ガーナ「カカオ豆バリューチェーン強化事業」に対する融資契約の調印:農業バリューチェーンと関連産業強化に貢献

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2020年2月14日

カカオ豆

カカオ豆栽培の授粉作業

国際協力機構(JICA)は、2月14日、ガーナ共和国のGhana Cocoa Board(COCOBOD)が行うProductivity Enhancement Program(PEPs)(注1)に対する融資契約に調印しました。本融資は開発金融機関及び民間金融機関による総額6億米ドルの協調融資で、開発金融機関(JICA、アフリカ開発銀行(AfDB)、南部アフリカ開発銀行(DBSA)、イタリア預託貸付公庫(CDP))が総額2.5億米ドル(内、JICAは1億米ドル)、民間金融機関等が総額3.5億米ドルを融資します。

2019年に開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において、JICAとAfDBは共同で「アフリカの民間セクター開発のための協働イニシアティブ 第4フェーズ(EPSA4)」(注2)として、35億米ドルを目標額とする資金協力の実施を発表しましたが、本融資はEPSA4のもとで初めて実施するAfDBとの協調融資案件です。また、2018年6月のG7シャルルボワ・サミット(カナダ)にて発表された「G7 2Xチャレンジ:女性のためのファイナンス」イニシアティブに資する先駆的な取り組みとして位置づけられます(注3)。

ガーナは世界第二位のカカオ豆生産地で、世界の関連需要を支えています。しかし、ガーナのカカオ豆農業は生産性及び加工・流通体制に課題を抱えており、ガーナ政府は改善のための具体的な施策に取り組んでいます。ガーナ国内のカカオ豆の生産・流通管理のために、設立されたCOCOBODは、農家が生産するカカオ豆を買取り、品質確認をした上で、国内外に販売しています。JICAは、技術協力プロジェクトや研修を通じ、COCOBODのカカオ豆の検査管理能力の強化に協力し、ガーナからの安定的なカカオ豆の輸出を支援してきました。

日本で消費されるカカオ豆の約7割をガーナ産が占めており、本融資対象であるPEPsは日本のカカオ豆の安定調達への寄与も期待されます。また、カカオ豆を中心とする農業バリューチェーン並びに関連産業の強化が期待されSDGsゴール1(貧困)、ゴール8(経済成長・雇用)、ゴール12(生産・消費)に貢献するものです。

JICAは一人一人の尊厳を重視する人間の安全保障の観点から、ガーナのカカオ産業における児童労働に着目し、ガーナ政府や企業、NGOとの対話を重ねています。その成果の一つとして、児童労働撤廃を含む社会的・経済的・環境的に持続可能なカカオ産業の実現を目標として共有し、その達成に向けて協働する「場」としての「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」を2020年1月に設立しました。多くの関係者の技術・ノウハウ・資金を動員しつつ、カカオのバリューチェーンで生じる人権上の課題等の解決に向けた取り組みを今後も検討していきます。


(注1)樹木の植替えや灌漑施設整備、流通円滑化に必要な倉庫やデータベースの整備、及びガーナ国内のカカオ豆加工事業者向け運転資本貸付等からなる、ガーナのカカオ豆の生産量拡大等を目的とした取組。
(注2)アフリカ開発銀行と共同で、3 年間(2020 ~ 2022年)で35 億ドルの資金協力を行ない、アフリカの民間セクター開発を包括的に支援するもの。
(注3)「G7 2Xチャレンジ:女性のためのファイナンス」イニシアティブは、G7各国の開発金融機関が、自らの資金提供を呼び水に民間の投資を促進することで、2020年までに30億ドルの資金を動員することを目指すもので、女性の企業家やビジネス・リーダーの育成、労働市場への参入促進といった女性の経済的なエンパワーメントを促進しようというものです。2Xは、女性への投資の量及び効果を倍増させるという目標を示しています。