パキスタン向け無償資金贈与契約の締結:UNIDOとの初連携により、農産品の付加価値向上を通じ、人間の安全保障の確保と社会基盤の改善に貢献

2019年8月6日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、8月5日、イスラマバードにて、国連工業開発機関(UNIDO)との間で、「パキスタンにおける農業食品及び農業関連産業開発支援計画(UNIDO連携)」を対象として5億6,000万円を限度とする無償資金協力の贈与契約(Grant Agreement: G/A)を締結しました。 UNIDOと連携した無償資金協力は、JICA初の試みとなります。

本案件は、ハイバル・パフトゥンハー州及びバロチスタン州の対象地域において、農産品の栽培・加工技術の普及、及び加工・梱包・保存に必要な設備・資材の導入、並びに、販路開拓のための技術支援を行うことにより、同地域の農家及び農業関連産業従事者の生計向上を図るものです。

パキスタンの農業セクターはGDPの約20%を産み出し、雇用人口の約43%を抱える基幹産業です。そのため同国政府は、農業を雇用拡大、貧困削減、経済成長促進のための優先課題に位置づけて開発に取り組んでいます。本案件の対象であるハイバル・パフトゥンハー州及びバロチスタン州では、人口の約60%が農業や関連する産業に従事しています。しかし、これら2州では、依然として伝統的な自給用作物の栽培が中心で、降雨量の変動が大きく収穫が不安定な状況にあります。農家は天候などのリスクを分散するために単一作物に頼ることなく、穀物の作付けや果樹の栽培、牧畜など多角的な複合農業を行っていますが、依然として経済的な課題を抱える農家及び農業関連産業従事者は少なくありません。

本案件では、かかる課題に対処するため、UNIDOのパキスタンにおける農業バリューチェーン構築の豊富な経験や現地コミュニティネットワークを活用し、効果的な協力が期待されます。

【案件基礎情報】
国名 パキスタン・イスラム共和国
案件名 パキスタンにおける農業食品及び農業関連産業開発支援計画(UNIDO連携)(The Project for Agri-food and Agro-industry Development Assistance in Pakistan)
実施予定期間 48ヵ月
実施機関 国連工業開発機関(UNIDO)
対象地域・施設 ハイバル・パフトゥンハー州、バロチスタン州
具体的事業内容(予定) (1)施設整備/機材調達
農産品加工機材、保管倉庫
(2)ソフトコンポーネント
農産品バリューチェーン構築、付加価値向上に関する技術指導等