ミャンマー向け円借款貸付契約の調印:経済・社会の発展に向けた包括的な支援

2018年3月29日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、3月29日、ミャンマー連邦共和国の首都ネピドーにて同国政府との間で、4事業、総額1,170億4,000万円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印しました。

ミャンマーは、2016年3月に発足した国民民主連盟が率いる新政権の下、経済・産業発展、国民生活の質の向上等に重点を置いており、近年の実質経済成長率は、経済制裁解除や投資・貿易促進等の影響により、7%前後で推移しています。しかし、基礎インフラは多くの課題を抱え、地方・農村部を含めた持続的な経済成長・貧困削減や更なる投資促進のボトルネックとなっています。また、中小企業や住宅購入世帯に対する金融制度・サービスも不足しており、中小企業の経済活動の活発化や、国民への適切な住宅供給を阻害する一因となっています。

今回調印した円借款契約が対象とする事業は以下の4件であり、これらの事業を通じて、ミャンマーの経済・社会の発展を包括的に後押しします。
(1) 農業所得向上事業(借款金額:304億6,900万円)
(2) 中小企業金融強化事業(フェーズ2)(借款金額:149億4,900万円)
(3) 住宅金融拡充事業(借款金額:150億円)
(4) ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業(フェーズ2)(第一期)(借款金額:566億2,200万円)

詳細は以下のとおりです。

(1)農業所得向上事業
 Agriculture Income Improvement Project
(a)事業の目的と概要
本事業は、ミャンマー国内最大の約20万haの灌漑面積を有するザガイン地域シュエボー灌漑地区において、農業生産・流通インフラの整備、営農技術の普及、農業機械化の推進を行うことにより同地域の農業所得の向上を図り、もって同地域の農村部の経済発展に資するものです。

(b)事業の背景と必要性
ミャンマーでは、国民の約6割が農業分野に従事していますが、農村部の年間所得は低く、都市・農村間の格差が生じています。都市・農村間の均衡ある発展を実現するためには、農村部の主要収入源である農業の育成を通じた所得の向上が求められています。
本事業の対象地となるシュエボー灌漑地区は、シュエボーポウサンと呼ばれる国内向けブランド米の産地であり、農業開発のポテンシャルが高い国内最大の灌漑地域です。しかし、同地区では灌漑施設の未整備等により乾季の灌漑面積は58%にとどまり、また農道の舗装率が低いことから輸送コストが増大しており、灌漑施設・流通インフラの整備に取り組むことが喫緊の課題になっています。

(c)実施機関
農業畜産灌漑省灌漑・水利用管理局(Irrigation and Water Utilization Management Department, Ministry of Agriculture, Livestock and Irrigation)
住所:Building(15)Nay Pyi Taw, Myanmar
TEL:+95-67-410-188 FAX:+95-67-410-539

農業畜産灌漑省農業機械化局(Agricultural Mechanization Department, Ministry of Agriculture, Livestock and Irrigation)
住所:Building(50)Nay Pyi Taw, Myanmar
TEL:+95-67-431172 FAX:+95-67-431172

農業畜産灌漑省農業局(Department of Agriculture, Ministry of Agriculture, Livestock and Irrigation)
住所:Building(15)Nay Pyi Taw, Myanmar
TEL:+95-67-410007 FAX:+95-67-410-138

農業畜産灌漑省農地管理・統計局(Department of Agricultural Land Management and Statistics, Ministry of Agriculture, Livestock and Irrigation)
住所:Building(15)Nay Pyi Taw, Myanmar
TEL:+95-67-410-136  FAX:+95-67-410-136

建設省農村道路局(Department of Rural Road Development, Ministry of Construction)
住所:Hospital Road, Pyinmanar, Myanmar
TEL:+95-67-724829  FAX:+95-67-724829

(d)今後の事業実施スケジュール〈予定〉
1.事業の完成予定時期:2024年11月(施設供用開始時)
2.コンサルティング・サービス(施工監理等)にかかる招請状送付予定時期:2018年4月
3.本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:
調達パッケージ名:
・灌漑維持管理機材調達(Procurement of maintenance machineries)
・圃場整備建設機材調達(Procurement of Land Consolidation machineries)
・農業機械修理ワークショップ機材及び農業機械検査センター機材調達(Equipment Procurement for Maintenance Workshop and Agricultural Machineries Testing Center)
・種子センター機材調達(Equipment procurement for Seed Center)
予定時期:2018年8月


(2)中小企業金融強化事業(フェーズ2)
 Project for the Development of Finance for Small and Medium-sized Enterprises (Phase 2)
(a)事業の目的と概要
本事業は、仲介金融機関を介した中小企業への融資の供給と、仲介金融機関等の能力強化を支援することにより、中小企業金融における資金仲介機能の強化中小企業による生産・投資の拡大を図り、もってミャンマーの産業発展と雇用創出に寄与するものです。

(b)事業の背景と必要性
ミャンマー政府は、2016年12月発表の「投資政策」において、中小企業振興につながる投資を奨励するなど、中小企業育成を重要課題と位置付けています。ミャンマーにおいては、約12万社の中小企業が存在し、全企業の9割以上を占めているといわれています。経済発展に伴い、中小企業の経済活動が活発化し、金融機関からの資金調達ニーズも拡大していますが、貸付期間のほとんどが短期であり、また厳格な不動産担保が求められるため、多くの中小企業にとっては金融機関からの借り入れによる資金調達はハードルが高く、個人・家族資金を使用して創業・事業を行っているのが実情です。
円借款「中小企業金融強化事業」(2015年6月L/A調印)では、そうした中小企業の資金調達面での課題解決のため、ミャンマー経済銀行から6行の地場金融機関を介したツーステップローンを供与し、269社のミャンマーの地場中小企業に対して、1年半という短期間に約47億円の全額が貸付されました。そうした中小企業の旺盛な資金需要に応えるため、引き続き中小企業金融への資金供給が求められています。

(c)実施機関
ミャンマー経済銀行(Myanma Economic Bank)
住所:Building No.26, Nay Pyi Taw
TEL:+95-67-407027 FAX:+95-67-407027

(d)今後の事業実施スケジュール〈予定〉
1.事業の完成予定時期:2021年10月(ツーステップローンの貸付完了時)
2.コンサルティング・サービス(事業実施支援、実施機関・仲介金融機関の能力強化等)にかかる招請状送付予定時期:2018年4月
3.本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:本事業では、本体工事に係る入札はありませんが、仲介金融機関により供与されるサブローン対象事業において逐次事業実施のための調達が行われる見込みです。


(3)住宅金融拡充事業
Housing Finance Development Project
(a)事業の目的と概要
本事業は、仲介金融機関を介した低中所得世帯への住宅ローンの供給と、仲介金融機関や住宅関係機関等の能力向上・体制構築を支援することにより、低中所得世帯への住宅供給の促進を図り、もってミャンマーにおける国民の生活の向上と住宅セクターの発展に資するものです。

(b)事業の背景と必要性
ミャンマーでは、高い経済成長を背景とした都市部への人口流入と、それに伴う住宅不足が課題となっています。ミャンマー政府は、2030年までに官民合わせて100万戸の住宅を供給する計画を有しており、特に低中所得者向け住宅の供給を重視しています。
2013年には、国内唯一の住宅金融専門の政府系金融機関が設立されましたが、長期・低利融資のための原資が不足しているため、住宅ローンの実績は限られています。また、一部の民間金融機関が住宅ローンを扱っていますが、原資の調達が難しいことに加えて適切な担保制度が存在しないため、融資実績は非常に限定的です。今後、ミャンマー国民、とりわけ低中所得者層が住宅を購入するためには、長期かつ低利の住宅ローン供給が喫緊の課題となっています。

(c)実施機関
ミャンマー経済銀行(Myanma Economic Bank)
住所:Building No.26, Nay Pyi Taw
TEL:+95-67-407027 FAX:+95-67-407027

(d)今後の事業実施スケジュール〈予定〉
1.事業の完成予定時期:2022年12月(ツーステップローンの貸付完了時)
2.コンサルティング・サービス(事業実施支援、実施機関・仲介金融機関の能力強化等)にかかる招請状送付予定時期:2018年5月
3.本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:本事業では、本体工事に係る入札はありません。


(4)ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業(フェーズ2)(第一期)
 Yangon-Mandalay Railway Improvement Project Phase II(I)
(a)事業の目的と概要
本事業は、ミャンマー第一・第二の商業都市であるヤンゴン~マンダレーを結ぶ既存鉄道路線のうち、タウングー~マンダレー間において、老朽化した施設・設備の改修・近代化、新規車両の調達を実施することにより、より安全で高速の列車運行と旅客・貨物の輸送能力強化を図り、もってミャンマーの経済発展に寄与するものです。

(b)事業の背景と必要性
ミャンマーの鉄道網の総延長は6,072km(2015年)ですが、1988年以降に2,985kmの新線が建設される等、近年の鉄道予算の大半が新線建設に充てられてきたため、既存輸送施設・設備の老朽化による安全性及び輸送サービスの低下が課題となっています。
特に、ヤンゴン~マンダレー線は、ミャンマー最大の商業都市ヤンゴン、首都ネピドー、第二の商業都市マンダレーを結ぶ重要路線で、同路線が通るヤンゴン地域、バゴー地域、マンダレー地域には全国人口の37%にあたる1,955万人(2014年)が居住しています。さらに、今後の経済発展に伴い旅客・貨物輸送需要の大幅な増大が見込まれることから、同路線の改修と近代化が喫緊の課題となっています。

(c)実施機関
運輸・通信省ミャンマー国鉄(Myanma Railways, Ministry of Transport and Communications)
住所:Nay Pyi Taw Central Station Compound, Pobba Thiri Township, Nay Pyi Taw
TEL:+95-67-77001 FAX:+95-67-77016

(d)今後の事業実施スケジュール〈予定〉
1.事業の完成予定時期:2024年12月(全ての施設供用開始時)
2.コンサルティング・サービスにかかる招請状送付予定時期:2018年3月
3.本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:
調達パッケージ名:
・車両調達(Rolling Stock)
・締結装置の調達(FD Clip)
予定時期:2019年1月

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
農業所得向上事業 Agriculture Income Improvement Project 30,469 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
中小企業金融強化事業(フェーズ2) Project for the Development of Finance for Small and Medium-sized Enterprises(Phase 2) 14,949 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
住宅金融拡充事業 Housing Finance Development Project 15,000 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業(フェーズ2)(第一期) Yangon-Mandalay Railway Improvement Project Phase II(I) 56,622 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
合 計 117,040