ナイジェリアのポリオ撲滅に向けた円借款債務をビル&メリンダ・ゲイツ財団へ承継:民間資金を活用し、同国全土でのワクチン接種を支援

2017年12月21日

経口ポリオ・ワクチンを接種している様子

国際協力機構(JICA)は、12月20日、2014年9月にビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下、「ゲイツ財団」という。)と締結したナイジェリアにおけるポリオ撲滅対策支援のための合意文書(債務承継契約)に基づき、ゲイツ財団への債務承継を実行しました。これは、今年10月に行われた予防接種キャンペーンをもって円借款貸付資金の使用が完了し、予め設定したワクチン接種率に関する事業成果目標の達成が確認されたことによるものです。これにより、ゲイツ財団は、2014年5月にJICAとナイジェリア連邦共和国政府との間で貸付契約を調印した円借款事業「ポリオ撲滅事業」(貸付限度額82億8,500万円)にかかる債務を、同国政府に代わって返済することになります。

ポリオは、主に乳幼児がかかる感染症で、発症すると手足などの麻痺が一生涯残ることもある病気です。一方で、ワクチン接種による予防が可能であることから、天然痘に次ぐ撲滅可能な感染症として、日本を含めた国際社会が撲滅に注力してきました。これにより、2017年12月現在、ポリオ・ウイルス常在国は、ナイジェリア、パキスタン、アフガニスタンの3ヶ国のみとなっています。「ポリオ撲滅事業」で供与されたポリオ・ワクチンの調達資金により、2015年から2017年にかけて、約4.6億ドース(1ドースは子ども一人あたりの1回投与量)のワクチンが調達され、ナイジェリア全国の5歳未満の子どもへの接種に使われました。

ナイジェリアでは、2010年前後からののイスラム過激派組織ボコ・ハラムの活動による治安悪化等により、北東部を中心にワクチンの接種が困難になったことから、野生株ポリオ・ウイルスによる感染例が2010年の21件から2012年には122件と大幅に増加しました。しかし、2013年には53件、2014年には6件と着実に減少し、2015年は0件でした。同事業を開始後の2014年7月から2016年7月の2年間は感染例が確認されていません。

2016年は、感染例は年間4件となりましたが、2017年は新たな感染例は確認されていません。2016年のポリオの再発を受けた緊急予防接種キャンペーンにも「ポリオ撲滅事業」の資金が活用され、最終局面に入ったポリオ撲滅に向けた取り組みを後押ししました。

JICAは同事業に加え、2015年に保健セクター支援専門家をナイジェリアに派遣し、連邦保健省及びラゴス州保健省に対し、ポリオ・ワクチンを含む定期予防接種サービスに関する改善策などを提言しました。また、「検査機材メンテナンス技術研修」により、2015年以降、同国内に2か所ある国立ポリオ研究所の検査機材整備と同機材のメンテナンスや検査診断に関する研修も実施しています。人材育成については、長期にわたり、ポリオ研究者等を対象とした日本での研修も毎年行っており、同国のポリオ撲滅達成に向けた包括的な支援を展開しています。

【関連リンク】

【関連機関紹介】
・ビル&メリンダ・ゲイツ財団
「すべての生命の価値は等しい」という理念の下、ビル&メリンダ・ゲイツ財団はすべての人が健康的で生産的な生活を送れるよう活動している。開発途上国においては健康の増進や、飢餓や極度の貧困から脱出する機会を提供するための支援を重点的に展開している。アメリカ国内においては、すべての人々——特に貧困層の人々が教育機会や通常の生活を送る機会を得るための支援を行っている。ワシントン州シアトルに本部を置き、ビル・ゲイツ、メリンダ・ゲイツ夫妻及びウィリアム・H・ゲイツ・シニア共同議長の下、スー・デスモンドーヘルマンCEOが運営にあたっている。