コンゴ民主共和国のエボラ出血熱流行拡大防止に日本の技術が再び貢献

2018年5月25日

提供した5台のバイク

国際協力機構(JICA)は、コンゴ民主共和国のエボラ出血熱流行地の深刻な実態に迅速に対応するため、5月25日までに同国国立生物医学研究所(INRB)にバイク5台、発電機1台、日本の企業より無償で提供されたエボラウイルス迅速診断キット500テストを提供しました。これらの機材は最前線で活動する医療従事者の移動手段、簡易検査施設の電力供給、迅速な検査実施に貢献する予定です。

コンゴ民主共和国の赤道州では、5月8日の同国保健省によるエボラ出血熱流行の発表以降、5月22日までに58例の症例が報告されています(うち、28例は陽性が確定)。流行が確認されたビコロ地区とイボコ地区は道路の状態が悪く、電力供給も非常に不安定なため、検体の輸送や簡易検査施設での検査が難航しています。また、16日に新たに陽性例が発表された州都ムバンダカは人口約120万人の中核都市で、接触者の追跡が追い付かず、首都キンシャサと人の往来があることから、感染拡大が懸念されています。

流行発表後、保健省において流行封じ込めのため連日開催されているエボラ対策国家調整委員会では、感染地での輸送・移動手段、検査機材、保健人材の数と能力、資金、住民の意識などの不足といった現場の深刻な課題が報告されています。これに対しWHOを中心とする国連機関や援助国は感染地でのワクチン接種や接触者追跡などへの人的・資金的支援を進めています。今回の機材の提供は、同調整委員会検査部会からの要望に対し、緊急に対応したものです。

迅速診断キットの引渡しの様子

今回提供されたエボラウイルス迅速診断キットは、ザンビアで実施中の技術協力プロジェクトの研究成果を活用し、北海道大学高田礼人教授とデンカ生研株式会社との共同研究を通じて試作品として開発されたものです(注1)。エボラ出血熱の発生を受けINRBムエンベ所長が高田教授に対してキットの提供を打診した結果、デンカ生研株式会社より無償提供されたもので、特別な器具や装置を必要とせず、約15分で検査結果が判明し、医療施設が十分に整っていない地域でも簡単に活用できることから、赤道州での感染患者の迅速診断に大きな役割を果たしています。

JICAは同国における過去のエボラ出血熱流行の際にも、空港検疫用のサーモグラフィーカメラとモニター、レーザー体温計等を供与しており、これらは今回の流行発生後、ムバンダカ市やキンシャサ市の空港、港などで活用されています。JICAは継続的かつ迅速な対応により、同国のエボラ出血熱流行拡大防止の取り組みを支援します。


(注1)エボラウイルス迅速診断キットは、ザンビアで実施中の地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)「アフリカにおけるウィルス性人獣共通感染症の調査研究プロジェクト」の研究成果を活用し、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの高田礼人教授とデンカ生研株式会社との共同研究を通じて試作品として開発されたもの。
同キットは、2017年5月にもデンカ生研株式会社が無償で提供しています。