2019年9月6日
国際協力機構(JICA)は、9月3日、BlueOrchard Finance Ltd社が運営するファンド「JAPAN ASEAN Women Empowerment Fund」に追加出資する契約を締結しました。JICAは2016年9月に本ファンドに対する出資契約を締結後、これまで30百万米ドルを出資実行していますが、本ファンドの増資要請に応じて追加で最大30百万米ドルの出資を行うものです。今回の増資には、住友生命保険相互会社、笹川平和財団などの国内の民間投資家や株式会社国際協力銀行(JBIC)も参加します。
開発途上国の女性を取り巻く課題の多くは、貧困や教育、結婚、出産、病気など、ジェンダーに起因する不平等が背景にあり、ジェンダー格差の解消と女性のエンパワーメントは持続可能な開発目標(SDGs)の一つにも掲げられるなど、開発途上国にとって大きな開発課題です。
我が国のASEAN諸国に対する開発協力重点方針において、女性分野における支援が重点課題とされています。JICAは、女性の経済活動のための資金アクセスを含む経済的エンパワーメントの推進を優先開発課題としています。また、JICAは、G7シャルルボワ・サミット(カナダ)の機会に、G7各国の開発金融機関とともに、2020年までに30億米ドルの資金動員を目指すことが合意された「G7 2X Challenge:女性のためのファイナンス」に参加しています。
本ファンドは、ASEAN諸国を中心とするアジア地域において女性のエンパワーメントに資するマイクロファイナンス機関(MFI)に対する資金提供を行うことにより、同地域における貧困層の人々の金融アクセスの向上を図ることで女性のエンパワーメントに寄与することを目的としています。本ファンドは現在、支援先のMFIを通じ20万人以上の中小零細事業者を支援しており、また支援先のMFIの平均女性顧客比率は91%に達します。今回の追加出資により、更なる開発効果が期待されます。
また、JICAの海外投融資を通じた本ファンドに対する出資は、公的金融機関が核となる投資家として出資することで民間企業のリスク負担を軽減し、民間企業からの投資をジェンダー平等推進分野に呼び込む契機となることが期待されます。
参考2:ファンドのスキーム図