スリランカ向け無償資金贈与契約の締結:気象観測レーダー等の整備により雨量観測能力の向上と自然災害の被害軽減に貢献

2017年6月30日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、6月30日、コロンボにて、スリランカ民主社会主義共和国政府との間で、「気象観測ドップラーレーダーシステム整備計画」を対象として、25億300万円を限度とする無償資金協力の贈与契約(Grant Agreement: G/A)を締結しました。

本事業は、スリランカ全土において、気象観測レーダー塔及び気象レーダー中央処理システム・表示システムを整備することにより、リアルタイム雨量観測に関する能力強化を図り、もって気象災害による被害の緩和を目指すものです。

スリランカでは洪水や地滑りといった自然災害が多発しており、ひとたび発生すると、特に災害に対して脆弱な貧困層を中心に、生命や財産に関わる大きな被害や影響が出るリスクをはらんでいます。同国の自然災害は90%以上が気象に起因していますが、地上雨量観測体制が十分でなく、必要な気象観測網も構築されていないため、リアルタイムで降雨状況や雨量情報の把握・提供が十分できず、予警報発出や避難誘導の実施も困難となっています。

2017年5月下旬には、降り続いた豪雨により、南西部を中心に洪水、土砂崩れが発生し、死者約200名、行方不明者約100名を含む約70万人に影響が及ぶ甚大な被害が生じました。JICAは、この豪雨災害被害に対して、国際緊急援助隊(専門家)チームを派遣し、洪水・土砂災害被害現場の踏査やスリランカ関係機関との協議を踏まえ、気象情報のより迅速・精緻な収集、分析、さらに提供・普及が、同国の防災能力強化に向けた重要な課題の一つであることをスリランカ政府と改めて確認しました。

本事業により、スリランカ全域及び周辺海域における雨量・風速・風向きデータ等の気象現象を、リアルタイムでより精緻に監視できるようになり、収集・分析した気象情報を迅速に提供することが可能になります。この結果、自然災害の発生を予測し、予警報発出や避難誘導など防災対策を取る能力が強化され、被害が軽減することが期待されます。

JICAは、本事業に加え、防災政策・制度整備及び人材育成、洪水対策に関するマスタープラン作成支援等も実施し、今後も同国の災害に強い国づくりに向けた取り組みを包括的に支援していきます。

【案件基礎情報】
国名 スリランカ民主社会主義共和国
案件名 気象観測ドップラーレーダーシステム整備計画(Project for the Establishment of a Doppler Weather Radar Network)
実施予定期間 工期50ヵ月(詳細設計・入札期間含む)
実施機関 スリランカ気象局
対象地域・施設 プッタラム気象レーダー観測所、ポトゥビル気象レーダー観測所、コロンボ本局気象センター、コロンボ国際空港気象事務所、マッタラ・ラジャパクサ国際空港気象事務所
具体的事業内容(予定) (1)施設整備/機材調達
気象レーダー塔(2棟)の建設、Cバンド固体化2重偏波気象ドップラーレーダーシステム(2基)、気象レーダー中央処理システム(1式)、気象レーダーデータ表示システム(5式)、気象データ衛星通信システム(3式)の整備

(2)コンサルティング・サービス
詳細設計、入札補助、調達・施工監理
ソフトコンポーネントとして気象レーダーの保守・運営、観測スケジュール作成に関する技術指導等

 

(参考リンク)