イラン向け技術協力プロジェクト討議議事録の署名:日本式医療マネジメントから学びイランの医療サービスを向上

【SDGsロゴ】すべての人に健康と福祉を

2019年11月25日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、11月24日、テヘランにて、イラン・イスラム共和国政府との間で、技術協力プロジェクト「日本式医療マネジメントによる医療サービス改善プロジェクト」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。

本事業は、高齢者を含む非感染症疾患の患者に対する医療サービスの改善に向け、日本の先進医療や医療政策に関する知識と経験の伝播を通し、イランの医療サービスの向上を進めるものであり、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール3に貢献します。

イランでは過去20年間において医療の課題が母子保健や感染症対策から非感染症対策へ変わってきています。5歳未満児死亡率が2000年の44(対1,000人)から2016年には15.1に、妊産婦死亡比率は2000年の76(対10万人)から2015年には25に削減され、改善が見られます。一方、非感染症による死亡の割合は年々増加しており、2010年の死因全体の46%が循環器疾患、続いてがん(13 %)、他の非感染症(11%)となっています。またイランの出生時平均余命は1970年から1975年にかけて53.9歳でしたが、2016年には76歳(男性75歳、女性77歳)に延伸しており、高齢者を対象とした医療が重要となってきています。

本事業は、イランにおける近年の疾病構造の変化と高齢化に対応するため、日本で長年培われた医療技術と医療マネジメントの研修を通し、イランの保健医療人材育成を行います。病院管理、高齢者医療、病院設計・建設、非感染症対策、がん対策といった多岐にわたる分野を統合的に一つのプロジェクトで束ねる、JICAとしての新たな取り組みです。研修の一環で、同国の非感染症対策についての政策提言も作成します。この協力を通じ、日本式医療に関する知識の共有と共創を図り、患者を中心とした医療サービスが、将来的にイラン全土に浸透することが期待されます。

【案件基礎情報】
国名 イラン・イスラム共和国
案件名 日本式医療マネジメントによる医療サービス改善プロジェクト
実施予定期間 2019年12月~2022年11月
実施機関 イラン保健・医科教育省
対象地域 イラン全土
具体的事業内容(予定) 病院管理、高齢者医療、病院設計・建設、非感染症対策、がん対策に関する日本式医療マネジメントに関する研修、同分野における政策提言作成、イランにおける知識共有ワークショップ等の開催