プレスリリース

ベトナム向け2003年度円借款を供与

〜電力・運輸インフラを運営・維持管理体制の整備と共に支援〜

新聞発表/2003-53
2004年3月31日

  1. 国際協力銀行(総裁:篠沢 恭助)は、本日、ベトナム社会主義共和国政府との間で、2003年度円借款8案件を対象とする、総額793億3,000万円限度の貸付契約を当行本店において調印する。

  2. ベトナムでは、1986年のドイモイ(刷新)路線を採択後、市場経済化移行政策の推進により経済発展が軌道に乗り、2002年には5.8%の成長率を達成した。同国は、今後の有望な事業展開先として日本企業の関心も高まっている一方、インフラや法制度の整備等、投資環境の改善が課題となっている。このため、日本・ベトナム両政府は、ベトナムの持続可能な経済成長の実現に必要な外国投資受け入れ環境の改善に向けた具体的方策を両国共同で検討する「日越共同イニシアティブ」を立ち上げ、2003年12月に行動計画として結果を取りまとめた。今次円借款は、こうした状況を踏まえ、電力・運輸セクターのインフラ整備及び両セクターの政策・制度の改善、並びに都市環境の改善を支援対象としている。また、同年8月に閣議決定された新ODA大綱においては、ODAの目的の一つとして、国際社会の発展と共に、日本の繁栄の確保が新たに掲げられており、今次円借款がベトナムの発展及び日本企業を始めとする日本の長期的な利益の増進につながることが期待される。

  3. 今回の円借款の特徴は以下の通り。

    (1)経済・社会インフラ整備: 1990年代初めより、円借款を始めとする支援がなされた結果、ベトナムのインフラ整備は着実に進んでいるが、ASEAN先発国と比較すると依然として低い水準にある。たとえばASEAN先発4ヶ国(タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン)と比較すると、一人あたり電力消費量は同4ヶ国平均1,234kWh/人に対しベトナムは286kWh/人(2000年)、また道路舗装率は、同4ヶ国平均59.9%に対しベトナムは25.1%に過ぎない(1995〜1999年)。このため今次円借款では、経済発展と投資促進の基盤となる電力・運輸インフラを整備する。電力事業3件(「オモン火力発電所2号機建設事業」、「ダイニン水力発電所建設事業(III)」、「タクモ水力発電所増設事業」)では、計675MWの発電設備増強を目指す。本支援により、ベトナムの全設備容量8,495MW(2003年)が約8%増加することになる。運輸事業3件(「紅河橋建設事業(III)」、「国道・省道橋梁改修事業」、「南北鉄道橋梁安全性向上事業」)では、橋梁等の新設・修復により移動・輸送時間の短縮、安全性の向上を目指す。これら事業により、ハノイ・ホーチミン間の旅客輸送時間は約30時間から約24時間に短縮される見込みである。

    (2)適切かつ効果的・効率的な運営・維持管理体制の整備:インフラの適切かつ効果的・効率的活用のためには、既存インフラの維持管理強化、運営の効率化、環境への配慮等の政策・制度面の改善への取り組みが同時になされる必要がある。今次円借款対象の「国道・省道橋梁改修事業」においては、橋梁改修と共に、ベトナム全国の橋梁のデータベースシステムを構築し、既存の橋梁の維持管理をより効果的に行う体制を整備する。「オモン火力発電所2号機建設事業」においては、発電所の建設と共に、国有企業であるベトナム電力公社の一部であるオモン火力発電所の分割及び有限責任会社化を支援する。有限責任会社化により、独立した意思決定システムや独立採算制が導入され、経営の効率化を図る。また、「環境管理体制構築支援借款」においては、発電所における環境機器の調達・設置と同時に、ベトナム電力公社の環境方針策定と、その管理のための同社の組織体制整備を支援し、同国の電力セクターにおける環境対策を強化する。上記3件における運営・維持管理体制への支援は、各事業のコンサルティング・サービス等を通じた知的協力により実施される。

    (3)都市環境整備:「ドンナイ/バリア・ブンタウ省上水道整備事業(II)」は、ベトナム南部ホーチミン市に隣接し、工業団地の建設等により水需要が急増するドンナイ省及びバリア・ブンタウ省の上水道施設を整備するものである。現在の給水能力はドンナイ省が25,000トン/日、バリア・ブンタウ省が20,000トン/日程度であるが、本事業の実施により、2倍から4倍程度給水能力が増す見込である。また、給水人口は18万4,000人(2000年)から23万9,000人(2010年)に増加する見込であり、地域住民の生活環境改善が期待される。

  4. 今次円借款の借款金額及び条件は別表の通り。また、各案件の詳細はこちら

    別表:ベトナム向け2003年度円借款 借款金額及び供与条件

    案件名借款金額(百万円)金利(%/年)返済期間/据置期間(年)調達条件
    環境管理体制構築支援借款3,1900.75*40/10一般アンタイド
    オモン火力発電所2号機建設事業27,5471.3030/10一般アンタイド
    ダイニン水力発電所建設事業(III)19,1420.75*40/10一般アンタイド
    ドンナイ/バリア・ブンタウ省上水道整備事業(II)3,3081.3030/10一般アンタイド
    紅河橋建設事業(III)2,4151.3030/10一般アンタイド
    タクモ水力発電所増設事業5,9720.75*40/10一般アンタイド
    国道・省道橋梁改修事業9,5341.3030/10一般アンタイド
    南北鉄道橋梁安全性向上事業8,2220.75**40/12日本タイド
    合計79,330

    * 優先条件

    ** 本邦技術活用条件