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登壇者インタビュー第4弾 株式会社トロムソ 執行役員営業部長 上杉正章さん

2020年8月9日

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株式会社トロムソ
執行役員営業部長
上杉正章さん

四人目は、株式会社トロムソ 執行役員営業部長 上杉正章さんのインタビューです。

進出先:
タンザニア

課題分野:
エネルギー

企業概要:
造船の町である広島県尾道市へ本社をかまえている同社は、地場産業である造船の技術が陸でも何か役に立たないかと模索し、もみ殻固形燃料製造装置「グラインドミル」を開発しました。もみ殻は非常に硬く何も加工していない鉄であれば、10時間も保たずに部品が摩耗してしまいます。そこに造船業で使用される特殊な金属加工技術を用いて主要部品の耐久性向上を実現した製品がグラインドミルです。製品開発から月日は経過し、現在では多くのアフリカ諸国へグラインドミルを届けています。

アフリカでの事業概要:
タンザニアでは、農地拡大や過放牧、調理用の薪炭利用によって急速に森林伐採や土地の荒廃が進んでいます。
人口増加に伴う薪炭の需要増加がこれに拍車をかけ、農村住民にも悪影響を及ぼしており、薪炭に代わる燃料源の確保が求められています。
また、日本の支援もあり、アフリカ有数のコメ生産国となったタンザニアでは、米の副産物であるもみ殻の処理も課題となっています。
同社が開発したもみ殻を原料とする固形燃料「モミガライト」を製造する装置「グラインドミル」をタンザニアに導入し、その活用方法や有効性を示し、タンザニア国内での普及に取り組まれています。
活用されていないもみ殻を固形燃料化し、薪炭の代替燃料として提供することで、森林保護や地球温暖化抑制に貢献することが期待されています。現在は製造された「モミガライト」の用途開発に力を入れており、その中でも、モミガライトでガス化発電に注力しています。

1.国内で「モミガライト」を開発し、販売するまでの経緯を教えてください。

元々、因島は造船業で栄えた島です。今から30年前の人口は約5万人を超えていました。それから後に造船業の衰退は進み現在の人口は約2万5千人となりました。弊社も造船の設備に関連する熱交換器のメーカーとして40年の歴史があります。

創業者は衰退していく造船業に危機感を感じ海から岡に上がり新しいモノ造りに挑戦したいと考えたものの、なかなか良いアイデアは浮かんでくることはありませんでした。

ある日、知り合いの農家の方から籾殻の処分に困っている事を耳にし、籾殻について調べ始めると、日本国内で籾殻が大量に廃棄されていることが分かりました。これを活用するしかない!と思った訳です。トロムソとしてスタートをきったのは今から12年前になります。

2.アフリカビジネスに関わるきっかけを教えてください。

現在弊社の社員数は8名と少人数であり、また当時は英語を流暢に話せるスタッフはいなく弊社のビジネスを海外展開することなどまったく考えていませんでした。

今から約7年前にJICA中国様から連絡がありまして、海外から来日されている研修生を連れてトロムソ社を訪問したいとの打診がございました。研修の内容は、海外においても稲作は盛んであり、毎年発生し廃棄される籾殻の利活用を学びたいとのことでした。

研修当日のことを今でもよく覚えていますが、ケニアから来日されていた研修生の方から、籾殻固形燃料製造装置「グラインドミル」の運転の見学後に、「グラインドミルをケニアに持ってきていただけないか?」と強く熱望されました。

それからでしょうか、アフリカを意識し始めたのは。意識し始めるとなぜか急にアフリカに関連する方々との出会いが増え、また周りの方のご協力もあり、アフリカ第一歩目となるタンザニア国を調査地といたしまして2013年JICAの案件化調査に応募し採択されました。

3.アフリカビジネスでのご経験について教えてください。

2013年JICAの案件化調査に始まり、その後は普及実証事業へ進みました。この両プロジェクトの約4年間大変な思いもしましたが、今思えば貴重な経験をさせていただいたと思います。

その甲斐もありまして、今ではマダガスカルではドイツ系の民間企業からUNIDO東京事務所を通じて問い合わせがあり3台の装置販売に至り、また本年6月外務省ノンプロ無償の契約が正式に締結されナイジェリアへ7台の装置販売に至ることとなりました。

私はアフリカ諸国の持つポテンシャルは、まだまだこんなものではないと思っています。今後は装置の販売だけではなく、製造された籾殻ブリケットの出口(使用用途)にも力をいれて開拓していこうと奮起しています。

4.どのような想いでアフリカビジネスに携わっておられるのでしょうか。

アフリカでは年々お米の生産量が増えており、また人口の増加も右肩上がりの状況の中でタンザニア国内の多くの家庭では、調理を行う際に使用する燃料は薪炭であるというデータがあり、それはタンザニア国全体の家庭の90%以上を占めると言われています。

その薪炭の多くは森林から違法伐採される木々であり、深刻な環境問題となっています。弊社の取り扱う「グラインドミル」で毎年廃棄される籾殻を固形燃料にすることで、違法な森林伐採が少しでも減少することを願います。

上杉さんのお話をより深く聞きたいという方は、サイドイベントへぜひお越しください!

お申込み

おかげさまで沢山のご応募をいただき、参加登録受付は終了いたしましたが、満員御礼、ご好評につきYouTubeでのライブ配信を行うこととなりました!

8月28日(水)16:00~、お手持ちのスマートフォン、パソコンから下記URLにアクセス頂き、ディスカッションの様子をリアルタイムでぜひご鑑賞ください!
(注)音声配信は日本語のみとなっておりますのでご了承ください。

登壇者ご経歴

広島県立因島高校卒業。2012年株式会社トロムソに入社し、営業・技術に従事。2017年より執行役員・営業部長を担当し現在に至る。

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(左・中)JICAプロジェクトでの現地研修と装置取扱い風景
(右)JICAプロジェクトで提供した装置稼働の様子

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(左)JICAプロジェクトで提供した装置稼働の様子
(右)現地にて組み立てた装置でモミガライトを製造する様子

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