エチオピア向け無償資金贈与契約の締結:発電施設や上水道施設、中等教育施設の整備を通じ、生活環境や教育へのアクセスの改善に貢献

2017年12月7日

署名時の様子

国際協力機構(JICA)は、12月6日、アジスアベバにて、エチオピア連邦民主共和国政府との間で、計3件、総額51億1,600万円を限度とする無償資金協力の贈与契約(Grant Agreement: G/A)を締結しました。

これらの協力は、エチオピア政府が第二次国家開発計画「成長と構造改革計画 II」(Growth and Transformation Plan II)により進めている、地熱開発や水道施設の整備、また質の高い教育へのアクセス向上の実現に向け、坑口地熱発電プラントの設置、上水道施設の拡張整備、中等教育施設の整備を支援するものです。

今回贈与契約を締結した無償資金協力案件は以下の3件です。
(1)坑口地熱発電システム整備計画(18億4,200万円)
(2)バハルダール市上水道整備計画(18億3,600万円)
(3)ティグライ州中等学校建設計画(14億3,800万円)

 詳細は以下のとおりです。

(1)坑口地熱発電システム整備計画(供与限度額18億4,200万円)
The Project for Installation of Geothermal Wellhead Power System

(a)事業の目的と概要
本事業は、地熱開発が進めらているオロミア州アルトランガノ地域に、小規模な可搬式地熱発電プラント(設備容量:5MW)を設置することにより、地熱による電力供給を早期に実現するものです。これにより、エチオピア国内の電源の拡張と多様化に貢献することが期待されます。

(b)事業の背景と必要性
エチオピアはナイジェリアに次ぐアフリカ第2位の人口(9,939万人、2015年)を誇り、近年は約10%の経済成長率を維持しています。しかし、国内の電化率は2014年現在27%(世界銀行、2016年)に留まり、首都圏の電化地域でも停電が頻発するなど、安定的な電力供給が課題となっています。特に電源の9割以上を水力発電が占めており、渇水時には供給される電力が需要を下回るため、同国政府は乾季にも安定的に電力を供給するための電源として、地熱発電の開発を急いでいます。

同国南部のオロミア州アルトランガノ地域は、潜在的地熱資源量の多さ等から、地熱開発の最優先地域であり、日本政府が無償資金協力「アルトランガノ地熱開発支援」(2010〜2016年)で試掘井2本の掘削を行ったほか、現在、JICAが協力準備調査「アルトランガノ地熱発電事業準備調査」により、大規模地熱発電プラントの建設を視野に入れた調査を進めています。しかしながら、電力需要が年々高まる一方、大規模地熱発電プラントの開発には相応の時間がかかることから、早期の電力供給拡大が必要となっています。

【案件基礎情報】
国名 エチオピア連邦民主共和国
案件名 坑口地熱発電システム整備計画
実施予定期間 工期36ヵ月(詳細設計・入札期間含む)
実施機関 エチオピア電力公社
対象地域・施設 オロミア州アルトランガノ地域
具体的事業内容(予定) (1)施設整備/機材調達
坑口地熱発電プラント設備一式(設備容量:5MW、変電設備含む)、その他付帯設備(蒸気・熱水収集管、配電線等)の供与

(2)コンサルティングサービス
詳細設計、入札補助、調達監理
ソフトコンポーネントとして発電システム運用・予防保全、プラント運転・維持管理、地熱貯留層維持管理等の技術力向上

(2)バハルダール市上水道整備計画(供与限度額18億3,600万円)
The Project for Improvement of Water Supply in Bahir Dar City

(a)事業の目的と概要
本事業は、アムハラ州バハルダール市において、深井戸の掘削や配水管網の拡張、配水池等の建設により上水道施設の拡張整備を行い、給水量の増加を図るものです。本事業により、対象地域に安全な水が供給され、水因性疾患の発症患者数の減少や水汲み労働の軽減に貢献することが期待されます。

(b)事業の背景と必要性
エチオピア北西部のアムハラ州バハルダール市は、青ナイル川源流を成すタナ湖に接する観光地として発展が目覚ましく、都市部人口は、2007年の18万人から2017年中には31万4,000人に増加すると見込まれています(エチオピア中央統計局)。これに伴い、水需要は2015年から2025年の間に1.5倍になると予測されていますが、本事業の対象地域では、新規水源としての深井戸の開発や、標高差を考慮した水道計画に課題があり、住宅地を中心に上水道整備が追い付いていない状況です。その結果、タナ湖や浅井戸の水を利用する住民もおり、5歳児以下の疾病では水系感染が原因と考えられる下痢が最も多く発生するなどの影響が出ています。また、各戸給水接続のない世帯では、女性や子供が河川や湖、公共水栓等から水汲みを行うことが多く、女性への労働負担や子供の就学を妨げる一つの要因となっているため、早急に上水道の整備を行うことが必要となっています。

【案件基礎情報】
国名 エチオピア連邦民主共和国
案件名 バハルダール市上水道整備計画
実施予定期間 工期53ヵ月(詳細設計・入札期間含む)
実施機関 アムハラ州水・灌漑・エネルギー開発局
対象地域・施設 アムハラ州バハルダール市
具体的事業内容(予定) (1)施設整備/機材調達
【施設】深井戸(新規5基、既存井戸のポンプ取換等4基)、加圧ポンプ場、配水場(配水池1,000立方メートル及び4,000立方メートル各1基)、導水管(約4km)、送水管(約11km)、配水管(約42km)等の供与
【機材】井戸ポンプスペアパーツ、送水ポンプスペアパーツ、発電機スペアパーツ等の供与

(2)コンサルティングサービス
詳細設計、入札補助、施工監理
ソフトコンポーネントとして施設維持管理、無収水対策等に関する能力強化

(3)ティグライ州中等学校建設計画(供与限度額14億3,800万円)
The Project for Construction of Secondary Schools in Tigray Region

(a)事業の目的と概要
本事業は、ティグライ州において、中等教育施設の新規建設及び教育機材の整備を行うことにより、中等教育の就学環境の改善を図るものです。これにより、同州における中等教育へのアクセスと質の向上に寄与することが期待されます。

(b)事業の背景と必要性
エチオピアの初等教育(1〜8年生)の純就学率は近年90%以上まで大幅に改善している一方で、中等教育(9〜12年生)の純就学率は21.0%(2014/15年度)と低水準のままです。同国政府は、「第5次教育セクター開発プログラム」(Education Sector Development Plan V(2015/16〜2019/20)において、初等教育修了生が増加している一方で、中等教育施設の整備が追い付いていないことが、就学率の伸び悩みの主な原因であるとして、同施設整備を進める方針としています。

同国北部のティグライ州も傾向は同様であり、原則、初等教育施設10校程度に対して中等教育施設を1校設置することを目標としているものの、現状では、初等教育施設数12校に対し、中等教育施設が1校の割合に留まっています。この結果、2014/15年度の中等前期教育純就学率(9〜10年生)は48.2%、中等後期教育純就学率(11〜12年生)は12.2%に留まり、また、ティグライ州における中等教育就学生徒の学校から住居までの平均距離も約15kmとなっており、早急に新たな中等教育施設を整備することが求められています。

【案件基礎情報】
国名 エチオピア連邦民主共和国
案件名 ティグライ州中等学校建設計画
実施予定期間 工期40ヵ月(詳細設計・入札期間含む)
実施機関 ティグライ州教育局
対象地域・施設 ティグライ州
具体的事業内容(予定) (1)施設整備/機材調達
新規中等教育施設7校の建設
【施設】
普通教室80室(約6,500平方メートル)、管理棟7棟(約1,900平方メートル)、実験室7室(約2,100平方メートル)、図書室7室(約1,100平方メートル)、コンピュータ室7室(約900平方メートル)、トイレ棟14棟の建設(約500平方メートル)
【機材】
机、椅子、書棚等の教育家具の供与

(2)コンサルティングサービス
詳細設計、入札補助、施工監理