プレスリリース

インドネシア共和国向け2005年度円借款契約の調印

〜投資環境整備と再生可能エネルギー活用等によりインドネシアの経済社会開発を支援〜

新聞発表/2005-92
2006年3月29日

1.国際協力銀行(総裁:篠沢恭助)は、本日、インドネシア共和国との間で計5件、総額812億76百万円を限度とする円借款貸付契約に調印します。28日に貸付契約を調印した開発政策借款(II)、(117億29百万円)とあわせた今年度のインドネシア共和国向け円借款貸付契約の総額は、930億5百万円となります。

2.2004年10月に発足したユドヨノ大統領による新政権は、2005年1月に国家中期開発計画(RPJM)(2004-2009)を策定し、同計画において、最終年の2009年の目標値を経済成長率7.6%(2004年5.1%)、失業率5.1%(同年9.9%)、貧困率8.2%(同年16.6%)と定め、マクロ経済の安定及び投資環境の改善さらには燃料補助金の削減を含む財政運営改善等に係る諸改革に取り組んでいます。この結果2005年通年のGDP実質成長率(速報値)は2004年12月に発生したスマトラ沖地震・津波による影響にも関わらず5.6%と経済危機以来最も高い水準となりました。

ユドヨノ政権は、マクロ経済の安定、投資環境の改善、及び財政運営改善・反汚職に加え、貧困削減にも積極的に取り組んでいます。今年度の対インドネシア円借款は、こうした同国における政策を支援し、同国の経済・社会開発に寄与するものです。

3.今次円借款の特徴は、以下の通りです。

(1) 投資環境改善に寄与する経済インフラの整備を支援

当行は、同国の投資環境の改善に寄与する経済インフラ整備の支援を重点分野の1つとしており、今次円借款のうち合計4案件が該当します。これらは、電力分野、物流分野及び水資源分野における支援であり、かかる支援を通じた投資環境の改善により、民間投資が促進され、その結果、民間主導の持続的な経済成長が期待されます。

電力分野では、増大する電力需要に対応し、電力供給の安定化を目指す2案件を支援します。「アサハン第3水力発電所建設事業」は、スマトラ島北スマトラ系統に接続する154MWの流れ込み式水力発電設備を建設するものです。また、「カモジャン地熱発電所拡張事業(E/S)」はジャワ島西ジャワ州において、地熱発電用蒸気の開発及び地熱発電所を増設(60MW級)するもので、今次円借款では、当該事業のエンジニアリングサービスの実施を支援します。

物流分野では、主要な物流経路となる幹線道路を整備するための案件を支援します。「タンジュンプリオク港アクセス道路建設事業(II)」は、昨年度の第1期事業に引き続き、ジャカルタ外環道路からタンジュンプリオク港までのアクセス道路の建設により、ジャカルタ首都圏、特にタンジュンプリオク港近辺の交通渋滞の緩和を図るものです。この「タンジュンプリオク港アクセス道路建設事業(II)」は、交通量の多い地域での事業であるため、施工期間中に交通に与える影響を最小限に留る等優れた日本の技術の活用が求められていることから、「本邦技術活用条件 [1]」を適用します。

水資源分野では、雨季の河川氾濫による大規模な洪水被害及び都市内部の恒常的な浸水被害並びに乾季の水不足を改善するため、治水・利水を含め長期的かつ総合的な視点に立った水資源対策を支援します。「スマラン総合水資源・洪水対策事業」は、中部ジャワ州の州都スマラン市において、放水路・河川改修、排水整備、多目的ダムの建設を行うことにより、洪水被害の軽減と安定的な水供給を図るものです。

(2) 再生可能エネルギーの活用を支援

インドネシアは、原油、天然ガスの主要な産出国の一つですが、原油生産量は年々低下し2004年には原油の純輸入国となっており、政府は国内エネルギーの原油依存度を緩和し、地熱を含む再生可能エネルギーを活用する政策を打ち出しています。地熱エネルギー資源については、同国は世界第1位の資源量があると考えられており、当行は、これまでも地熱発電所の建設に対する支援を行っていますが、今年度は、「カモジャン地熱発電所拡張事業(E/S)」において、地熱発電用蒸気開発のための調査井試掘 [2]を含めた支援を行うこととしています。また、同事業は、「アサハン第3水力発電所建設事業」とあわせて、温暖化ガスの抑制に資する再生可能エネルギーを利用することで地球環境負荷の軽減に寄与するものであり、更に、両事業ともに、クリーン開発メカニズム(CDM)の適用が検討されていることから、日本の京都議定書上の温暖化ガス削減目標にも貢献することが期待されています。

(3) 地方政府職員の人材育成を支援

インドネシア政府は1999年以降、法整備等を通じて地方分権化を進めてきましたが、未だ十分な効果をあげるに至っておらず、特に地方政府に重点をおいた行政能力の向上が喫緊の課題となっています。「高等人材開発事業(III)」は、同国地方政府及び中央政府において政策企画及び財政部門に携わる人材を対象に、日本への留学、インドネシア国内での進学及び両国での研修を通して、公共政策、財政等の分野における、より高度な知識・技能を有する人材を育成するものです。同事業においては、2004年12月に発生したスマトラ沖地震・津波により甚大な人的被害が発生したナングル・アチェ・ダルサラム州への支援として、日本への留学、インドネシア国内での進学に当たり、同州の地方公務員を優先することとしている他、同州に位置するシャクアラ大学の教員を対象に実務研修が実施されることになっています。

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[1] 「本邦技術活用条件」は、日本の優れた技術やノウハウを活用し、途上国への技術移転を通じて日本の「顔の見える援助」を促進するために2002年3月に創設され、同年7月より適用されているもの。通常の円借款の条件と比較して、金利・期間等が借入人にとって有利な条件となっている。

[2] 地熱発電では、深さ数km程度の、比較的地表に近い地熱貯留層に蓄えられた熱をエネルギー源として取り出し利用する。