「Women’s World Banking女性の金融アクセス向上事業」に対する出資契約の調印:途上国の女性のエンパワーメントに貢献

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2020年2月14日

ナイジェリア・ラゴスの市場で売り物の野菜を準備する女性

ナイジェリア・ラゴスの市場で服飾関係の商店を営む女性

国際協力機構(JICA)は、2月14日、開発途上国の女性向け金融サービスを提供する金融機関への投融資を行うファンド「Women’s World Banking Capital Partners II」に対する出資契約に調印しました。本ファンドは、女性の金融アクセス向上を40年以上支援してきた米国のNGO「Women’s World Banking(WWB)」が先導する国際的な取り組みで、開発金融機関などの投資家から総額1億米ドルの資金を募っており、JICAはそのうち1,150万米ドルを出資します。ファンドには欧州投資銀行(EIB)なども出資を決定していますが、JICAはアジアで唯一の出資者です。

金融機関に口座を有さない世界の成人人口約17億人のうち約10億人は女性であり、多くの開発途上国の女性は金融サービスへのアクセスが限られています。持続可能な開発目標(SDGs)には、「ジェンダー平等と女性のエンパワーメント」が掲げられており、女性の金融アクセス向上は重要な開発課題の一つです。
女性の金融アクセス向上を促進するためには、口座保有率の向上のみならず、女性が抱える課題やニーズに合致する金融サービスを提供すること、また、女性がこれらのサービスにアクセスできるような環境の構築が重要です。

本事業はファンドへの出資を通じて、開発途上国の女性向けに金融サービスを提供する金融機関への投融資と技術支援を行うもので途上国女性の金融アクセスを促進し、女性の収入向上や女性起業家によるビジネスの売上増大など、女性の経済的エンパワーメントの向上に寄与する取り組みです。資金の約4割はサブサハラ・アフリカ(サハラ砂漠以南の地域)に所在する金融機関に対する投融資に充てられます。投融資の主な対象は、女性たちの小規模ビジネス起業を支援するマイクロファイナンス機関や、モバイル金融の仕組みを使ってビジネス運営や起業をサポートするデジタル金融サービス機関、住宅新築・改修のための低所得層向けクレジット・サービスを提供している住宅金融機関などです。ファンドを通じた金融機関への投融資だけでなく、WWBによる技術支援も併せて実施することで開発効果の最大化に努めることが本ファンドの特徴で、具体的には、各金融機関による男女間格差の解消に向けた行動計画の策定を支援したり、女性従業員数や女性顧客数などの指標をモニタリング・分析し、金融機関がより多くの女性顧客にアプローチするための戦略策定や金融商品の設計を支援したりします。

本ファンドへの参画は、2018年6月のG7シャルルボワ・サミット(カナダ)にて発表された「G7 2Xチャレンジ:女性のためのファイナンス」イニシアティブに資する先駆的な取り組みとして位置づけられます(注1)。
また、本ファンドには米国開発金融公社(USDFC)も参画を表明しており、JICAが2018年9月にUSDFCの前身である米国海外民間投資公社(OPIC)との開発途上国の民間セクターに対する協調投融資促進のための覚書を締結してから、初めての連携案件となります。

JICAは今後もジェンダー平等の視点を踏まえた事業への資金動員を促すために、開発金融機関や民間セクターと連携しながら、女性のエンパワーメントに取り組んでまいります。

(注1) 「G7 2Xチャレンジ:女性のためのファイナンス」イニシアティブは、G7各国の開発金融機関が、自らの資金提供を呼び水に民間の投資を促進することで、2020年までに30億ドルの資金を動員することを目指すもので、女性の企業家やビジネス・リーダーの育成、労働市場への参入促進といった女性の経済的なエンパワーメントを促進しようというものです。2Xは、女性への投資の量及び効果を倍増させるという目標を示しています。

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