バングラデシュの民間総合病院事業への出資契約の調印:日本の病院経営ノウハウを活かして医療水準向上に貢献

2018年7月3日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、7月3日、バングラデシュ法人Ship Aichi Medical Service Limited(以下「SAMSL」)との間で、民間総合病院の設立・運営を対象とする出資契約に調印しました。本件は、ダッカのイーストウエスト医科大学病院(注1)と、日本のグリーンホスピタルサプライ株式会社(以下「GHS」、注2)が設立したSAMSLが行う、イーストウエスト医科大学病院(2000年開院、280床)の拡張・運営事業を支援するものです。SAMSLは、「日本の病院経営のノウハウを活かしつつ、国際水準の医療サービスを良心的な価格でバングラデシュの人々に提供する」ことを理念として掲げており、増築及び新棟建設によりイーストウエスト医科大学病院を584床規模に拡張し、専門性の高い診療科目を新設することで、医療水準の向上に寄与することを目指しています。

署名式の様子

バングラデシュでは、人口10,000人当たりの病床数は6床(注3)と極めて低水準にあり(世界平均は27床、バングラデシュと同じ低中所得国平均は10床)、医療従事者についても、人口1,000人当たりの医師や看護師の数が計0.66人(注4)(WHOは 2.28人を下回る国を医療人材不足が深刻な国と定義)と大幅に不足しています。また、バングラデシュは、食生活や生活様式の変化等により、感染性疾患から非感染性疾患への転換が進み、全疾患の61%が心血管疾患やがん等の非感染性疾患が占めています(注5)。しかし、疾病構造の変化にも関わらず、非感染性疾患に対応した医療インフラの整備が遅れており、高次医療を担う病院の整備、医療人材の育成がバングラデシュの大きな課題となっています。

こうした現状を踏まえて、バングラデシュ政府は、公正で質の高いヘルスケアを全ての国民に確保することを目標に、民間セクターを活用して医療サービスの向上を図ることを政策に掲げています。日本の病院経営ノウハウを活かして専門性の高い医療サービスを提供する本事業は、バングラデシュ政府の政策を後押しするものです。加えて、本事業は、海外に日本の医療拠点を2020年までに20ヶ所創設することを目指す日本政府の未来投資戦略(2017年)にも寄与するものです。

JICAはこれまでバングラデシュの医療セクターに対して、「母子保健および保健システム改善事業(円借款)」(2015年、注6)や「看護サービス人材育成プロジェクト(技術協力プロジェクト)」(2015年~2020年、注7)などを通じて、バングラデシュ政府に対して医療設備・機材の整備、看護師の育成支援を実施してきました。JICAは今後も、公的セクターから民間セクターまで、一次医療から高次医療に至るまで、バングラデシュの医療セクターに対する幅広い支援を継続していきます。

(注1)バングラデシュの民間医科大学附属病院。内科、外科、小児科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、循環器科、皮膚科、リハビリ科等、幅広い診療科目を提供する280床規模の総合病院。
(注2)日本の総合医療コンサルティング企業。医療機器、医療材料、医療設備、医療用システム等の販売・メンテナンス、病院や介護福祉施設等の新規開業・移転・経営・運営等にかかるコンサルティング、調剤薬局及び介護付有料老人ホームの経営等を手掛ける。
(注3)出典:World Health Statistics 2014
(注4)出典:The World Health Report 2016
(注5)出典:Health Bulletin 2016