プレスリリース

中国の環境保全・人材育成を支援

〜2003年度対中円借款を供与〜

新聞発表/2004-2
2004年4月1日

  1. 国際協力銀行(総裁:篠沢 恭助)は、3月31日、中華人民共和国政府との間で、2003年度円借款として、環境保全、人材育成を重点分野とする総額966億9,200万円限度の貸付契約に調印した。

  2. 今次対中円借款の特徴は、以下の通りである。

    (1)環境保全への支援:今次円借款25件中、環境保全対策事業は13件(総額の53%)。「公衆衛生基礎施設整備事業」は、2003年、中国で猛威を振るった新型肺炎(重症急性呼吸器症候群:SARS)が感染症対策に係る中国の脆弱な公衆衛生基盤を露呈したことを背景として、河南省他10省を対象として、同施設の整備等により感染症対策の強化を図る(SARSによる中国の患者累計5,327人、死者は349人)。また、江西省、湖北省における「植林事業」は、森林の劣化、長江への土砂流入による洪水等の自然災害の深刻化(1998年の長江大洪水による両省の死者数は873人)を背景として、植林を行い、土壌流出の抑制・洪水緩和を図る。「フフホト市水環境整備事業」は市内河川の水質汚染改善等を目的として下水処理施設の整備を行うものである。

    (2) 人材育成への支援:今次円借款25件中、人材育成事業は12件(総額の47%)。「内陸部・人材育成事業」は、中国のWTO加盟後の更なる市場ルール強化を支えるため、情報・金融・会計・法律等の分野や地域間格差是正の観点から内陸部における人材育成が急務となっていること、また、初等教育・中等教育の普及に伴い高等教育(大学教育)に対する量的な需要も高まってきていることから、内陸部6省(青海省、寧夏回族自治区、黒龍江省、江西省、湖北省、山西省)における大学教育の振興を図るもの(中国の2001年の高等教育機関(大学・大学院等)への就学率は約13%)。また、本事業では、対象となる中国の大学から日本の大学・研究機関への研修(対象教職員数は数百人規模)等も計画されており、日中間の相互理解の増進に寄与することも期待される。「放送事業」は、日本の技術を活用し、放送を通じた同国の人材育成(教育・知識・文化水準向上)に寄与すべく、地方6省(青海省、雲南省、安徽省、吉林省、寧夏回族自治区、山東省済南市)のテレビ・ラジオ放送局の整備を行うとともに、日中の相互理解の促進を図るため、日本への中国人研修生の受入れ、日本で制作された番組の放映権の購入等を行うものである。また、本事業は、2002年7月に導入した本邦技術活用条件を当行として初めて適用する事業である。本邦技術活用条件は、日本の優れた技術やノウハウを活用し、途上国への技術移転を通じて、日本の「顔の見える援助」を促進するために創設した制度である。本条件は、日本からの資機材等の調達が条件となっている一方、金利等の貸付条件は譲許的になっており、中国側からの要請に基づき適用したものである。

  3. 今次円借款では、日本国民の経験や知見を活かし、中国において日本の顔の見える援助を実施するため、案件形成の段階から、日本の地方自治体や公共団体との連携を図ってきた。江西省および湖北省の植林事業では、岐阜県森林文化アカデミーの専門家が現地調査に参加し植林に携わる農民の負担を減らす方策について助言した。「フフホト市水環境整備事業」では、富山県の環境専門家が調査に参加し環境モニタリングの必要性・工夫につき、富山県の実例も紹介しながら助言した。また、人材育成事業では、新潟大学、島根大学、島根県立大学、岡山大学、岡山県工業技術センターが現地調査を含む案件形成に参画した。2003年8月に閣議決定された新ODA大綱においてもODAへの国民参加の拡大が新たに掲げられている中、今回の対中円借款では一層の国民参加が図られている。

  4. 今次円借款の借款金額および条件は別表の通り。案件の詳細はこちら

    (別表)借款金額及び条件

    案件名 金額(百万円) 金利(%/年) 償還期間/据置期間(年) 調達条件
    本体 コンサルティング・サービス 本体 コンサルティング・サービス
      河南省 5,016 1.5 - 30/10 - 一般アンタイド
    公衆衛生基礎施設整備事業 湖北省 2,325 1.5 - 30/10 - 一般アンタイド
    湖南省 2,855 1.50.75*(研修部分) - 30/1040/10(研修部分) - 一般アンタイド
    江西省 2,821 1.50.75*(研修部分) - 30/1040/10(研修部分) - 一般アンタイド
    安徽省 2,548 1.50.75*(研修部分) - 30/1040/10(研修部分) - 一般アンタイド
    山西省 2,442 1.50.75*(研修部分) - 30/1040/10(研修部分) - 一般アンタイド
    吉林省 1,649 1.5 - 30/10 - 一般アンタイド
    黒龍江省 2,288 1.50.75*(研修部分) - 30/1040/10(研修部分) - 一般アンタイド
    河北省 1,908 1.50.75*(研修部分) - 30/1040/10(研修部分) - 一般アンタイド
    遼寧省 2,366 1.50.75*(研修部分) - 30/1040/10(研修部分) - 一般アンタイド
    植林事業 江西省 7,507 0.75* - 40/10 - 一般アンタイド
    湖北省 7,536 0.75* - 40/10 - 一般アンタイド
    フフホト市水環境整備事業 9,747 0.75* - 40/10 - 一般アンタイド
    内陸部・人材育成事業 青海省 2,812 1.50.75*(研修部分) - 30/1040/10(研修部分) - 一般アンタイド
    寧夏回族自治区 2,636 1.50.75*(研修部分) - 30/1040/10(研修部分) - 一般アンタイド
    黒龍江省 4,972 1.50.75*(研修部分) - 30/1040/10(研修部分) - 一般アンタイド
    江西省 4,872 1.50.75*(研修部分) - 30/1040/10(研修部分) - 一般アンタイド
    湖北省 5,097 1.50.75*(研修部分) - 30/1040/10(研修部分) - 一般アンタイド
    山西省 5,093 1.50.75*(研修部分) - 30/1040/10(研修部分) - 一般アンタイド
    放送事業 青海省 2,354 0.75** 0.75** 40(12) 40(12) 日本タイド
    雲南省 3,008 0.75** 0.75** 40(12) 40(12) 日本タイド
    安徽省 3,301 0.75** 0.75** 40(12) 40(12) 日本タイド
    吉林省 4,375 0.75** 0.75** 40(12) 40(12) 日本タイド
    寧夏回族自治区 4,250 0.75** 0.75** 40(12) 40(12) 日本タイド
    山東省済南市 2,914 0.75** 0.75** 40(12) 40(12) 日本タイド
    合計 96,692          

    * 優先条件

    ** 本邦技術活用条件