メキシコ「太陽光発電事業」に対する融資契約の調印:JICA初のグリーンローン原則認証融資案件

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2020年3月26日

太陽光発電パネル設置状況(Infraestructura Energética Nova, S.A.B.de C.V.社提供)

国際協力機構(JICA)は、3月26日、メキシコのエネルギー会社であるInfraestructura Energética Nova, S.A.B.de C.V.(イエノバ社)に対し、最大1億米ドルを供与する融資契約を締結しました。本事業は、JICAにとって海外投融資再開後初のメキシコでの海外投融資案件であり、国際金融公社(IFC)、北米開発銀行(NADB)との協調融資であり、NADBとは初の協調融資案件となります。また、本事業はJICA初となるグリーンローン原則(注1)の認証を取得した融資案件であるとともに、2017年5月にJICAが途上国における民間セクター向けの協調融資を円滑に行うためにIFCと締結した業務協力にかかる覚書に基づく協調融資案件です。

メキシコ政府はCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)において、2030年時点のCO2排出量予測値に比して22%削減する目標を掲げているほか、2015年に策定したエネルギー転換法において、同国の発電量に占める再生可能エネルギー(再エネ)の割合を2024年に35%、2050年に60%に引上げることを定めています。

イエノバ社は1996年に設立された同国最大手のエネルギー会社のひとつです。2015年に再エネ事業に参入し、2019年時点の再エネによる発電容量は658MWを誇り、今後も事業拡大を計画しています。また、本事業のひとつであるPima Solar発電事業では、同国初となる民間企業を太陽光発電の売電先とする売電契約を締結し、再エネ分野でも新しい市場創出に取り組んでいます。さらに、環境社会に配慮した経営戦略を策定し、事業の透明化に努め、メキシコ証券取引所のSustainable Index(注2)に5年連続、またインフラ企業では唯一選ばれています。

本事業はメキシコにおいて、イエノバ社による太陽光発電事業に対する支援を通じ、同国の電力供給増加及び再エネの促進並びに電源多様化の推進を図ることで、気候変動の影響緩和に寄与するものであり、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール7及び13に貢献します。JICAは今後もメキシコを含め中南米地域における気候変動対策分野への支援を継続していくとともに、IFCをはじめとする開発金融機関との連携を積極的に推進し、開発途上国・地域の経済社会開発に資する案件を進めていきます。


(注1) グリーンローンとは、資金使途を環境に配慮した事業への用途に限定したローンを指します。ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の拡大を背景に、環境面を重視する債券としてグリーンボンド市場が急速に発達する一方で、融資分野では、国際的なガイドラインがなく、環境分野に使途を特定する融資ルールの策定が待たれていました。このような状況下、2018年3月に、ローンマーケット協会(Loan Market Association)とアジア太平洋地域ローンマーケット協会(Asia Pacific Loan Market Association)がグリーンローン原則を共同策定しました。
(注2) Sustainable Indexはメキシコ証券取引所の上場企業の内、環境社会配慮、コーポレートガバナンスの観点から優れた企業から構成される株式指標です。2011年より運用が開始され、現在、30企業で構成されています。