モロッコ「地方自治体インフラ支援事業」に対する融資契約の調印(海外投融資):地方自治体によるインフラ整備を支援し持続可能な経済成長を後押し

【SDGsロゴ】産業と技術革新の基盤をつくろう

【SDGsロゴ】1住み続けられるまちづくりを

【SDGsロゴ】1パートナーシップで目標を達成しよう

2021年5月17日

FECが支援したプロジェクト(上から、下水処理場、カサブランカトラム、地方道路、公共エリアの電灯)

国際協力機構(JICA)は、3月31日、モロッコの国営金融機関Fonds d’Equipement Communal(FEC)との間で、地方自治体が実施するインフラ事業向け貸付資金として、1億6,500万米ドルの融資契約に調印しました。本事業は、JICAの海外投融資事業による初めてのモロッコ向けの支援となります。

モロッコ政府は、安定的な経済成長や地方開発による社会格差の是正を開発方針に掲げる中で、本邦企業を含めた外国の民間企業からの投資拡大を図っています。しかし、都市部では財源及び人的リソースの制約から十分なインフラ整備への対応が難しくなりつつあり、加えて、都市周辺地域では都市部とのインフラの整備水準に大きな差が認められるなど、全体的なインフラの拡充が引き続き課題となっています。また、地方自治体への分権推進も優先課題の一つとして位置付けており、州(Region)、県(Province/Prefecture)、市(Commune)がそれぞれ主体的にインフラ整備を実施することが期待されています。地方自治体が主体的に、都市部及びその周辺地域のインフラをはじめとする生活・投資環境の改善を図ることで、短期的な投資促進のみならず、中・長期的視点で現地での民間ビジネスを拡大させることが期待されています。

FECは、国営金融機関としてこれまで約25年に亘り、地方自治体への長期融資や事業実施能力の向上を目的とした技術協力の提供により、地方自治体による道路整備や更新、送電線の整備や給水施設建設などのインフラ整備を支援しています。2019年にはモロッコの地方自治体レベルでのインフラ開発における全投資額の25%をFECの融資が占め、その割合は過去10年で最大となる等、FECが果たす役割は年々大きくなっています。

JICAによる本融資は、FECを通じた地方自治体への資金的支援により、都市部の経済社会インフラ整備を加速化しつつ、都市周辺地域の州・県・市を支援することで、モロッコの持続的且つ包括的な経済成長を後押しするものです。また、同国はアフリカ大陸の中で日系企業の拠点数が南アフリカ、ケニアに次いで3番目に多く、モロッコ国内のインフラ整備は本邦企業の事業活動の維持・拡大にも資するものです。本融資は一定水準の割合で女性経営層および従業員を有する金融機関を支援対象とするものとして、2018年6月のG7シャルルボワ・サミット(カナダ)にて発表された「G7 2Xチャレンジ:女性のためのファイナンス」イニシアティブに資する取り組みとして位置づけられ(注)、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール9、11、17に貢献します。


(注)「G7 2Xチャレンジ:女性のためのファイナンス」イニシアティブは、G7各国の開発金融機関が、自らの資金提供を呼び水に民間の投資を促進することで、2020年までに30億ドルの資金を動員することを目指すものです。女性の企業家やビジネス・リーダーの育成、労働市場への参入促進といった女性の経済的なエンパワーメントを促進します。G7 2Xチャレンジは、女性への投資の量及び効果を倍増させる目標を掲げています。

関連リンク: