フィリピン向け円借款貸付契約の調印:洪水対策事業により産業集積地域の洪水被害の軽減に貢献

2017年11月14日

国際協力機構(JICA)は、11月13日、フィリピン共和国の首都マニラにて、同国政府との間で、「カビテ州産業地域洪水リスク管理事業」を対象として159億2,800万円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印しました。

本事業は、産業の集積地域でありながら洪水に対して脆弱なカビテ州において、分水路の建設や河川改修等の洪水対策を実施し、同地域の洪水被害の軽減を図るものです。本件にかかる貸付資金は分水路の建設、排水路の改修、河川改修等に係る土木工事及びコンサルティングサービス(詳細設計、入札補助、施工監理、非構造物対策支援等)等に充当されます。 

カビテ州はマニラ首都圏南部に隣接し、最も人口が多く経済成長も著しい州の一つです。同州には、30以上の工業団地が存在し、日系企業も多く進出する産業集積地域です。しかし、州内を流れる3本の河川(イムス川、サンファン川、カナス川)の下流域が低地であり、河川や排水路の流下能力(注)が低いため、大型台風時には、中流域、下流域において氾濫による洪水被害が生じる他、家屋や工業団地内の洪水浸水深が2〜3mに達することもあり、家財や工業用資機材が損傷する等、多大な被害が生じています。これらの洪水・浸水被害は、近年では2年に一度の頻度で発生しており、人々の生活に支障をきたしているだけでなく、工業団地や基幹道路の浸水・機能不全等により経済的な損失をもたらしています。また、同地域はマニラ首都圏へのアクセスの良さや経済活動の集中により急速な都市化が進んでいるため、将来的に洪水被害が拡大する恐れもあります。

このような状況に対し、JICAは、2009年に「カビテ州ローランドにおける総合的治水対策調査」を実施し、カビテ州における洪水対策マスタープランを策定しました。現在、フィリピン政府は同マスタープラン及びその改訂版に基づき優先事業の実施を進めており、その一部である本事業により、産業集積地域を中心とするカビテ州の洪水被害が軽減され、同地域の持続的・安定的な経済発展に貢献することが期待されます。

JICAは、1970年代からフィリピンにおける洪水対策計画策定や事業実施、中央官庁への技術支援等、幅広い支援を実施しており、今後もフィリピンにおける防災分野を包括的に支援していきます。

(注)河川や排水路等の水路が氾濫を起こさずに安全に流すことのできる洪水の規模。

1.借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
カビテ州産業地域洪水リスク管理事業 15,928 0.3 0.01 40 10 一般アンタイド

2.事業実施機関
公共事業道路省(Department of Public Works and Highways)
住所:Bonifacio Drive, Port Area, Manila, Philippines
TEL:+63-2-304-3000

3.今後の事業実施スケジュール(予定)
(1)事業の完成予定時期:2024年4月(供与開始時をもって事業完成)
(2)コンサルティング・サービス(詳細設計等)にかかる招請状送付予定時期:2018年2月
(3)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:
調達パッケージ名:土木パッケージ1(Civil Works Package 1)
予定時期:2019年12月