済制裁解除や投資・貿易促進等の影響により、同国の実質経済成長率は7%を超えて推移しています。しかし、ミャンマーの経済基盤インフラは多くの課題を抱え、持続的な経済成長・貧困削減や更なる投資促進のボトルネックとなっています。

今回調印した円借款契約が対象とする事業は以下の6件です。

(1) バゴー橋建設事業(借款金額:310億5,100万円)
(2) 貧困削減地方開発事業(フェーズ2)(借款金額:239億7,900万円)
(3) 農業・農村開発ツーステップローン事業(借款金額:151億3,500万円)
(4) ヤンゴン都市圏上水整備事業(フェーズ2)(第一期)(借款金額:250億円)
(5) 地方主要都市配電網改善事業(借款金額:48億5,600万円)
(6) ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業フェーズI(II) 借款金額:250億円)

詳細は以下のとおりです。

(1) バゴー橋建設事業
  Bago River Bridge Construction Project

(a) 事業の目的と概要
本事業は、ティラワ経済特別区(Special Economic Zone: SEZ)の開発に伴い交通量の増大が予想される、ヤンゴン市とティラワSEZを含むタンリン地区間を結ぶバゴー川に橋梁を整備することにより、同区間の円滑な交通・物流網の整備・増強を図り、もってティラワSEZへの直接投資の増加及びミャンマー全体の経済発展に寄与するものです。

(b) 事業の背景と必要性
ティラワSEZの開発に伴い、ヤンゴン市とティラワSEZを結ぶ区間の交通需要の急増が見込まれています。ヤンゴン市とタンリン地区を隔てるバゴー川には、現在、タンリン橋とダゴン橋が架けられていますが、タンリン橋は老朽化により重量トラックの運行は制限されており、ダゴン橋はヤンゴン市内から北に約6.4km離れているためアクセスが容易ではありません。
こうした状況下、交通・物流網のボトルネックを改善するためには、交通の要衝であるバゴー川を渡河する新たな橋梁の整備が不可欠となっています。

(c) 実施機関
建設省橋梁局(Department of Bridge, Ministry of Construction)
住所:Building No.(11), Nay Pyi Taw, Myanmar
TEL:+ 95-67-407069 FAX: +95-67-407167

(d) 今後の事業実施スケジュール〈予定〉
1.事業の完成予定時期:2021年3月(施設供用開始時)
コンサルティング・サービス(施工監理等)にかかる招請状送付予定時期:2017年2月(送付済)
2.本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:
調達パッケージ名:
・フライオーバーの建設及び車線拡幅(Construction of Flyover/ Road Widening)
・バゴー橋本体右岸側の建設(Construction of Bridge (Right Bank))
・バゴー橋本体左岸側の建設(Construction of Bridge (Left Bank))
予定時期:2017年10月

(2) 貧困削減地方開発事業(フェーズ2)
Regional Development Project for Poverty Reduction Phase II

(a) 事業の目的と概要
本事業は、ミャンマー全国において、貧困層への裨益効果が高く、地方部の社会経済開発に資する生活基礎インフラ(道路・橋梁、電力、給水)の新設・改修・設置等を行うことにより、地方部の住民の生活向上を図り、もって地方部における開発・貧困削減に寄与するものです。

(b) 事業の背景と必要性
ミャンマーにおける貧困率(注1)は、過去数年で若干の改善傾向は見られるものの、2010年時点では25.6%とメコン諸国(注2)の中ではラオスに次いで2番目に高い数値となっており、社会経済状況は未だ発展途上にあります。
特に道路・橋梁、電力、給水分野の基礎インフラ整備はメコン諸国の中でも特に遅れており、こういった基礎インフラ整備の遅れは、住民の経済活動を制限し、主な貧困要因の一つとなっています。
また、ミャンマーの経済発展・貧困削減を促進させるためには、ヤンゴンやマンダレー等の大都市のみならず、貧困層の割合が多い地方部を支援することが不可欠です。
(注1) 大人1人あたりの年間消費額が約3万円(376,151チャット)以下の人口の割合
(注2) カンボジア、タイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス

(c) 実施機関
計画・財務省対外経済関係局(Foreign Economic Relations Department, Ministry of Planning and Finance)※総合調整機関
住所:Building No.1, Nay Pyi Taw
TEL:+95-67-407027 FAX:+95-67-407027

建設省道路局(Department of Highways, Ministry of Construction)※道路・橋梁分野実施機関
住所:Building No.11, Nay Pyi Taw
TEL:+95-67-4074701 FAX:+95-67-407073

電力・エネルギー省地方配電公社(Electricity Supply Enterprise, Ministry of Electricity and Energy) ※電力分野実施機関
住所:Building No.27, Nay Pyi Taw
TEL:+95-67-431273 FAX:+95-67-431272

電力・エネルギー省マンダレー配電会社(Mandalay Electricity Supply Corporation, Ministry of Electricity and Energy)※電力分野実施機関
住所:Between 26-27 and 77-78 streets, Chan Aye Thar Zan Township, Mandalay
TEL:+95-2-73802 FAX:+95-2-69110

農業畜産灌漑省地方開発局(Department of Rural Development, Ministry of Agriculture, Livestock and Irrigation)※給水分野実施機関
住所:Building No.14, Nay Pyi Taw
TEL:+95-67-409408 FAX:+95-67-409408

(d) 今後の事業実施スケジュール〈予定〉
事業の完成予定時期:2021年5月(全ての施設供用開始時)
コンサルティング・サービス(施工監理等)にかかる招請状送付予定時期:2017年3月
本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:本事業においては国際競争入札を伴う工事は予定していません。

(3) 農業・農村開発ツーステップローン事業
Agriculture and Rural Development Two Step Loan Project

(a) 事業の目的と概要
本事業は、ミャンマー全土において、ミャンマー農業開発銀行への中長期資金供給を通じた農家等へのツーステップローン供与及び同銀行への能力向上支援を実施することにより、ミャンマーの農業・農村開発金融に関する金融仲介機能の円滑化及び農家の生産性向上を図り、もって都市・農村間の均衡ある発展並びに農業・農村金融セクターの近代化に寄与するものです。

(b) 事業の背景と必要性
ミャンマーでは国民の約6割が農業セクターに従事し、農業のGDPに占める割合は27.9%、工業セクター内でも食料・飲料製造業は登録製造業企業数の65.9%を占めます。今後も、農業セクターの振興を通じて都市・農村間の均衡ある発展を実現することが求められますが、農家一戸当たりのトラクター・コンバイン等の生産資本所有量は小さく(ベトナムの4分の1程度)、また農業生産の効率化や多角化、農産品の品質向上や高付加価値化のための資本投資(加工施設、倉庫等)は不十分です。
農業の機械化・設備投資のためには中長期資金が必要ですが、ミャンマー国内の金融機関は農家向けに1年以上の貸付けをほとんど行っておらず、中長期資金へのアクセスの提供が必要となっています。

(c) 実施機関
ミャンマー農業開発銀行(Myanma Agricultural Development Bank:MADB)
住所:No. 26/42, Pansodan Street, Kyauktada Township, Yangon
TEL:+95-1-391016 FAX:+95-1-391002

(d) 今後の事業実施スケジュール〈予定〉
1.事業の完成予定時期:2020年9月(ツーステップローン貸付完了時)
2.コンサルティング・サービス(MADB能力強化等)にかかる招請状送付予定時期:2017年3月
3.本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:本事業では、本体工事に係る入札はありませんが、ミャンマー農業開発銀行により供与されるサブローン対象事業において、逐次事業実施のための調達が行われる見込みです。

(4) ヤンゴン都市圏上水整備事業(フェーズ2)(第一期)
Greater Yangon Water Supply Improvement Project( Phase II) (I)

(a) 事業の目的と概要
本事業は、ヤンゴン地域において、コッコア川を水源とする浄水場及び関連する送配水施設を新設・改修することにより、ヤンゴン市内の上水道サービスの改善を図り、もって同市民の生活環境の改善に寄与するものです。

(b) 事業の背景と必要性
ヤンゴン市の水道施設の整備は英国植民地時代の1842年に始まり、旧市街地を中心に50〜100年以上経過した配水管が多数存在しています。これら老朽管からの漏水は、ヤンゴン市の高い無収水率(66%)の原因の一つとなっています。現在、ヤンゴン市の上水道サービスは人口の約35%(184万人)をカバーしていますが、十分に浄水処理がされていない状態で給水されており、飲料用に適していません。
また、水源からの取水量の不足や、管の老朽化や漏水による水圧低下などにより十分に水が行き届かず、平均給水時間は8時間/日に留まっています。ヤンゴン市の水源は井戸と貯水池ですが、人口増加による水源枯渇の懸念から井戸の利用を止め、将来的には河川の水源を開発することが必要となっています。

(c) 実施機関
ヤンゴン市開発委員会水・衛生局 (Yangon City Development Committee, Engineering Department (Water and Sanitation))
住所:390 Merchant Road , Botahtaung Township, Yangon
TEL:+95-124-6016 FAX:+95-124-6016

(d) 今後の事業実施スケジュール〈予定〉
1.事業の完成予定時期:2025年3月(全ての施設供用開始時)
2.コンサルティング・サービス(詳細設計等)にかかる招請状送付予定時期:2017年3月
3.本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:
・コッコア浄水場の建設 (Construction of Kokkowa Water Treatment Plant)
・送水施設整備(Transmission Facilities up to Zone 9 SR)
・送水施設整備(Transmission Facilities from Zone 9 SR to Zone 1)
・配水施設整備(Distribution facilities for Zone 1 Low (by gravity))
・配水施設整備(Distribution facilities for Zone 1 High (by pumping))
予定時期:2018年11月

(5) 地方主要都市配電網改善事業
 Power Distribution System Improvement Project in Major Cities

(a) 事業の目的と概要
ミャンマーの地方主要都市において、配電網設備を改修・増強することにより、同都市の電力供給の改善を図り、もってミャンマー全体の経済発展及び国民の生活向上に寄与するものです。 

(b) 事業の背景と必要性
ミャンマーの電力需要は、近年の開発・投資の進展により、急激な伸びを見せていますが、ミャンマーの送配電ロス率は16%(2014年度)と高い水準にあり、特に、地方部においては、設備改修・更新の遅れから、送配電ロス率20%を超える都市も多く見られます。
また、変圧器の容量不足や機器の老朽化により、変電所は過剰稼働しており、変電設備の緊急負荷遮断や、計画外停電等の一因となっています。今後、電力需要に応じて電源開発が拡大したとしても、配電ロスや、変電設備の過剰負荷は安定的な電力供給の障害となるため、変電・配電設備の改修・増強が急務となっています。

(c) 実施機関
電力・エネルギー省地方配電公社(Electricity Supply Enterprise, Ministry of Electricity and Energy)
住所:Building No.27, Nay Pyi Taw
TEL:+95-67-431273 FAX:+95-67-431272

電力・エネルギー省マンダレー配電会社(Mandalay Electricity Supply Corporation, Ministry of Electricity and Energy)
住所:Between 26-27 and 77-78 streets, Chan Aye Thar Zan Township, Mandalay
TEL:+95-2-73802 FAX:+95-2-69110

(d) 今後の事業実施スケジュール〈予定〉
1.事業の完成予定時期:2020年3月(全ての変電所の供用開始時)
2.コンサルティング・サービス(詳細設計等)にかかる招請状送付予定時期:2017年1月(送付済)
3.本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示
調達パッケージ名:
・配電線信頼度向上機器の調達(Procurement of Reliability Improvement Equipment)
・33kV/11kVおよび66/11kV変電所の新設・増強(Construction and Installation of Transformers for 33kV/11kV and 66/11kV Substations)
・特殊工事用車両の調達(Procurement of Utility Vehicles)
予定時期:2018年1月

(6) ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業 フェーズI(II)
Yangon-Mandalay Railway Improvement Project Phase I (II)

(a) 事業の目的と概要
本事業は、ミャンマー第一・第二の商業都市であるヤンゴン〜マンダレーを結ぶ既存鉄道路線のうち、ヤンゴン〜タングー間において、老朽化した施設・設備の改修・近代化、新規車両の調達を実施することにより、より安全で高速の列車運行と旅客・貨物の輸送能力強化を図り、もってミャンマーの経済発展に寄与するものです。
本事業に対しては、第一期(2014年9月承諾、200億円)の円借款を供与中であり、今次円借款は第二期の供与となります。

(b) 事業の背景と必要性
ミャンマーの鉄道網の総延長は6,072km(2015年)ですが、1988年以降に2,985kmの新線が建設される等、近年の鉄道予算の大半が新線建設に充てられてきたため、既存輸送施設・設備の老朽化による安全性及び輸送サービスの低下が課題となっています。
特に、ヤンゴン〜マンダレー線は、ミャンマー最大の商業都市ヤンゴン、首都ネピドー、第二の商業都市マンダレーを結ぶ重要路線で、同路線が通るヤンゴン地域、バゴー地域、マンダレー地域には全国人口の37%にあたる1,955万人(2014年)が居住しており、旅客・貨物輸送需要が高まっていることから、同路線の老朽化の解消、近代化が喫緊の課題となっています。

(c) 実施機関
運輸・通信省ミャンマー国鉄(Myanmar Railways, Ministry of Transport and Communications)
 住所:Nay Pyi Taw Central Station Compound, Pobba Thiri Township, Nay Pyi Taw
 TEL:+95-67-77001  FAX: +95-67-77016

(d) 今後の事業実施スケジュール〈予定〉
1.事業の完成予定時期:2023年1月(工事完了時)
2.コンサルティング・サービス(施工監理等)にかかる招請状送付時期:2015年1月(送付済)
3.本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:
調達パッケージ名:
・軌道・土木改修工事・鉄道システム改良(Civil and Track Work, Installation of Signal & Telecommunication Systems)
予定時期: 2017年3月

借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
バゴー橋建設事業 31,051 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
貧困削減地方開発事業(フェーズ2) 23,979 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
農業・農村開発ツーステップローン事業 15,135 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
ヤンゴン都市圏上水整備事業(フェーズ2)(第一期) 25,000 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
地方主要都市配電網改善事業 4,856 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業 フェーズI(II) 25,000 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド