海外経済協力基金プレスリリース

ブラジル連邦共和国への円借款契約調印について

プレスリリース:1997/05/29

生活環境改善に向けて円借款を供与

−きれいな海を目指して−

OECF(総裁 西垣 昭)は、ブラジル連邦共和国における「トードス・オス・サントス基本衛生改善事業」の所要資金として78億95百万円を限度とする貸し付けを行うことを決め、平成9年5月29日、借款契約に調印した。
調印は東京のOECF本部で行なわれ、カンジールブラジル連邦共和国企画大臣臨席の下、 OECFを代表して西垣 昭 総裁が、ブラジル連邦共和国政府を代表してパウロ・ガムネ・ソウトバ イア州知事(H. E. Mr. Paulo Ganem Souto Governor of the State of Bahia)が署名することに よって行われた。
この結果、OECFのブラジル連邦共和国に対する貸付承諾額累計は、11件、1,868億7千5 百万円となった。
借款の金額、条件及び事業概要は、以下の通り。

1. 借款金額及び条件

案件名 金額
(百万円)
金利
(%/年)
償還期間(年)
(内据え置き)
調達条件
トードス・オス・サントス基本衛生改善事業7,8954.0
(コンサル2.3)
25 (7)一般アンタイド

2. 経済状況

1994年より導入されているレアル・プランは96年も引き続き維持され、ブラジル経済を安定的に推移させている。
94年に5.7%の高成長率を記録したブラジル経済は、景気の過熱によるインフレ再 燃を抑えるための引き締め政策により95年3.9%、96年3.0%と成長率を減速させている。反面、この成果として95年に22%であった消費者物価上昇率は96年には 10.6%にまで下がり、ハイパー・インフレが過去のものになったことを示している。しかしながら、景気の減速に伴い都市部の失業率は95年の4.6%から5.7%に増加 し、92年(5.8%)以来の高い水準となった。
国際金融市場への復帰を果たしたブラジルは海外での債券発行による資金調達を行って おり、この結果債務残高は一貫して増加、96年末では1750億ドルに達した。しかし、債務残高の輸出額に対する比率はほぼ一定しており、96年末では318%であった。
貿易収支は、輸入が主に資本財の輸入増加により増加したのに比べ輸出が伸びなかった ことから、赤字幅を拡大した(96年末で45億ドル)。貿易相手国ではメルコスール加盟国(ブラジルの他、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)との貿易量が増加してい る。全貿易量に占める割合は95年が約50%であったが、96年では約65%となっている。 96年にはメルコスールはチリとボリビアとそれぞれ自由貿易協定に署名してお り、今後これらの国々との貿易量の増加が見込まれる。

3. 事業概要 トードス・オス・サントス基本衛生改善事業
Todos Os Santos Bay Environmental Sanitation Project

(1) 事業の必要性

ブラジル東北部のバイア州(人口1180万人)の州都サルバドールはトードス・オ ス・サントス湾岸に位置し、同市を含めたサルバドール州都圏(10都市:人口210万人)の人口は60年代半ばから70年代半ばにかけて急激に増加した。急激な都市化、 工業化は同州都圏の環境悪化をもたらし、特に同湾には未処理の生活排水や産業排水が流出しており、観光都市でもある同州都圏の生活環境を悪化させている。本事業は、下 水道施設の整備、公害監視の強化、環境衛生教育の充実、水質管理モデルの開発を行い、閉鎖性海域であるトードス・オス・サントス湾の衛生環境の改善を図る緊急計画である。 なお、本事業は米州開発銀行(IDB)との協調融資事業であり、円借款は、急激な人口増加による環境悪化が特に深刻なサルバドール市内の2地区を対象としている。

(2) 事業の内容

本事業の円借款対象部分においては、「バイア・アズールプログラム」(*)の一環として、(1)サルバドール州都圏のうち、コメルシオ(Comercio)地区及びジャグアリベ(Jaguaribe) 地区の2地区における下水道整備、(2)施工管理に係るコンサルティングサービスを行う。下水道整備に係る詳細は以下の通り。
<下水道整備事業>
i) 幹線管渠(管径400mm以上):32km
ii) ポンプ場:21ヶ所
iii) 標準型枝線管渠(管径400mm未満):322km
iv) 標準型家庭取り付け管:39,600ヶ所
v) 共同管理型枝線管渠:87km
vi) 共同管理型家庭取り付け管(管径100mm):38km

(*)「バイア・アズールプログラム」とは、サルバドール州都圏における上下水道システム 整備、廃棄物処理、関連組織強化を行うことにより同州都圏における下水道普及率の向上、市内河川、海岸沿岸部の水質改善、環境保護を図るという包括的な衛生セクター改 善プログラムである。本プログラムの総事業費は600百万USドルで、OECFの他に世界銀行、米州開発銀行(IDB)の借款が供与されている。今回OECFが供与する事業であ る「トードス・オス・サントス湾基本衛生事業」は本プログラムの中に含まれ、総事業費は44 0百万USドルである。本事業に対してはOECFの他にIDBが借款を供与する。

(3) 事業の目的と効果

本事業は、閉鎖性海域であるトードス・オス・サントス湾の水質を改善することにより、環境の改善及び観光資源の保全を図るものである。
本事業の実施により、サルバドール市の下水普及率は、現状の26%から82%へ上昇し、 水系伝染病の減少、海岸の水質改善により遊泳可能な海岸が増えることによる観光資源の確保、河川の水質保全といった効果が期待される。また、下水サービスの向上が図られる結果、 家庭における衛生環境の改善や地域住民の民生向上が図られ、本事業によって行われる環境衛生教育の拡充により女性グループの環境衛生問題への積極的参加が促進される。
借款資金は、本事業に必要な資機材・役務の調達及びコンサルティング・サービスに充当 される。
本事業の事業実施機関はバイア州水資源衛生住宅局(Secretaria de Recursos Hidricos, Saneamento e Habitacao、住所:CentroAdministrativo da Bahia-CAB CEP- 41.146-800, TEL:55-71-371-0634, 55-71-370-1570,FAX:55-71-371-0598)である。

ブラジル連邦共和国概要
人 口161.6百万人(1995年、世界銀行)
面 積 851.2万 km2 (日本の約23倍)
首 都ブラジリア
言 語ポルトガル語
民族構成白人54.8% 混血38.5% 黒人5.9% その他0.6%
宗 教カトリック89.9% プロテスタント6.6% その他3.6%
通 貨レアル
人口増加率1.7%(1990〜1995年、世界銀行)
気 候国土のほとんどは熱帯・亜熱帯であるが、南部は温帯に属する。
主要産業農業(コーヒー、大豆、オレンジなど)、鉱業(鉄鉱業、ボーキサイトなど)
一人当たりGNP1994年 3,370USドル、 1995年3,620USドル(世界銀行)
(参 考)対ブラジル連邦共和国円借款供与一覧 (*印は今回調印分)
案件名L/A締結日承諾額(百万円)
プライアモーレ港建設事業1981.12.0711,985
ビラドコンデ港建設事業1981.12.072,975
浚渫船購入事業 1981.12.077,040
セラード灌漑事業1985.03.1412,021
東北伯灌漑事業1991.09.057,596
ジャイバ灌漑事業(II) 1991.09.0514,740
ゴイアス州農村電化事業 1991.09.0512,832
サントス港整備事業 1991.09.0528,889
グアナバラ湾流域環境改善事業1994.03.2931,475
チエテ川流域環境改善事業 1995.07.1849,427
トードス・オス・サントス基本衛生改善事業 *1997.05.297,895
 合計 186,875