プレスリリース

ネパールで狂犬病の良質ワクチン実用化へ

シニア海外ボランティアの井出さんが貢献

2005年10月17日

独立行政法人 国際協力機構(JICA)のシニア海外ボランティアとしてネパールに派遣中の井出誠彌さん(63)=埼玉県上尾市=が支援してきた狂犬病の良質ワクチンが、来年1月にも実用化されるめどになった。配属先の農業・共同組合省の狂犬病ラボラトリーでは、ワクチン名をネパールと日本の名前をこめた「NeJa Rab-Vaccine」(Rabは狂犬病のRabiesの意味)と名付け、安価で提供していく予定だ。

ネパールでは野犬が145万頭(推定)と多く、年間約2万人が野犬に噛まれ、そのうち100人以上が狂犬病で亡くなっている。現在、ヒツジの脳にウイルスを接種する方法でワクチンを製造し人と動物に使用しているが、副作用の発生や品質面に問題があり、WHOからより安全性が高く品質のよい組織培養ワクチンに切り替えるよう勧告されていた。ネパールでは、犬、人用ともに組織培養ワクチンは輸入に頼っているため、この新たなワクチンの国産化で今後の狂犬病対策の進展が期待されている。

井出さんは、民間の研究所で動物用ワクチン製造に34年間携わった。定年直後の02年5月、JICA短期専門家として一度ネパールに派遣されたが、思うような成果につながらず、シニア海外ボランティアとして再挑戦することを決意。03年4月にネパールに戻った。2年の任期を1年延長し、来年3月までの予定で活動している。

現在一時帰国中の井出さんは「財政が厳しくラボの予算やスタッフが削減されるなかでも、ラボのみんなは一生懸命で、反政府デモなどで外出禁止令が出てもウイルス採取日にはみんながラボに出てきた。組織培養をはじめワクチン生産の一通りの工程が彼らだけでもできるようになって、ほっとしました」と語る。井出さんは11月上旬に現地に戻り、市販のための準備(ワクチン原液の小分け、小分け後の検定、出荷の準備等)をする一方で人用ワクチンの試作にも取り組む予定だ。