プレスリリース

別添(インド向け2005年度円借款)

借款金額及び条件

案件名金額(億円)貸付金利(%/年)償還期間(年)/据置期間(年)調達条件
プルリア揚水発電所建設事業(III)179.631.330/10一般アンタイド
バンガロール上下水道整備事業(II-2)283.580.75*(下水道)1.3(それ以外)40/10*(下水道)30/10(それ以外)
地方電化事業206.290.7515/5
デリー高速輸送システム建設事業(フェーズ2)(I)1491.330/10
バンガロール・メトロ建設事業447.041.330/10
スワン川総合流域保全事業34.930.75*40/10*
オリッサ州森林セクター開発事業139.370.75*40/10*
フセイン・サガール湖流域改善事業77.290.75*40/10*
コルカタ廃棄物管理改善事業35.840.75*40/10*
ビシャカパトナム港拡張事業(E/S)1.611.330/10
合計1,554.58

*環境案件には通常よりも低い金利を適用し、開発途上国の環境問題への取組みを積極的に支援しています。

(1)プルリア揚水発電所建設事業(III)

Purulia Pumped Storage Project (III)

(a)事業の背景と必要性

インドでは、恒常的な電力不足が産業の発展や生活水準の改善における足かせとなっており、電力不足の解消は、同国の経済発展及び貧困削減のための緊急課題となっています。インド第3の都市コルカタを抱えるインド東部の西ベンガル州(人口8,000万人)は、工業化に伴い過去10年間で電力需要が平均5〜6%増加した結果、ピーク時で約7%の電力不足が生じており、同州における発電所の建設及び送電線等の増強が必要です。また、電源に占める火力発電の割合は、インドの全体では約70%に留まるのに対して、同州では95%以上に達しています。更に、ボイラーを使う火力発電は一日の電力需要の変動に合わせた出力調整が難しいため、ピーク時の電力需要への対応が可能であり、かつ環境への負荷が少ない水力発電所の建設が求められています。

(b)事業の目的と概要

本事業は、インド東部西ベンガル州の電力不足の緩和を通じて同州の経済発展に資するために、設備出力900MW(225MW×4基)のインド最大の揚水式水力発電所(世界最大の揚水式水力発電所である神流川揚水発電所(群馬県)の3分の1の発電容量に相当)及び関連する送電・変電設備を建設するものです。当行はこれまで同事業に対し、総額440億9,800万円(第1期分:205億2,000万円(1995年2月)、第2期分:235億7,800万円(2004年3月))の円借款を供与しており、今次供与分は最後の支援となります。

本事業では、ピーク時の電力需要への対応に加えて、余剰電力を活用して電力の有効利用を図るために揚水式を採用します。揚水式は、夜間などの電力需要の少ない時間帯に、他の火力発電所から余剰電力の供給を受け、下部貯水池(下池)から上部貯水池(上池)へ水をくみ上げておき、ピーク時に発電する方式です。

また、本事業では、当行の支援により行った日本企業による完成後の設備の管理体制整備と強化に対する調査提言を踏まえて、総合品質管理(組織全体として統一した品質管理目標へのボトムアップ型の取り組み)を推進するとともに、州間の電力取引に係る料金設定と決済システムの構築並びに、送電設備の遠隔管理システムの構築を行うことになっています。

借款資金は、発電設備等の調達、土木工事、コンサルティング・サービス等に充当されます。

事業実施者は、西ベンガル州電力庁(WBSEB:West Bengal State Electricity Board、住所:Vidyut Bhavan,5th Floor, Block-A, Bidhannagar, Kolkata 700091, West Bengal, India、TEL:+91-33-2359-1951、FAX:+91-33-2358-1533)です。

(2)バンガロール上下水道整備事業(II-2)

Bangalore Water Supply and Sewerage Project (II-2)

(a)事業の背景と必要性

インドでは、人口の増加や工業化による上水需要の急増に水源開発や上水道整備が追いつかず、1日あたりの給水時間は、首都のデリーでも4時間程度という状況です。本事業が実施されるインド南部カルナタカ州の州都バンガロール市は、インドのシリコンバレーと呼ばれ、日本の最大手自動車会社を含め多くの外国企業が進出していますが、周辺8自治体を含むバンガロール都市圏での給水時間は1日おきの6時間のみです。

急速な産業発展に伴い、現在600万人の同都市圏の人口は、2011年には730万人に急増すると予想されています。こうした状況の下、上水道施設の整備による安定した水供給の実現は緊急の課題となっており、それに見合う下水処理施設の整備も、地域住民の衛生環境の向上のために必要になっています。

(b)事業の目的と概要

本事業は、バンガロール都市圏において、居住環境の整備及び産業の活性化のために、上水道施設の整備(給水能力50万㎥/日(福岡市の給水能力とほぼ同じ)の増強)及び下水道施設の整備(下水処理能力40万㎥/日の増強)を行うものです。なお、同都市圏には多数の日本企業(約60社)が進出しており、これら企業を含めた同地域の産業に対しても裨益することが期待されています。

デカン高原に位置する標高900mのバンガロールにおいては、近郊に新規水源開発の余地はないため、南西約100kmに位置するコーヴェリ川を水源として、標高差約300mを揚水して給水する計画が進められており、本事業はその第4次整備の第2フェーズ事業です。これまで当行は、第1期分として、419億9,700万円(2005年3月)の円借款を供与しており、今次供与分は最後の支援となります。なお、当行は第1フェーズ事業である「バンガロール市上下水道整備事業」(1996年1月調印、284.52億円)に対しても支援を行っています。

本事業では、上下水道施設の整備のみならず、水道経営の包括的な改善に向けた取り組みとして、人材開発、30%を超える漏水率削減のための配水網の改修、自動料金支払機の普及、民間への業務委託を行うほか、バンガロール市民による水道業務への理解促進のための広報活動及び節水等の重要性に関する消費者の啓発活動も行います。また、衛生環境が劣悪である約360のスラムも本事業の対象地域となっており、当該地域においても上下水道施設を整備と併せて、スラム住民に対する啓発活動を行い、女性の参加を確保しつつ、貧困住民自らが上下水道施設の管理に関与することになっています。

また、本事業に対しては、当該施設から給水を受けるバンガロールの周辺自治体における上水道整備の資金調達を目的として、カルナタカ都市インフラ開発金融公社により発行された債券に対して、米国国際開発庁(USAID)が保証を行う等、国際機関・他国の援助機関とも協力して支援しています。また、スラムにおける上下水道施設整備について、国連ハビタット・世界銀行等により設立されたシティーズ・アライアンス、米国国際開発庁と協力しています。

借款資金は、上下水道施設建設の土木工事、資機材の調達、コンサルティング・サービス等に充当されます。

事業実施者は、バンガロール上下水道局(BWSSB: Bangalore Water Supply and Sewerage Board、住所:CauveryBhavan, Bangalore 560009, Karnataka, India、TEL/FAX:+91-80-22945103)です。

(3)地方電化事業

Rural Electrification Project

(a)事業の背景と必要性

インドの農村部には、人口の7割、貧困層人口の8割が住んでいますが、世帯電化率は約44%にとどまっており、未電化世帯は約7,800万にのぼっています。電化は、地域格差の是正という観点のみならず、(1)小規模産業の発展、(2)夜間の学習時間の増加、(3)テレビ・ラジオの普及による衛生面を含む知識の向上、(4)農作業、家事の機械化による労働の軽減、(5)扇風機の利用を通じて就寝中に蚊に刺されることを防ぐことによるマラリアやデング熱等の感染症の罹患防止等、地方における生活水準の改善を通じた貧困削減と経済活動の活性化に寄与します。このため、現政権は世帯電化の推進を重点課題の一つに位置付けており、2009年までに全世帯の電力アクセスを確保するという目標を掲げています。

(b)事業の目的と概要

本事業は、インド南部アンドラ・プラデシュ州、西部マディア・プラデシュ州、マハラシュトラ州の3州において、未電化世帯等の電力アクセスの改善を通じた住民の生活水準の向上及び経済・社会活動の活性化のために、変電所の新設・増強及び配電網の整備を行うものです。本事業は、約279万世帯の未電化世帯の電化に寄与し、約1,500万人が裨益します。

なお、インド政府は、貧困層への電力アクセスを推進するために、関連事業において低圧用変圧器と各世帯までの低圧配電線の整備及び貧困世帯に対するメーターを含めた電化に必要な設備の無償提供を行うことにしています。また、施設の維持・管理や料金回収にかかる費用を削減し、地域住民のニーズにあった施設にするために、配電施設の建設と維持・管理の一部を、住民組織、村落行政組織、NGO等に委託する予定です。

更に、電化地域の拡大に伴う維持管理負担のために、配電公社が人員不足や財務悪化による資金不足といった事態に陥ることのないように、事業実施主体である地方電化公社が本事業を通じて、電力料金の適切な改定、送配電ロスの削減、料金回収率向上、コスト削減等の改革への取り組みを後押しし、モニタリングされることになっています。

借款資金は、配電・変電設備の調達等に充当されます。

事業実施者は、地方電化公社(REC:Rural Electrification Corporation Ltd.、住所:Core-4, SCOPEComplex, 7 Lodi Road, New Delhi 110003, India、TEL/FAX:+91-11-4175-7033)、アンドラ・プラデシュ州中部配電公社、アンドラ・プラデシュ州東部配電公社、アンドラ・プラデシュ州北部配電公社、アンドラ・プラデシュ州南部配電公社、マディア・プラデシュ州中部電力公社、マディア・プラデシュ州西部配電公社、マディア・プラデシュ州東部配電公社、マハラシュトラ州配電公社です。

(4)デリー高速輸送システム建設事業(フェーズ2)(I)

Delhi Mass Rapid Transport System Project (Phase 2) (I)

(a)事業の背景と必要性

インドでは、近年、大都市の人口が急増し、自家用車の普及が急速に進んだため、大都市の交通混雑が激化していると共に、自動車からの排気ガス等による環境問題が深刻になっています。

首都デリーの人口(約1,400万人)は、過去20年間に倍増し、登録車両台数も急増しています(1980年:52万台→2004年:417万台)。同国では、鉄道が従来から主に長距離輸送手段として整備されてきたことから、デリーにおいても、郊外と市の中心部を結ぶ近距離鉄道や市内の鉄道網が整備されていないため、交通手段はバスや自家用車に頼らざるを得ない状況(2001年現在、東京における通勤手段の比率はバス12.7%、自家用車15.9%、鉄道52.1%であるのに対し、デリーの比率はバス60.0%、自家用車39.5%、鉄道0.5%)となっており、慢性的な渋滞が発生し、市内の平均車両速度は時速13kmになっています。また、自家用車・バスは、低質な燃料や旧式のエンジンを利用しているため、これらを原因とする大気汚染も深刻な問題となっています(浮遊粒子状物質の年平均濃度は北京・バンコク等を大幅に上回り世界の主要都市の中で最高)。

こうした状況の下、デリーにおいて、交通混雑を緩和すると共に、排気ガスによる大気汚染等の公害を減少させるために、大量高速輸送システムの構築が必要になっています。

(b)事業の目的と概要

本事業は、同国の首都デリーにおいて、交通混雑の緩和と排気ガス削減を通じた経済の活性化と環境改善のために、大量高速輸送システムを建設するものです(地下鉄及び高架・地上鉄道:総延長約245km)。このうち、第1フェーズ(3路線、約59km)は約3kmを残してほぼ完成済みであり、今回の支援は、第2フェーズとして5路線(うち3路線は延伸)からなる約53kmを対象とします。当行は、第1フェーズに対しても、6期にわたり、総額1,627億5,100万円(第1期分:147億6,000万円(1997年2月)、第2期分:67億3,200万円(2001年3月)、第3期分:286億5,900万円(2002年2月)、第4期分:340億1,200万円(2003年3月)、第5期分:592億9,600万円(2004年3月)、第6期分:192億9,200万円(2005年3月))の円借款を供与しています。

第2フェーズの整備を通じてデリー中心部と近郊のベッドタウンを結ぶ通勤鉄道としての役割が強化される結果、フェーズ2の全線開業時点には、259万人/日の乗客輸送量(都営地下鉄(230万人/日:2003年)を超える規模)を見込んでいます。また、既に第1フェーズによりアクセスが可能になっているレッドフォート城等に加えて、デリーにおいて世界遺産に登録されている遺跡(クトゥブ・ミナール(勝利の塔))にもアクセス可能になり、観光の振興にもつながることが期待されています。

本事業には多数の出稼ぎ労働者が従事しますが、HIVの感染拡大(インドにおけるHIV感染者数は500万人を超え、南アフリカ共和国に次いで世界第2位)を抑えるため、第1フェーズと同様に、出稼ぎ労働者への啓発等によるHIV予防活動を実施します。また、本事業の第1フェーズでは、安全帽・安全靴で作業をする習慣が定着していなかったインドの工事現場において、作業員の一人一人に至るまで安全帽・安全靴を着用させ、工事現場の整理整頓も徹底される等、安全性及び効率性といった意識を浸透させ、インドの工事に文化的な革新を起こしたと言われていますが、同様の取り組みは第2フェーズにおいても継続します。

借款資金は、地下鉄建設の土木工事、車両の調達、コンサルティング・サービス等に充当されます。

事業実施者は、デリー交通公社(DMRC:Delhi Metro Rail Corporation Limited、住所:3rd Floor, EastTower, N.B.C.C. Place, Bhishma Pitahmah Marg, Pragati Vihar, New Delhi 110003,India、TEL:+91-11-2436-5202、FAX:+91-11-2436-5370)です。

(5)バンガロール・メトロ建設事業

Bangalore Metro Rail Project

(a)事業の背景と必要性

インド南部カルナタカ州の州都であるバンガロール市を含む都市圏(人口約600万人)はインドのシリコンバレーと呼ばれ、日本の最大手自動車会社を含め多くの外国企業が進出するなど、急速に発展しており、人口は過去20年間で倍増し、登録車両台数も急増しています(1986年:33万台→2005年:256万台)。バンガロール市においても、デリーと同様に、郊外と市の中心部を結ぶ近距離鉄道や市内の鉄道網が整備されていないため、慢性的な渋滞が発生し、市内の平均車両速度は時速10〜12kmになっており、深刻な大気汚染の要因となっています(浮遊粒子状物質の年平均濃度は北京・バンコク等を上回っている)。

こうした状況の下、バンガロール市において、交通混雑を緩和すると共に、排気ガスによる大気汚染等の公害を減少させるために、大量高速輸送システムの構築が必要になっています。

(b)事業の目的と概要

本事業は、バンガロール市において、交通混雑の緩和と排気ガス削減を通じた経済の活性化と環境改善を目的として、初の大量高速輸送システムを建設するものです(地下鉄及び高架・地上鉄道:総延長約33km)。全線開業時点には、107万人/日の乗客輸送量(名古屋市営地下鉄(110万人/日:2004年)と同規模)を見込んでいます。

本事業は、当行が支援した「デリー高速輸送システム建設事業」を参考に計画が策定されており、当該事業と同様の取り組みが行われる予定です。具体的には、HIV感染拡大を抑えるための出稼ぎ労働者への啓発等によるHIV予防活動、安全帽・安全靴着用や工事現場の整理整頓等による工事現場の安全と効率の改善があります。

借款資金は、地下鉄建設の土木工事、通信・信号設備の調達、コンサルティング・サービス等に充当されます。

事業実施者は、バンガロール交通公社(BMRC:Bangalore Metro Rail Corporation Limited、住所:3rd Floor,BMTC Complex, K.H.Road, Shanthinagar, Bangalore – 560 027, Karnataka, India、TEL:+91-80-2296-9202、FAX:+91-80-2296-9204)です。

(6)スワン川総合流域保全事業

Swan River Integrated Watershed Management Project

(a)事業の背景と必要性

インドでは、土壌流失、河川氾濫による農地への被害が深刻になっており、とりわけ、中山間地域(平野の周辺部から山間部に至る、まとまった耕地が少ない地域)において希少な農地を守るために、農地侵食及び洪水被害への対策の必要性が高くなっています。インド北部ヒマーチャル・プラデシュ州(人口約600万人)は、ヒマラヤ山脈に位置し、山がちな地形で多くの中山間地域を抱えていますが、同州ウナ県のスワン川流域上流部は同州の中でも特に森林荒廃、農地侵食の被害が深刻であり、また、洪水被害が起こっています。

こうした状況の下、森林再生、農地の保全のために、植林、堤防建設、段々畑の整備、農業開発等から構成される総合的な流域保全事業が必要になっています。

(b)事業の目的と概要

本事業は、インド北部ヒマーチャル・プラデシュ州ウナ県のスワン川流域において、農林産物の安定的な増産を通じて貧困層を含む地域住民の生活水準を向上するために、荒廃林再生のための植林、川の侵食を抑えるための砂防ダム建設、農地等への洪水被害を防ぐ堤防等建設、農地保全のための段々畑の整備、土地改良のための整地、客土を含む包括的な流域保全を行うものです。また本事業では、これらの目的を達成するために、住民のニーズに沿って、マイクロファイナンス(貧困層や低所得層を対象とする貧困の軽減を目的とした貸付等の小口の金融サービス)、井戸等の小規模なインフラ整備、農業・畜産の振興といった生計改善のための取り組みも行う予定です。加えて、貧困のためにやむを得ず木を伐採し、あるいは家畜を放牧して、森林再生の芽を摘む可能性のある森林周辺住民に対する代替収入源の確保と生活向上のための自助努力促進も重視しています。

更に、本事業では、周辺住民の生活の改善につながる植林及び森林管理を行うべく、地域住民と森林局が共同で植林及び森林管理を行う「住民参加型森林管理」方式を採用します。また、生計改善のための取り組みについても、地域住民が中心になって計画及び実施し、零細な農家、女性等の社会的弱者がその主な裨益者になるようにします。また、植林技術、住民との共同管理の方法等につき、政府職員、住民等に対して研修を行うことで、より効果的な森林管理を目指します。

同州では、世界銀行、英国国際開発省が植林等の関連分野でこれまで支援を行っていることから、本事業ではこれらの住民組織の形成・運営等に関する経験を活用していきます。また、中山間地域における洪水対策・農業開発を含む総合的な流域保全対策は、自然災害に対して脆弱な土地に住む住民にとって、希少な農地の保全と開発を通じた生活向上のために重要であるにもかかわらず、インドではほとんど行われていないため、本事業は類似地域への展開も視野に入れたモデルケースになることが期待されます。

借款資金は、植林活動、土木工事、生計改善活動、コンサルティング・サービス等に充当されます。

事業実施者は、ヒマーチャル・プラデシュ州森林局(Forest Department, State Government of Himachal Pradesh、住所:Talland,Shimla 171001, Himachal Pradesh, India、TEL/FAX:+91-177-2620281)です。

(7)オリッサ州森林セクター開発事業

Orissa Forestry Sector Development Project

(a)事業の背景と必要性 

インドにおける森林率は約24%と世界平均(約30%)に比べて低い水準であり、一人当たりの森林面積は世界平均の6分の1に過ぎません。しかしながら、人口増加及び木材需要の急増によりますます森林伐採が進み、森林の劣化、水土保全機能の低下が引き起こされ、家畜の飼料、燃料用の薪、現金収入源の果実等を森林へ依存している貧困層の生活を更に圧迫しています。

インドの州の中で最も貧困率が高いオリッサ州(人口約3,700万人、インド政府の貧困基準によると47.2%)は、森林面積の約42%が疎林となっており、森林に依存して生活をする貧困層への悪影響が深刻化しています。また、同州では指定部族と呼ばれる先住民族の割合も高くなっています(インド平均8.2%に対して、オリッサ州は22.2%)。

こうした状況の下、荒廃林の再生及び貧困層の生活水準向上への取り組みが必要になっています。

(b)事業の目的及び概要

本事業は、インド東部オリッサ州の全51の営林区・野生生物林区のうち、14の林区において、荒廃林の再生及び地域住民の生活水準の向上を通じて地域の環境改善及び貧困削減を推進するために、約20万ヘクタール(東京都とほぼ同じ面積に相当)の植林を地域住民の参加を得て行うと共に、地域住民の生計改善に向けた取り組み等を行うものです。

本事業では、「住民参加型森林管理」方式を採用して、植林及び森林管理を行うと共に、森林再生の芽を摘む可能性のある森林周辺の住民の代替収入源の確保と生活向上に向けた自助努力の促進のために、マイクロファイナンス、貯水池等の小規模インフラ整備といった生計改善のための取り組みを行います。「住民参加型森林管理」の実施においては、森林に近接する村落住民で構成される森林管理組合を設立し、地域事情に詳しい現地のNGOの協力を得ながら、植林内容を含むマイクロプランと呼ばれる計画を住民主体で作成し、さらに植林技術等にかかる研修を行い、より効果的な森林管理を目指します。

また、本事業では、野生動物、特にインド象の人里への出現による住民との軋轢を軽減するために、移動回廊の整備、水のみ場の設置等を行います。加えて、サイクロンによる被害が頻発している沿岸部において、マングローブ等の植林を通じて海岸防災林の整備を行います。これは、2004年12月のインド洋津波で約8千人の犠牲者を出したインド南部タミールナド州において当行が支援した「タミールナド州植林事業」(1997年2月調印、133.24億円)に関する津波の影響調査を踏まえたものです。同調査によれば、マングローブ等を植林した地域では津波による家屋の被害が全家屋の10%以下だったのに対して、植林を行わなかった地域での被害は50%以上にもなっています。

当行は、知的協力の一環として、事業の準備段階で同州においてセミナーを行い、1983年の日本海中部地震津波の被災経験のある秋田県及び自然災害の影響調査の分野で豊富な実績・経験を有する秋田大学と連携し、日本の経験と知見を、インド側の関係機関に紹介しました。

借款資金は、植林活動、生計改善活動、コンサルティング・サービス等に充当されます。
事業実施者は、オリッサ州森林環境局(Forest and Environment Department, State Government of Orissa、住所:FirstFloor, Aranya Bhawan, Chandrasekharpur, Bhubanesar 751023, Orissa, India、TEL/FAX:+91-674-2300915)です。

(8)フセイン・サガール湖流域改善事業

Hussain Sagar Lake and Catchment Area Improvement Project

(a)事業の背景と必要性

インドでは、都市部への急激な人口流入や工業化に対して、下水道整備が追いついていないため、自然の浄化力をはるかに上回る汚水が河川・湖沼に垂れ流されています。そのため、汚染された水を媒介とする下痢、肝炎等、地域住民への健康被害が生じており、また悪臭の原因にもなっています。

インド南部アンドラ・プラデシュ州の州都ハイデラバード市を含む同都市圏(人口約700万人)は、多くのIT企業が立地し、また観光地として急速に発展しています。同都市圏の中心部に位置するフセイン・サガール湖は、1562年に建設された人造湖で、ハイデラバードの象徴的存在ですが、急速な発展に伴い生活・産業排水が急増する一方で、湖に流入する河川流域(人口約160万人)の下水処理施設整備が不十分であるため、同湖に未処理下水が流れ込んでいます。その結果、周辺への悪臭及び湖の周辺地域及び湖に流入する河川地域の住民・行楽客等への健康被害が懸念されています。同湖の水質は、74〜2001年度において日本全国の湖沼で水質ワースト1であった手賀沼(千葉県)の水質が最悪だった時期(70年代終わり)よりも、はるかに深刻な状況です。

更に、同都市圏の近郊には、新規に開発可能な水資源がないため、115km離れているクリシュナ川から、標高差450mを揚水して給水する計画が進んでいます。しかしながら、この計画だけでは急増する需要を賄いきれず、また、揚水のため上水生産コストが増加する見込みであることから、同都市圏にとって貴重な水資源であり、古くは飲料水・工業/農業用水等に利用されていたフセイン・サガール湖の湖水の有効利用が求められています。

こうした状況の下、同都市圏における衛生環境の改善のために、下水道等の整備及びフセイン・サガール湖浄化の必要性が高まっています。

(b)事業の目的と概要

本事業は、アンドラ・プラデシュ州ハイデラバード都市圏のフセイン・サガール湖及び周辺地域において、地域住民の衛生環境改善及び水資源の有効利用を促進するために、下水道施設の整備、下水処理水(中水)の利用施設整備、同湖の底泥浚渫等を行うものです。

日本では、200以上の下水処理場からの中水が、トイレ洗浄水、冷却用水、公園の散水等として活用されています。これまでインドでは一部地域において農業用水に中水が使われていた程度ですが、人口増加に伴い多くの地域で水不足がおきていることから水資源の有効利用が重要な課題になっています。とりわけ、上記の通り同都市圏では上水の不足と上水生産コスト増加に直面しており、本事業は中水利用の推進のためのパイロット事業として行われるものです。

本事業では、現地のNGO・市民ボランティアと協力して、地域の衛生環境改善、湖浄化に向けた市民の取り組みの必要性等について、パンフレット作成、学校での課外事業、メディアキャンペーン等の啓発活動を行います。

また、当行は、知的協力の一環として、事業の準備段階で同市においてセミナーを行い、彦根市(同市国際協会はハイデラバード市の国際協会と姉妹協定を結んでいる)及び滋賀県立大学と連携し、琵琶湖の水質保全に関するノウハウをインド側の関係機関に紹介しました。また、フセイン・サガール湖の湖沼管理及び下水処理に関連して、職員に対する技術訓練の実施などにつき、国際協力機構(JICA)の専門家とも協力してします。

借款資金は、下水道施設等建設の土木工事、資機材調達、コンサルティング・サービス等に充当されます。

事業実施者は、ハイデラバード都市開発庁(HUDA:Hyderabad Urban Development Authority、住所:1-8-323,Paigah Palace, Police Lines, Rasoolpura, Secunderabad 500003, Andhra Pradesh,India、TEL:+91-40-27905371、Fax: +91-40-27906297)です。

(9)コルカタ廃棄物管理改善事業

Kolkata Solid Waste Management Improvement Project

(a)事業の背景と必要性

インドでは、2000年に廃棄物収集・処理に関する法律が制定されましたが、十分な規制は行われておらず、家庭等からの廃棄物は無分別のまま、廃棄物飛散・悪臭・地下水汚染の防止対策がとられていない埋立地に投棄されています。また不法投棄も多く見られます。

インド東部西ベンガル州の州都コルカタ市を含むコルカタ都市圏(人口約1,500万人)は、インドの主要港の1つであるコルカタ港を擁し、インド東部の経済・産業の中心として、英国植民地時代から発展しています。同都市圏では、急激に増加する廃棄物に適切な処理がされていないため、廃棄物の路上放置による悪臭及び害虫の発生、投棄場所における土壌・地下水の汚染、廃棄物投棄を原因とする雨期の排水路の氾濫が生じています。

こういった状況の下、環境に配慮した廃棄物処理施設の整備を行い、分別収集の導入やコンポスト(有機肥料)生産等により3R(廃棄物の発生抑制(リデュースReduce)、再使用(リユースReuse)、再生利用(リサイクルRecycle))を促進する必要性が高まっています。

(b)事業の目的と概要

本事業は、インド東部西ベンガル州コルカタ都市圏の北部に位置する6市において、適切な廃棄物処理を通じた地域住民の衛生環境改善のために、環境に配慮した最終処分場建設を含み、複数の地方自治体をカバーする広域廃棄物処理システムをインドで初めて整備するものです。同都市圏のみならず、インド全体において、これまで適切な広域廃棄物処理システム導入の実績はないため、本事業は廃棄物管理のモデル事業として、インドの他地域への普及を念頭に行われるものです。

本事業では、戸別収集を導入するほか、全地域で有機性の廃棄物とそれ以外に分別した上で回収し、有機性の廃棄物は堆肥化し農業への利用するほか、公園整備や低湿地埋立てや処分場での廃棄物への覆土として用いることで、飛散・悪臭防止に使用されます。最終処分場の設計は、廃棄物飛散・悪臭・地下水汚染等の害が生じないように、環境に配慮されています。また、ビン・缶などのリサイクル可能物の収集を行っているスカベンジャー(インフォーマルなごみ収集人)が、本事業で導入されるシステムにおいて除外されないように、正規職員としての雇用促進、職業訓練、健康改善に取り組みます。加えて、現地のNGO・教育機関等と共に、分別収集、3Rの推進等に関して、リーフレット配布、ポスターの設置、セミナー開催、学校の課外授業等の啓発活動を行います。とりわけ、インドにおいて分別・ゴミ出しをするのは一般的に家事を担当する女性であることから、女性グループを窓口とした啓発活動も行います。

当行は、知的協力の一環として、事業の準備段階で同都市圏においてセミナーを行い、当行は東京23区(東京23区清掃一部事務組合)と連携し、東京におけるゴミ処理の状況を、インド側の関係機関に紹介しました。

借款資金は、一般廃棄物処理設備建設のための土木工事、資機材調達、コンサルティング・サービス等に充当されます。

事業実施者は、コルカタ都市圏開発庁(KMDA:Kolkata Metropolitan Development Authority、住所:PrashasanBhavan, DD-1, Sector-1, Bidhannagar, Kolkata 700064, West Bengal, India、TEL:+91-33-23597915、Fax:+91-33-23594758)です。

(10)ビシャカパトナム港拡張事業(E/S)

Visakhapatnam Port Expansion Project (E/S)

(a)事業の背景と必要性

インドの国際貿易及び国内輸送において海上輸送は重要な役割を果たしており、インドの港湾貨物取扱量は、同国経済の開放政策により近年、急激な伸びを見せています(2000年度:2.8億トン→2004年度:3.8億トン)。しかしながら、港湾設備の老朽化、運営効率の低さに加えて、係留施設の増加や延長、航路や泊地の水深が十分でないため、入港船舶の大型化および入港船舶数の増加に対応できていません。

インド南部アンドラ・プラデシュ州に位置するビシャカパトナム港は、インドの主要13港の1つです。年間貨物取扱量は5年連続でインド最大(約5,000万トン)であり、そのうち鉄鉱石が約3割(約1,650万トン)を占めています。インドは、世界第4位の鉄鉱石産出国(輸出は世界第3位)ですが、同港は、主要な鉄鉱石鉱山であるバイラディラ鉱山から採掘される高品位の鉄鉱石等を輸出するための重要な積出港の一つです。日本は、鉄鉱石輸入量の約10%をインドから輸入していますが、とりわけ、同鉱山及び同港の外港は、70年代に円借款で開発されたこともあり、日本との繋がりが強く、同鉱山から産出される鉄鉱石の約3割を日本が輸入しています。同港の外港における鉄鉱石取扱量は、現在の1,420万トンから、2012年には1,900万トンに達するとともに、入港船舶の大型化が想定されているので、今後も長期間安定的に、かつ効率よく鉄鉱石を輸出していくためには、同港の拡張が必要になっています。

(b) 事業の目的と概要

本事業は、ビシャカパトナム港において、輸送能力の向上及び輸送効率の改善を通じて鉄鉱石の輸出拡大等による同国の経済発展に寄与するために、鉄鉱石仮置場の地盤改良、航路・泊地浚渫、係留設備等の増強を行うものです。尚、今回の借款は本体工事に先立つエンジニアリング・サービス(E/S)を対象としており、調査・設計を行います。

借款資金は、コンサルティング・サービスに充当されます。

事業実施者は、ビシャカパトナム港湾公社(VPT:Visakhapatnam Port Trust、住所:Visakhapatnam 530035,Andhra Pradesh, India、TEL:+91-891-2565456、FAX:+91-891-2564522)です。