世界の子どもに「学び」を届けるために:インドのNGOとMITを拠点とする研究機関と業務協力協定を締結

2018年6月21日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、6月20日、開発途上国における子どもの読み書き・算数の能力向上のための知見の共有を目的に、プラサム教育財団(Pratham)(注1)、アブドゥル・ラティーフ・ジャミール貧困アクションラボ(J-PAL)(注2)と業務協力協定(MOC:Memorandum of Cooperation)を締結しました。署名は、Prathamのルクミニ・バネルジCEO、J-PALのジョン・フロレッタ政策・コミュニケーション局長と、JICAの鈴木規子理事の間で行われました。

アフリカでは、全体の約2割にあたる約6,100万人の子どもが小中学校に通えていません。また、全体の9割弱にあたる約2億人の子どもが必要最低限の読み書きや算数ができないと言われています(UNESCO、2017)。このような「学習の危機」(注3)に対し、JICAは2017年より、読み書き・算数の学習指導に専門性を有するインド最大規模の教育系NGOであるPratham、教育分野の豊富な研究実績と研究者ネットワークを有するJ-PALとの技術交流を開始しました。これまでも、JICAは両機関と連携し、JICAが実施している教育開発プロジェクト「みんなの学校」(注4)に関するセミナーを2回開催し、住民を主体的に学校運営に参加させる工夫や、読み書き・算数の効果的な学習手法など、各機関のアプローチを共有しています。

本協定をもとに、Pratham、J-PAL 、JICAの三者は、途上国の現場レベルにおける連携をさらに進め、子どもの読み書き・算数能力の向上のためのアプローチの開発に取り組んでいきます。また、「学習の危機」にあるアフリカなどにおいて、SDGsゴール4「質の高い教育をみんなに」の達成に貢献していきます。

(注1)プラサム教育財団(Pratham)
1994年にインドのムンバイで大学教授2名により創立された団体で、スラム地域におけるコミュニティ幼稚園の活動を実施。Prathamは、「全ての子どもが学校に通い、よく学ぶこと」(“Every child in School and Learning well”)というミッションの下、インドの貧困層の読み書き能力の向上等により、経済社会平等の改善を図ることを目指している。

(注2)アブドゥル・ラティーフ・ジャミール貧困アクションラボ(J-PAL)
2003年にマサチューセッツ工科大学(MIT)のバナジー教授やデュフロ教授等ノーベル経済学賞級とも言われる経済学者により、科学的エビデンスに基づく政策により貧困削減を図るために同大学経済学部に設立されたグローバルな研究機関。2018年5月現在、大学教授161名が加入している。研究分野は教育、保健、水衛生、農業、ガバナンス、金融、ジェンダー、エネルギー等。そのうち最も多くの研究が行われているのは教育分野であり、その件数は500を超える。

(注3)学習の危機
何億もの児童・生徒が、初等・中等教育でその後の人生に役立つような教育を受けられないが故に、成人後に機会を逸する、また自分の子どもを教育できていない。
(出典:世界開発報告(WDR)2018:教育と学び-可能性を実現するために)

(注4)みんなの学校
JICAが2004年から西アフリカを中心に実施してきた教育開発プロジェクト。教育行政と学校、コミュニティが一体となって、子どもの教育環境と学びを改善する取組み。ニジェールの23校から始まり、2007年にはニジェール国内すべての学校で普及。入学率などが大きく向上するなど成果を上げ、セネガルやマダガスカル等、他のアフリカの国々にも展開している。