JICAが出資する信託基金“LEAP”を通じた支援:タイ東部経済回廊のガスコンバインドサイクル発電所への融資

2019年11月20日

11月18日、JICAが出資する『アジアインフラパートナーシップ信託基金 (“Leading Asia’s Private Infrastructure Fund”:LEAP)』を活用し、アジア開発銀行(ADB)がタイ東部経済回廊におけるコンバインドサイクル・ガスタービン(CCGT)発電所を建設・運営するプロジェクトに対し、総額1億8,000万ドルの民間セクター融資契約を締結しました。

同事業は、タイ東部経済回廊に位置するラヨーン県における2,500メガワットのCCGT発電所と、それに付随するインフラ建設で構成されています。ADBの融資には、直接融資5,000万ドルと、LEAPによる融資4,500万ドルが含まれています。

同事業は、タイ政府が注力する東部経済回廊の開発において、産業高度化に必要な電力供給を安定的に行うものです。また、タイにおける発電時の平均的な二酸化炭素(CO2)排出量(439トン/GWh)を、より低い水準(372トン/GWh)にとどめ、クリーンなエネルギー資源を活用するタイ政府の取り組みに合致しています。同事業ではタイのGulf Energy Development及び三井物産がスポンサーとして参画し、発電所施設の主要機材として三菱日立パワーシステムズのタービンを活用し、2019年11月4日の日ASEAN首脳会議において発表された「ASEAN海外投融資イニシアティブ」に資する案件です。

LEAPは2015年11月21日に日本政府より発表された「質の高いインフラパートナーシップ」のフォローアップ施策において言及され、アジア及び大洋州地域の質の高い民間セクターのインフラ案件を対象とし、民間セクターが官民連携パートナーシップ(PPP)等の様々な形態を通じて実施するインフラ事業に対して、出融資による支援を行うものです。

JICAは2016年3月にLEAPに対して15億ドルの海外投融資による出資を承諾しました。業務開始以降、これまで累計5億ドルの出融資承諾を行い、インドやインドネシアでの保健事業やモンゴルやタイでの再生可能エネルギー事業等、幅広い分野で質の高いインフラ事業への支援を行っています。LEAPは現時点で13案件に対する出融資を行い、ADBの自己勘定及び他の協調出融資パートナーから累計37億ドルの資金動員をしています。LEAPはアジア太平洋のADB加盟国における質の高い、持続可能な民間セクターによる幅広いインフラ事業を支援しており、支援対象分野は温暖化ガス削減、省エネルギー、良心的な価格での医療サービス等多岐にわたります。
 
JICAは今後も各国・国際機関と協働し、「質の高いインフラ投資」を推進し、「持続可能な開発目標(SDGs)」も踏まえた開発途上国・地域の経済社会開発に貢献していきます。

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