イラン向け技術協力プロジェクト討議議事録の署名:土砂流出が顕著な山岳地帯において住民参加の環境保全と生計向上を支援

2017年8月16日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、8月15日、テヘランにて、イラン・イスラム共和国政府との間で、技術協力プロジェクト「カルーン河上流域における参加型森林・草地管理能力強化プロジェクト」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。

本事業は、イラン南西部のカルーン川流域において、同国政府が推進する統合的流域管理(注)の実施枠組の強化、住民参加による流域管理体制の強化、地域住民の生計向上のための技術支援を通して、流域の保全を目指すものです。

カルーン川は10州に跨る7万平方キロという国内最大の流域面積を有し、上流域ではヒツジやヤギの放牧が伝統的に行われ、人々の生活の糧となっています。しかし近年、上流域における違法伐採や家畜の過放牧による土地被覆の減少、それらに伴う水源涵養能力の低下などが原因で、土壌の侵食が進み、土石流、地滑りなどの災害が発生し、ダム貯水池では堆砂問題が顕著になるなど、流域住民の生活に影響を及ぼしています。

JICAは2000年から2002年にかけて「カルーン河流域管理計画調査」を実施し、同国政府とともにカルーン川上流域を対象とした流域管理に関するマスタープランを策定しました。その後、同マスタープランを踏まえ、JICAは2010年から2016年にかけて、カルーン河流域の約5割を占めるチャハールマハール・バフティヤーリ州において「チャハールマハール・バフティヤーリ州参加型森林草地管理プロジェクト」を実施し、植生の回復・改善に必要な住民参加型の管理体制の構築や、放牧以外への生業の転換による住民の生活水準の向上を支援しました。

本事業では、「参加型の管理体制構築・能力向上」、「地域コミュニティの生計向上」といった同プロジェクトの成果をカルーン河流域全体に広げていくことに加え、上記マスタープランに基づき、イラン側が独自に実施してきた治山ダム建設等の防災関連事業について、日本の治山技術を活用して質の向上を図ります。

また、関係する政府機関の連携を強化し、統合的流域管理を推進することで、カルーン川流域全体の保全に貢献していきます。

(注)統合的流域管理:イランの第6次国家5カ年計画に示されている関係各省が横断的に協力して実施する流域ごとの土砂保全手法

【案件基礎情報】
国名 イラン・イスラム共和国
案件名 カルーン河上流域における参加型森林・草地管理能力強化プロジェクト
実施予定期間 2017年12月〜2022年12月
実施機関 森林牧草地流域管理機構
対象地域 カルーン河上流域
具体的事業内容(予定) カルーン河流域の保全を図るための、住民参加型の流域森林・草地管理体制構築・能力向上、地域コミュニティの生計向上、治山技術の移転

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