インドネシア向け技術協力プロジェクト討議議事録の署名:JICA初、社労士資格の導入を支援

2017年6月20日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、2017年6月16日、インドネシアの首都ジャカルタにて、同国政府との間で、技術協力プロジェクト「社会保険実施能力強化プロジェクト」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。

本事業は、日本独自の制度である社会保険労務士制度(以下、社労士)をインドネシアに適した形で導入し、同国における社会保険の適正な適用と保険料徴収システムの向上を目指すもので、JICAにとって社労士制度の導入を支援する世界で初めての協力となります。

経済成長著しいインドネシアですが、今後2025年から30年頃にかけて人口ボーナスが収束し、その後徐々に少子高齢化が進むことが見込まれており、早期に安定的で効率的な社会保険制度を確立する必要があります。そのため、同国政府は、労働保険(労災、老齢一時金、死亡一時金、年金)について、フォーマルセクター(注1)で37%、インフォーマルセクター(注2)で0.4%にとどまる加入率(いずれも2015年10月時点)を、2019年までにそれぞれ80%、5%まで改善することを目標としています。また、健康保険についても、2019年までに全人口をカバーすることを国家目標に掲げていますが、労働者の多くが、健康保険制度の存在や必要性を理解していないために、加入者数が伸び悩んでいるのが実情です。

JICAは、2016年に日本の厚生労働省や社労士会と連携し、インドネシア政府高官に対し社会保障の適用拡大・保険料徴収機能強化に関する研修を実施しました。日本の社会保険労務士制度を紹介したところ、その効率性と有効性に高い関心が寄せられ、導入支援が要請されたものです。本事業では、インドネシア版社会保険労務士制度等の運営の仕組み構築や、社労士育成のための講習、試験実施の支援を通じて、保険の適正な適用及び保険料の徴収のシステムがインドネシアで円滑に運用され、将来的には他国への応用がされことを目指します。

来年は日インドネシア国交樹立60周年にあたり、長年の協力の歴史を有するインドネシアですが、JICAは、本事業のように新しい課題に対する支援も行いつつ、引き続きインドネシアの発展に貢献していきます。

【案件基礎情報】
国名 インドネシア共和国
案件名 社会保険実施能力強化プロジェクト
実施予定期間 2017年8月〜2020年8月
実施機関 社会保障審議会(DJSN)、社会保険実施機関(健康)(BPJS健康)、社会保険実施機関(労働)(BPJS労働)
対象地域 インドネシア全土
具体的事業内容(予定) インドネシア版社会保険労務士(以下、イ版社労士)制度等の運営の仕組み構築や、イ版社労士育成のための講習、試験実施の支援を通じて、保険の適正な適用及び保険料の徴収のシステムがインドネシアで円滑に運用されることを目指す

(注1) 公務員、法人として登録されている企業で働く者等
(注2) 法人として登録されていない団体で働く者等