ガーナ向け技術協力プロジェクト討議議事録の署名:母子手帳の全国展開で妊娠・出産・育児まで母子への継続的なケアを支援

2017年10月30日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、10月27日、アクラにて、ガーナ共和国政府との間で、技術協力プロジェクト「母子手帳を通じた母子継続ケア改善プロジェクト」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。

本事業は、母子手帳のガーナ全国への導入と、手帳が有効に活用されるための環境整備を通じて、より多くの母子が質の高い保健サービスを継続的に受けられるようになることを目指すものです。

ガーナでは、乳幼児死亡率の削減と妊産婦の健康の改善が重要な課題となっています。これまでも、改善に向けた取り組みを行ってきましたが、新生児死亡率は28(出生1000対)、5歳未満児死亡率は62(出生1000対)、妊産婦死亡率は319(出生10万対)と依然として高い数値であるほか(注1)、施設内妊産婦死亡率と同新生児死亡率については、数値が悪化(注2)している状況です。また、経済成長とともに、住民の健康状態や保健サービスへのアクセスにおける地域格差が課題となっており、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(注3)の考えのもと、格差是正に配慮しつつ、母子保健の向上を推進していく必要があります。

こうした課題に対し、同国政府は国家中期開発計画(2014-2017)において保健を重点分野の一つと位置づけ、また「国家保健セクター中期開発計画2014-2017」では、UHCの達成を見据えた保健サービスへのアクセス改善と、サービスの質の向上を政策目標としています。一方、日本政府が提唱する「EMBRACEモデル」(注4)に沿ってJICA等がガーナで実施した調査研究(注5)結果によると、母子保健の向上のためには、妊娠、出産、子どもの成長過程を継続してケアする、母子継続ケアが有効であることが明らかになりました。これまでも同国には、妊産婦のための「母手帳」と、出産後の「子ども手帳」がありましたが、「子ども手帳」を受け取るまでに時間を要するため、新生児期の記録はどちらの手帳にも記載されず、母子継続ケアのツールとして十分には機能していませんでした。

本事業により、母子の健康を継続的に管理するためのツールとして母子手帳を導入・展開することで、今後、ガーナ全国において質の高い包括的な母子継続ケアが可能になり、ひいては母子の健康改善につながることが期待されます。更に母子手帳を活用して質の高い包括的な母子継続ケアを実現させるため、母子一人ひとりの状況に応じた継続的な保健指導や栄養指導の強化、啓発教材の開発等も支援します。

(注1) 出典:UNICEF,The State of the World's Children 2016
5歳未満児死亡率の順位は35位である。

(注2)施設内妊産婦死亡率は142から150(出生10万対)、同新生児死亡率は5.34から6.28(出生1000対)に悪化(ガーナ保健省、Annual Health Summit Holistic Assessment of 2016にて公表)。

(注3) すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられること。

(注4) 日本政府は、2010年9月に行われたミレニアム開発目標に関する国連首脳会合会において新国際保健政策を発表し、産前から産後までの切れ目のない手当てを確保することで母子の命を守ることに焦点をあてた支援モデル(Ensure Mothers and Babies Regular Access to Care: EMBRACEモデル)を提唱。

(注5)JICAは、東京大学、ガーナ国保健省と共同で、EMBRACEモデルの検証を目的とした研究プロジェクト「ガーナEMBRACE実施研究」を実施。

【案件基礎情報】
国名 ガーナ共和国
案件名 母子手帳を通じた母子継続ケア改善プロジェクト
実施予定期間 2017年12月〜2020年11月
実施機関 ガーナヘルスサービス
対象地域 ガーナ全土(但し、活動の一部については重点地域に対象を絞る)
具体的事業内容(予定) 全国レベルの活動として、母子手帳の配布と活用法についての訓練、母子手帳の制度化による現行の保健サービスへの統合を実施。更に6郡の重点地域(プロジェクト開始後に選定)では、母子手帳を有効に活用し質の高いサービスを提供するための教材開発や実地訓練、栄養改善のためのカウンセリング技術の強化、母親向けの啓発教材の開発を実施