北岡理事長がブラジルとパラグアイを訪問:信頼の上に築かれた両国とのさらなる関係強化へ

2019年11月18日

北岡伸一JICA理事長は、11月1日から11日にかけて、ブラジル連邦共和国とパラグアイ共和国を訪れました。両国で「日本の近代化」について基調講演を行った他、周年記念式典への出席、政府要人との会談、現地日系人の方々との意見交換等を行いました。

1.ブラジル

ODA60周年式典の様子

サンパウロ州知事との面談

北岡理事長は、サンパウロのジャパンハウスで開催したODA60周年記念式典へ出席しました。冒頭のスピーチで北岡理事長は、日伯が共に歩んだ60年のODAの歴史は、両国の経済発展を促し、世界経済にもインパクトを与えるものであったと述べました。式典には、ルイ・カルロス・ペレイラ国際協力庁(ABC)長官 をはじめ、会場を埋め尽くす100名を超える参加がありました。ABCおよびサンパウロ市議会からJICAに対して感謝状が授与され、式典最後には、今年度のJICA理事長賞を受賞したユカリ・ハマダ氏、国立アマゾン研究所、カンピーナス大学 に対し、北岡理事長より表彰状を授与しました。

また、北岡理事長は、サンパウロ大学に開設された日本開発研究プログラム「フジタ・ニノミヤチェア」の創設を記念して、特別講義を行いました。同プログラムは、日系人初の外交官である故藤田エジムンド氏と、長年日伯関係強化に尽力されてきた二宮正人サンパウロ大学法学部教授の功績を称えて設立されたものです。北岡理事長は、「日本との絆を大切にしてこられたお二人の功績を記念し、その思いを引き継ぐ人材の育成を目指し、お二人の母校であるサンパウロ大学へのチェア開設を構想しました。サンパウロ大学がこの思いを受け止めて下さり、開設に至りました」と述べるとともに、開設にあたっての関係者の尽力に感謝を述べました。

続いて、ジョアン・ドリア サンパウロ州知事との面談では、同州に対するJICAの長年の協力への謝意が先方から述べられるとともに、防災や上下水道などの分野での協力関係や両国間の人材交流を今後も深めていくことの重要性が確認されました。

このほか、日系社会関係者との意見交換や移住資料館などを訪問し、今後の連携の在り方などについて協議しました。

2.パラグアイ

パラグアイ共和国大統領との面談

エステ市日本人会での子供たちの歓迎

北岡理事長は、首都アスンシオンにある大統領官邸にてマリオ・アブド・ベニテス大統領と会談しました。アブド・ベニテス大統領より、JICAの長年の協力に対する感謝の言葉が述べられ、両国の更なる発展へ向け、特に貿易・投資促進に向けたJICAの役割に期待するとの発言がありました。北岡理事長は、両国の外交関係樹立100周年を祝し、100年先を見据えた両国の更なる発展につながる協力の実現を約束しました。

大統領との会談に続き、北岡理事長はアントニオ・リバス・パラシオス外務大臣と会談しました。リバス外務大臣は、従来からの協力分野に加え、インダストリー4.0(注1)への対応への期待を表明し、パラグアイの経験を南南・三角協力を通じ世界に発信すべくJICAとの協力関係の構築を提案しました。北岡理事長は、三角協力やスポーツ交流を通じた相互理解促進と、両国間の更なる関係強化の必要性などについて意見を述べました。その後、パラグアイ政府よりJICAの長年に亘るパラグアイ発展への貢献を称え、国家功労賞(大十字勲章)が授与されました。

アスンシオンにあるパラグアイ・日本・人造りセンターでJICAが主催した外交関係樹立100周年式典で、北岡理事長は「パラグアイと日本の近代化」について基調講演を行いました。講演の中で「日本は非西洋諸国において最初に近代化を果たした国であり、そのプロセスは価値あるものである。パラグアイの発展に繋がるヒントが必ずある」と述べました。また、東日本大震災における「豆腐100万丁支援プロジェクト」(注2)に触れ、両国民が共に支えあう関係にあることに喜びを感じていると述べました。

このほか、エステ市及びイグアス移住地の日本人会や日本語学校、診療所や農協など を訪問し、日系社会からの熱い歓迎を受けました。 急激な社会変革や世代交代により、新たな課題に直面する日系社会の姿が確認されました。

(注1)インダストリー4.0:生産工程のデジタル化・自動化・バーチャル化のレベルを現在よりも高めることにより、コストの極小化を目指すもの。

(注2)豆腐100万丁支援プロジェクト:パラグアイの日系人団体や日系農協から提供された大豆や資金を基にして、累計128万8千丁の豆腐が東日本大震災の被災地に届けられたもの。

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