プレスリリース

ソロモン諸島地震津波被害:復旧復興支援プロジェクト形成調査団帰国

深刻なトラウマなどデータ以上の被害が明らかに

2007年05月11日

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避難した人々から話を聞く調査団

独立行政法人 国際協力機構(JICA)が4月18日から5月2日まで派遣していた「ソロモン諸島地震・津波被害復旧復興支援プロジェクト形成調査団」が帰国、このほど現地の被災状況などを報告した。

調査団は、特に被害の甚大なウェスタン州(ギゾ島、ヴェララヴェラ島、ラノンガ島、コロンバンガラ島、シンボ島)、チョイセル州本島南部で建物や社会インフラなどの被害状況を調査したほか、現地政府の関係各省庁、国際機関、NGOを訪ね、支援状況の聞き取りを行った。

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損壊した病院関係者の住居

今回の被災により33人(全国52人)の死者を出したギゾ島では、南岸から西岸に面する村でほとんどの家屋が流失するなど津波によって壊滅的な被害が発生。州の中核医療施設のギゾ病院では施設の一部が損壊したほか裏手の職員住宅が流失し、約100人の医療スタッフのうち半数近くが津波被災のトラウマから業務に戻れず、代わりに首都から派遣されたスタッフが診療を行っている。

他の地域でも、家屋や埠頭施設の損壊、倒壊が見られるほか、上水道施設が損壊し、水の供給が受けられないコミュニティが多数存在している。教育機関では、教室、教員住宅、上水施設やトイレなどの損壊、コピー機やPCが故障し、運営に支障が出ている。一方、人的な被害の特徴として、死亡者には子どもが多く(ギゾ島では33人の死亡者のうち21人が子ども)、津波についての知識が乏しかったことが明らかになった。

さらに各省庁への聞き取りから、災害時に中心的な役割を果たす国家災害管理事務所の人材不足や、災害情報の伝達のための放送・通信機材の不足などの問題が確認された。

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被害の大きなギゾ市内

調査団メンバーの一人、JICAの鯉沼真里職員は青年海外協力隊員としてかつてギゾ島で活動しており、14年ぶりの再訪になった。「ウェスタン州は小さな島が多く、道路インフラも少なく、コミュニケーションや輸送の手段は、船舶や船外機付きカヌーなどの海上交通に依存しているが、今回の津波被災のトラウマから人々は海をおそれ、山の上の避難キャンプからなかなか戻れない状況になっている。このままでは人々のくらしが立ちゆかなくなる。数字で表れた被害データ以上に災害の爪痕の深さを感じた」と、今回の調査の感想を述べた。

復旧・復興のためのニーズとしては、短期的には学校、クリニック、桟橋の復旧、がけ崩落による二次災害防止指導、耐震建築物普及や構造物の安全性点検評価など建設技術の支援、被災者のトラウマのケアなどが求められている。中長期的なものとしては、主要病院の復旧、放送局改善といったインフラ復旧による社会経済復興支援、国・州レベルでの情報連絡網の整備、コミュニティへの防災教育など災害に強い国づくりへの支援が望まれていることがこの調査の結果判明した。                           

5月末にはソロモン政府が復旧・復興のための行動計画の最終案を決定する予定になっており、それをふまえてJICAは外務省、現地日本大使館と連携しながら具体的な支援策を検討していく方針だ。