北岡理事長がコンゴ民主共和国、ルワンダ共和国を訪問:紛争を経験した両国の復興・発展に向けた取り組みを確認

2019年7月24日

北岡伸一JICA理事長は、7月13日から22日にかけて、コンゴ民主共和国、ルワンダ共和国を訪れ、政府要人との会談やODA事業の現場視察を行いました。

1. コンゴ民主共和国

国立職業訓練機構の視察

北岡理事長は、首都キンシャサでフェリックス・チセケディ大統領と会談しました。北岡理事長から、40年以上にわたる日本とコンゴ民主共和国の協力関係を更に深化させつつ、チセケディ大統領が掲げる国内の治安改善や周辺国との協調等の優先政策を後押ししていく旨を述べました。大統領からは、JICAの長年の協力への謝意とともに、数次の内戦を経験した同国の国家再建に向けた平和の定着及び経済社会発展のため、日本の経験の共有も含めた継続的なJICAからの協力への期待が表明されました。

1983年に円借款にて建設された同国唯一の吊り橋、マタディ橋視察

また、北岡理事長はキンシャサ市内にある国立職業訓練機構及び国立生物医学研究所にて、JICAの協力を通じて職業訓練やエボラ出血熱などの感染症対策が行われている現場の様子を視察しました。さらに、キンシャサから南西約350㎞に位置するマタディ橋を視察しました。この橋は36年前に日本の協力で建設された、コンゴ川に架かる唯一の橋梁です。建設中は計20名程度の日本人技術者が同国に派遣されました。北岡理事長は、建設当時に日本人技術者と協働したコンゴ人技術者が丁寧に保守管理を行ってきた現場を視察し、マタディ橋が両国の協力の象徴、友好の架け橋になっていることを確認しました。

2. ルワンダ共和国

エドワード・ンギレンヘ首相との会談

北岡理事長は、ルワンダの首都キガリにてエドワード・ンギレンヘ首相と会談しました。同首相よりJICAの協力に対する感謝の言葉と、8月に日本で開催されるTICAD7への期待が述べられ、両国の協力関係を今後も一層深めていくことを確認しました。また、1994年の大虐殺から25周年を迎えた虐殺記念館にて慰霊の献花を行いました。

ルワンダで活躍する日系企業を訪問(Rwanda Nut Company Ltd.)

同国の大虐殺からの復興と目覚ましい発展は「アフリカの奇跡」と呼ばれています。ICT立国を標榜しICTやイノベーションを活用する取組みを同国は進めています。JICAも支援しているk-Lab等の施設(*1)に対する同国の取組みを視察しました。

また、北岡理事長はルワンダとタンザニアとの国境(ルスモ)を訪問し、JICAの協力が物流の円滑化に貢献している成果を確認しました。JICAはルスモ国境における橋梁とOne Stop Border Post(OSBP)施設(*2)の建設、更にはタンザニアとルワンダを繋ぐ国際幹線道路の建設を通じて、地域の流通網の改善と経済発展を促進しています。

さらに、北岡理事長は、ルワンダで活躍する日系企業関係者とも意見交換を行い、ルワンダに対する大きな期待を確認しました。

8月末には日本でTICAD7が開催され、アフリカと日本のパートナーシップの強化が議論される予定です。JICAは、今回の理事長訪問を契機に、今後もコンゴ民主共和国、ルワンダ共和国両国を含む地域の経済発展と関係強化に一層貢献していきます。

*1 k-Lab(Knowledge Labの略称):2012年設立。学生や青年起業家が、アイデアからICTを使ったサービスや製品を試作するのを支援するイノベーションを促進するための共同ワーキングスペース。2018年5月時点で約2000名の利用者登録があり、200名超の起業家を輩出している。

*2 One Stop Border Post(OSBP):通常は出国側と入国側でそれぞれ行われる国境手続き(出入国管理、税関、検疫等)を1か所でまとめて行うことにより、円滑な物流促進を目指した施設。