プレスリリース

円借款事業で、世界初の鉄道事業のCDM事業登録

〜インド・デリー高速輸送システム建設事業〜

新聞発表/2007-77
2008年1月11日

  1. 国際協力銀行(総裁:田波耕治)が円借款で支援しているインドのデリー高速輸送システム建設事業 [1]において進めている電力回生ブレーキシステムの導入が、国連のCDM理事会により、鉄道事業では世界で初めてクリーン開発メカニズム(CleanDevelopment Mechanism (CDM)) [2]事業として登録されました [3]。(別添参照

  2. 今回、本事業がCDM事業として認められたのは、日本で活用されている省エネ技術である「電力回生ブレーキ」を、インドでは初めて地下鉄に本格導入したことによります。電力回生ブレーキとは、地下鉄車両のモーターをブレーキ作動時に発電機として利用することにより、列車の運動エネルギーを電力に変換する技術です。ここで発電された電力は車両から直接架線に送られ、地下鉄の走行に必要な電力に充てられます。これにより、地下鉄車両が走行する際に、単に電力を消費するだけではなく、電力を生み出すことができることとなり、通常の車両を用いた場合に比べ33%電力が節約される見込みです。モーターの運動エネルギーから生み出される電力は、温室効果ガスの発生を伴わないクリーンなエネルギーであるため、電力回生ブレーキ導入により得られる電力を火力発電によって賄った場合に発生すると見込まれるCO2量に相当する排出権が得られるものです。

  3. 2012年末月まで5年間に本事業から生じる見込みの排出権合計約20万トンについては、日本カーボンファイナンス(Japan Carbon Finance,Ltd. (JCF) [4])が購入する予定です。本事業がCDM案件として承認されたことで、京都議定書で我が国に課せられた6%の温室効果ガス削減目標の達成に向けた我が国の取り組みに貢献するものと期待されます。

  4. また、CDM事業として認められるセクターには偏りがあるとの指摘がなされていますが、今般、本事業が鉄道事業としては世界で初めての事例となり [5]、これが先例となって鉄道事業でのCDM事業形成・実施が促進されるなど、幅広い分野で温室効果ガスの削減に向けた取り組みが活発化に繋がっていくことが期待されます。

  5. 当行は、これまで円借款案件形成・実施の各段階で独立行政法人国際協力機構(JICA)との連携を図ってきております。JICAでは、これまで開発途上国のCDM実施能力の強化のための支援を実施してきており、当行は今後CDMを含む地球温暖化対策の分野でJICAとの連携を更に強化していく予定です。


[1] 当行は、インドの首都デリーにおける高速輸送システム整備計画(総延長約415km)の第1期事業(全長約59km)において、土木工事、電気通信関連工事、車両調達、コンサルティング・サービス等に必要な資金供与や列車運行に係る様々なノウハウの提供等について円借款を通じ支援を行い、同路線は2006年11月より全線運行を開始しています。現在は、第2期事業として、インド政府側からの強い要望により、引き続き同路線の延伸部分約83kmの整備について円借款で支援を行っています。

[2] クリーン開発メカニズム(CDM)は、京都メカニズムの手法の1つで、先進国・市場経済移行国が、開発途上国において温室効果ガス削減事業を実施し、それにより生じた削減分(排出権)をクレジットとして取得し、自国の目標達成に利用できる枠組みであり、途上国の持続可能な開発にも寄与するものです。大型のODA事業としては世界初のCDM事業として登録された事業は、円借款を利用したエジプト・ザファラーナ風力発電事業です(2007年6月登録:http://www.jbic.go.jp/autocontents/japanese/news/2007/000125/index.htm)。

[3] CDM事業登録の日付は12月29日。

[4] JCFは、開発途上国及び体制移行国から排出削減クレジットの買い取りを行うこと及び排出削減クレジットの買い取りに関するコンサルティング業務等を行うことを目的に、2004年11月に、日本の民間企業等と当行が設立した機関です。

[5] なお交通セクターでは、コロンビア・ボゴタ市のバス高速輸送システム事業がCDM事業として登録されており、本事業は世界で2例目となる。