プレスリリース

パレスチナ・ヨルダン渓谷の農業開発スタート

「平和と繁栄の回廊」構想の実現に向けて

2007年04月03日

独立行政法人国際協力機構(JICA)は、3月末からパレスチナ自治区のヨルダン渓谷で農業開発、農産加工・流通分野のプログラム協力を開始した。

始まったのは、技術協力プロジェクト「持続的農業技術確立のための普及システム強化」、開発調査「ヨルダン渓谷水環境整備計画」、同「農産物加工・物流拠点整備計画」の3案件。将来のパレスチナの経済的自立をめざす地域協力を通じた「平和と繁栄の回廊」構想※を実現する一環として、昨年から協力案件の発掘・形成を進めてきた。

ヨルダン渓谷では、労働人口の約7割が農業に従事・関与しており、農業は地域の安定と発展に重要な役割を果たしている。ヨルダン渓谷はヨルダン川西岸で唯一平坦な地形で、農業に適した土壌にも恵まれており、農業開発の高い可能性を持っている。しかし、半乾燥地帯で水資源が希少であること、農家の技術レベルの低さ、研究・普及体制の遅れなどが農業開発の課題となっている。

そのため、JICAは、「ヨルダン渓谷水環境整備計画」で、既存の井戸の管理方法の改善・修復や灌漑事業などのパイロットプロジェクトを通じて、農業用水の有効利用と効率的な水管理方法の調査を行う。また、「持続的農業技術確立のための普及システム強化」では、循環型農業や節水農業といった技術の研究と普及を連携させた効果的な農業普及のための体制基盤を整える。

さらに、農業加工品やその他工業製品を取り扱う外部市場を念頭に生産する工業団地の建設計画とともに、域内貿易の振興と経済回廊などのインフラ整備も視野に入れた計画を策定する開発調査「農産物加工・物流拠点整備計画」も開始した。農業振興、農産物加工品の生産、流通を一貫して支援することで、農業をヨルダン渓谷の主幹産業に育成するとともに、「平和の繁栄の回廊」構想の実現をめざしていく。

※「平和と繁栄の回廊」構想
日本、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンの4者間で、日本のODAを戦略的・機動的に活用しつつ、地域協力を通じ農業分野を中心にヨルダン渓谷の経済開発を図るもので、昨年7月に中東を歴訪した小泉前首相が提唱した。今年3月14日、東京で同構想を進めるため4者協議の立ち上げ会合が開催され、工業団地の建設候補地の選定に優先して取り組むことなどを合意している。過去10年に及ぶイスラエル政府による断続的なパレスチナ自治区封鎖政策により、パレスチナ自治区の経済は疲弊しており、人口の約半分が1日2ドル以下の貧困ライン以下の生活を余儀なくされているといわれている。