プレスリリース

シエラレオネ 内戦で傷ついた子どもに「学ぶ楽しみ」を

地域コミュニティも巻き込んだ教育環境改善

2005年08月19日

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地域住民参加のワークショップ

国際協力機構(JICA)がシエラレオネで実施する「子ども・青年支援プロジェクト」のフェーズ1(プロジェクト形成調査:05年3〜8月)が終了し、10月下旬からはフェーズ2(開発調査:3ヵ年)が始まる。同プロジェクトは、元少年兵を含む内戦中に十分な教育を受けることができなかった子どもや青年層への教育支援。スポーツや音楽、学校菜園などを積極的に導入し、内戦で傷ついた子どもたちに「学ぶ楽しみ」と「生きる喜び」を教える機会を提供する。また、学外の保護者や女性グループなど地域住民も巻き込み、コミュニティ全体での教育環境改善を図る。

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「夢の学校」を描く子どもたち

プロジェクトの対象となるのは、首都フリータウンから北へ約180km、ギニアとの国境に近いカンビア県の小、中学校あわせて33校(生徒総数は約13,000人)。内戦で最も住民に被害が及んだ地域といわれ、シエラレオネの中でも就学児童における女子の割合が最も低く、また教師1人あたりの生徒数が最も多い県のひとつ。

フェーズ1では、対象地域の教育・社会・経済環境などの現状調査のほか、県議会、教職員、地域住民らから生の声を聞く「PRAワークショップ」を開催して現地のニーズを把握した。さらに子どもたちにも「夢の学校」と題して絵を描いてもらった。子どもたちの理想とする学校の将来像を知り、また図工の時間がない彼らに絵画の楽しみを知ってもらうため。トイレ、水道、発電機、グラウンドなど日本の学校には当然あるものが描かれた。トイレの不足、枯れた井戸、電気もないというシエラレオネの学校の現状を物語っている。

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内戦中に教育を受けられなかったため、20歳前後の中学生もいる

このフェーズ1を受けて間もなく始まるフェーズ2では、各校に教職員や地域コミュニティの代表者から成る「教育・コミュニティ開発委員会」を組織し、同委員会を支援するかたちで学校の施設整備やスポーツ・文化活動などを行っていく。一方、保護者が子どもを学校に送り出しやすい環境をつくるため、地域住民を対象に所得向上活動、学校施設を利用しての農業・保健衛生指導や学校菜園などを実施していく。

シエラレオネでは、2002年のカバ大統領による内戦終結宣言から3年が経過し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの緊急人道援助団体はカンビア県での活動規模を縮小・撤退している。緊急援助の段階から開発援助への移行期にあり、援助の“ギャップ”が生じやすい今、JICAがいち早く支援を開始することの意義は大きい。