スリランカ向け円借款貸付契約の調印:インフラ整備を通じた住民の生活環境改善により地域間格差の是正に貢献

2017年7月10日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、7月7日、コロンボにてスリランカ民主社会主義共和国政府との間で、2事業、総額447億6,700万円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印しました。

スリランカは、2009年に26年にわたる紛争が終結して以降、復興に取り組んでおり、観光業等サービス産業の成長を背景に、着実な経済成長を実現しています。その結果、国民一人当たりの所得水準は中進国に近づきつつあります。一方、政治・経済の中心であるコロンボと、紛争の影響を受けた地域を含む地方部の経済格差は未だ大きく、さらに都市部においてもインフラ整備が進んだ地域とそれ以外の地域との間で格差が生じています。こうした状況の中、地域間格差を是正し、全ての国民が恩恵を受ける成長を実現するため、生活環境の改善等に寄与するインフラ整備を進めていく必要があります。

今回調印した円借款契約が対象とする事業は以下の2件です。
(1)復興地域における地方インフラ開発事業(借款金額:129億5,700万円)
(2)カル河上水道拡張事業(第一期)(借款金額:318億1,000万円)

詳細は以下のとおりです。

(1)復興地域における地方インフラ開発事業
Rural Infrastructure Development Project in Emerging Regions

(a)事業の目的及び概要
本事業は、紛争等により開発が遅れている北部州、東部州、北中部州、ウバ州において、基礎インフラ(地方道路、中・小規模灌漑、小規模給水)を整備することにより、当該地域の住民の生活環境の改善と生計の向上を図り、もって地域経済の振興、地域間格差の是正、貧困削減に寄与するものです。

(b)事業の背景と必要性
スリランカは2009年の紛争終結以降、堅調に経済成長を遂げる一方、過去26年に亘る紛争の直接的な影響を受けた北部州や東部州、これらに隣接する北中部州やウバ州では地方道路、灌漑施設、給水設備等、住民の生活や生産活動に直結する基礎インフラの整備が十分進んでいません。例えば、農村道路は本事業対象の4州の中で比較的発展している北中部州でも5%ほどしか舗装されていません。また灌漑施設の劣化や未整備により、対象4州における乾季の米作付面積は雨季の半分に留まっています。加えて、飲料水を確保するため外出する必要のある世帯が未だ多く、州によっては半数近くにのぼります。これら基礎インフラ整備の遅れは、農村部の住民の生活環境の改善や生計向上を阻む一因となっており、スリランカ経済の中心である西部州と対象4州の間では貧困率に大きな差が生じている等、地域間格差が顕著となっています。

このような状況を踏まえ、本事業では、地方道路の建設・改修(コンクリート舗装、拡幅、排水渠や橋等)、中・小規模灌漑施設の建設・改修(堤防の嵩上、排水溝や水門、水路等)、小規模給水施設の建設・改修(井戸、給水ポンプ場、水槽、配水管、水処理施設等)を行います。

(c)事業実施機関
州議会・地方政府省(Ministry of Provincial Councils and Local Government)
住所: No. 330, Dr. Colvin R. de Silva Mawatha (Union Place), Colombo 02, Sri Lanka
TEL:+94-11-230-5326、FAX:+94-11-234-7529

(d)今後の事業実施スケジュール(予定)
1.事業の完成予定時期:2021年9月(施設供用開始時をもって事業完成)
2.コンサルティング・サービス(詳細設計等)にかかる招請状送付予定時期:2017年10月
3.本体工事にかかる国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:本事業では、スリランカ国内で必要な調達が行われる予定であり、国際競争入札による調達は予定されていません。

(2)カル河上水道拡張事業(第一期)
Kalu Ganga Water Supply Expansion Project (I)

(a)事業の目的及び概要
本事業は、西部州南部のカルタラ県及びコロンボ県において、カル河水系の新規上水道施設の整備及び配水システムの再構築を行うことにより、同地域における安全な水へのアクセス向上及び給水の効率化を図り、もって同地域の居住環境の改善に寄与するものです。

(b)事業の背景と必要性
西部州は、スリランカのGDPの約42%、人口の約28.5%が集中する同国政治経済の中心で、工業団地・輸出加工区や同国最大の国際空港などを抱え、経済成長を牽引しています。インフラ整備も比較的進んでおり、上水道普及率は62.7%と全国平均45.9%と比較して高い水準にあるものの、同州コロンボ県以外の県では上水道が整備されていない地域が依然として残っています。西部州では今後も更に都市化が進展し、水需要が増加していくことが予測されるため、上水道サービスの更なる拡充が必要となっています。さらに、西部州では、配水管の老朽化による漏水や違法接続、料金メーターの未設置等により、無収水率が30〜40%に達しており、増大する水需要に対応するためには、無収水の削減を通じた給水の効率化が必要となります。

このような状況を踏まえ、本事業では浄水場の拡張、取水・送配水施設等の上水道関連インフラを整備するとともに、無収水対策にかかるパイロットプロジェクト(試行事業)を実施し、西部州南部の水供給能力を増強することで、安全かつ安定した給水を図ります。

(c)事業実施機関
都市計画・上水省(Ministry of City Planning and Water Supply)
住所: No. 35, New Parliament Road, Pelawatta, Battaramulla, Sri Lanka
TEL:+94-11-217-7240、FAX:+94-11-217-7242

(d)今後の事業実施スケジュール(予定)
1.事業の完成予定時期:2024年3月(施設供用開始時をもって事業完成)
2.コンサルティング・サービス(詳細設計等)にかかる招請状送付予定時期:2017年10月
3.本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示:パッケージ1(取水場、浄水場、ポンプ場等)(Intake & Water Treatment Plant Facilities)、パッケージ2(送水管、配水本管敷設)(Transmission & Distribution Feeder Main Pipes)、パッケージ3(配水池、ポンプ場等)(Reservoirs & Pump Stations)
予定時期:2019年9月

借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
復興地域における地方インフラ開発事業(Rural Infrastructure Development Project in Emerging Regions) 12,957 1.40 0.01 25 7 一般アンタイド
カル河上水道拡張事業(第一期)(Kalu Ganga Water Supply Expansion Project (I)) 31,810 1.40 0.01 25 7 一般アンタイド