タイ向け地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)討議議事録の署名:海洋プラスチックの持続可能なモニタリング・管理枠組みの確立に向けた研究を支援

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2020年2月27日

国際協力機構(JICA)は、2月27日、バンコクにて、タイ王国政府との間で、地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)(注)「東南アジア海域における海洋プラスチック汚染研究の拠点形成」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。

海洋プラスチック汚染は、早急な対策が求められる深刻な環境問題として、世界的な注目を集めています。しかしながら、海洋プラスチックの流出経路・分布や海域における現存量及び海洋環境に与える影響等は十分に解明されておらず、現状把握に必要な科学的知見の蓄積及びそれを可能とする調査・研究体制の整備が、効果的な対策を実施する上で国際的に重要な課題となっています。

こうした状況を踏まえ、本案件では、タイ王国において海洋プラスチックに関する学術研究の拠点となるセンター(センターオブエクセレンス(COE))を設立し、タイランド湾及びチョンブリー県サメーサン地域において実施するプラスチック量などの調査結果に基づいた政策提言を政府機関に行います。これらの活動などを通じ、東南アジア海域における海洋プラスチックの持続可能なモニタリング・管理枠組みの確立を図り、海洋プラスチック削減のための具体的な施策の提供を目指すものです。この協力は、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール11、12、14の達成に貢献します。

(注) 地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS:Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)とは、環境・エネルギー、生物資源、防災および感染症等をはじめとする地球規模課題に対応し、開発途上国の自立的、持続的な発展を支えるため、日本と開発途上国の大学・研究機関等が連携し、新たな技術の開発・応用や新しい科学的知見獲得のための共同研究を実施するものです。これにより、課題解決を進めるとともに、開発途上国の大学・研究機関等の研究水準の向上と総合的な対処能力の強化を行うことを目指しています。

案件の詳細は以下の通りです。

【案件基礎情報】
国名:タイ王国
案件名:東南アジア海域における海洋プラスチック汚染研究の拠点形成
実施予定期間: 60ヵ月
実施機関:チュラロンコン大学、イースタンアジア大学、ワライラック大学、ブラパー大学、プリンスオブソンクラー大学、天然環境省海洋沿岸資源局
協力機関:天然資源省公害規制局、カセサート大学、東南アジア漁業開発センター、ユネスコ政府間海洋学委員会 西太平洋地域事務所、国連食糧農業機関アジア太平洋農業食料マーケティング協会
国内協力機関:九州大学、東京海洋大学、熊本大学、鹿児島大学、中央大学、京都大学、東京農工大学、寒地土木研究所
対象地域:チョンブリー県サタヒップ郡サメーサン地域、およびタイランド湾域
具体的事業内容:
(1) 海岸および沿岸部の海洋プラスチックのモニタリング手順の確立
(2) 海洋プラスチックの現存量と海洋環境への影響のモニタリング手順の確立
(3) 陸域のプラスチックごみに関する新しいモニタリング手順の開発
(4) 科学的エビデンスに基づいた海洋プラスチック削減のための提言の政府機関への提出
(5) 海洋プラスチックに関する研究者同士の連携促進、および地域住民、一般市民、政策立案者の意識向上の促進

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