コンゴ民主共和国向け無償資金贈与契約の締結:国立生物医学研究所の施設・機材の整備により感染症対策に貢献

2017年5月29日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、5月26日、キンシャサにて、コンゴ民主共和国政府との間で、「国立生物医学研究所拡充計画」を対象として23億2,500万円を限度とする無償資金協力の贈与契約(Grant Agreement: G/A)を締結しました。

本事業は、感染症対策を担う同国唯一の国立機関である国立生物医学研究所(National Institute for Research and Biomedical: INRB)の検査・研究及び研修実施のための施設・機材を整備するものです。

コンゴ民主共和国では、保健システムが脆弱で、医療サービス提供能力に課題を抱えており、5歳未満児死亡率は出生千対98(2015年)、妊産婦死亡率も出生10万対693(2015年)と未だ高く、また、エボラ出血熱の大規模な流行を過去7回経験しています。今月13日にも、世界保健機関(WHO)が同国でエボラ出血熱の感染者が確認されたと発表しており、対策が急務となっています。

INRBでは感染症対策として、多剤耐性結核やウイルス性出血熱等の検査・診断・基礎的研究を実施するとともに、研究者・技術者に対する研修も行われています。また、長崎大学熱帯医学研究所やガーナの野口記念医学研究所との共同研究や、JICAの国際緊急援助隊・感染症対策チーム(2016年8月派遣)との連携等の実績を有しています。

他方、細胞培養を伴う診断や研究に必要な施設・機材、感染症診断やサーベイランス(注)を担う人材を対象とした研修施設などが不足しており、特に病原体等への曝露等を予防(バイオセーフティ)しつつ疫学検査等を実施するためのバイオセーフティレベル3(BSL-3)の検査室が無く、安全に検査や研究を行う環境が整っていないことが課題となっています。感染症対策をさらに強化するとともに、専門性を有した人材を育成していくためには、これら施設・機材整備が必要となっています。

本事業によるINRBの施設・機材の拡充を通じて、熱帯感染症等の診断及び基礎的研究を実施する環境が改善されるとともに、医療従事者や研究者の育成促進が見込まれます。また、これまで実施できなかった高いバイオセーフティが求められる検査や研究も実施できるようになることが期待されます。

JICAは、本案件に加え、同国保健省への専門家派遣を通じた政策支援や感染症のサーベイランスシステム構築・強化支援、技術協力プロジェクトやキンシャサ保健人材センターの整備による看護師や薬剤師等の中級保健人材の養成支援等を行っており、今後も同国の保健システムおよび感染症対策の強化を包括的に支援していきます。

(注)感染症の発生状況を調査・集計し、関連組織と情報共有を行うことで、感染症の蔓延を防止すること。

【案件基礎情報】
国名 コンゴ民主共和国
案件名 国立生物医学研究所拡充計画(The Project of Improvement of National Institute for Research and Biomedical)
実施予定期間 工期30ヵ月(詳細設計・入札期間含む)
実施機関 国立生物医学研究所
対象地域・施設 キンシャサ特別州・国立生物医学研究所
具体的事業内容(予定) (1)施設整備/機材調達
【施設】
検査・研究センター:1,572平方メートル、BSL-2及びBSL-3検査室各3室(細菌学用、ウイルス学用、動物検体処置用含む)
研修センター:1,349平方メートル、BSL-2研修室2室、会議室等
臨床治験センター:144平方メートル
【機材】
検査・研究センター:バイオセーフティキャビネット、グローブボックス、CO2インキュベーター、滅菌器等
研修センター:バイオセーフティキャビネット、顕微鏡、実験台等
臨床治験センター:診察台、患者用ベッド、薬品保管庫等

(2)コンサルティング・サービス
詳細設計、入札補助、施工・調達監理
ソフトコンポーネントとして、BSL-2・BSL-3検査室の空調換気設備、特殊機材及び医療廃棄物・廃水処理設備の運転・維持管理に関する技術指導